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【読書メモ】逆境に生きる子たち -トラウマと回復の心理学


幼少期の家庭環境が劣悪でも社会的に活躍している人はたくさんいます.周りの目を気にしすぎてしまうとか,過去の出来事を思い起こして怒りを感じてしまうといった性質を抱えながらも,逆にその性質を活かす方向で生き方を考えていくことが一つの解答になります.


怒りは,ゴール志向で前向きな行動と組み合わさるときにこそ,生産的なものになりうるという考え方を,脳科学は支持している.
人ではなく,問題に怒りを向けた方が賢明だ.いいわけではなく,答えを出すことにエネルギーを集中すること
被験者に問題を解いてもらう実験において,問題を解きながら不安やおそれを感じていた参加者は,心拍数や血圧,コルチゾール分泌量が増加したが,怒りを感じていた参加者の場合にはこれらの数字は低かった.

怒りはネガティブな感情というイメージがありますが,適切に扱えば自己実現に向かう強力なエネルギーになります.怒りを自分や他人といった人に向けるのではなく,問題解決や,前無為な行動に向けることを本書では紹介されています.

また,怒りを感じることは,不安や恐れを感じる場合よりもストレスが低いと実験で示されています.



無意識のうちに「体はトラウマを記録する」
情動記憶は永遠に残るだろう
自分なりのやり方で障害を乗り越える強い力を持つこと

残念ながら,トラウマ的な記憶は身体が覚えていて,完全に消えることはないとのことです.過去の出来事を思い起こして怒りがわいてきたり,幼少期の家庭環境が原因で必要以上に周りの目を気にしてしまったりする人がいるかもしれませんが,それを解決すべき欠点としてとらえるのではなく,その特性を活かす方向で考えた方が良いでしょう.


愛情を忘れては言えない.どうすればいいかはわかっているはずだ.

愛されなかったとしても,「〇〇してほしかった」という気持ちは残っているはずです.そのため,愛されなかったから愛することができないというのは間違いになります.誰かにしてもらいたかったと思うことをやるのを目指したいものです.




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