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本当のスプリントレビュー

スクラムの3原則、透明性・検査・適応のすべての要素を兼ね備えているスプリントレビューですが、適切にスプリントレビューが行われていないチームを多々みてきました。適切なスプリントレビューとは何か、どのようにすれば効果的で楽しくスプリントレビューができるのかを探求してみたいと思います。

WHAT:スプリントレビューは何をレビューする?

スプリントレビューは、Potentially Shippable Product Incrementをレビューする場です。これはソフトウェア開発であれば動くソフトウェアです。また、完了の定義(Definition of Done)を満たしていないもの、Product BackLog ItemのAcceptance Criteria(受け入れ条件)を満たしていないものは、スプリントレビューでレビュー対象とはなりません。

WHO:スプリントレビューは誰がレビューする?

プロダクトオーナーが主催者となり、ステークホルダーに向けてPotentially Shippable Product Incrementをお見せします。スクラムマスターはファイシリテータをしても構いません。多くのスクラムチームでは、開発チームがプロダクトオーナーに向けて動くソフトウェアのデモをしていることがありますが、これは本質的ではありません。チーム内で見せ合いっこをしてもほとんど意味がありません。本来、スプリント期間中に、開発チームとプロダクトオーナーは密なコミュニケーションを取り、各アイテムが終わったらすぐにプロダクトオーナーは受け入れ条件を確認し、OK/NGの判断をします。プロダクトオーナーは、ステークホルダーに、プロダクトの現状を公開します。そこに透明性が存在します。
ステークホルダーとは誰か?もしプロダクトオーナーが誰をスプリントレビューに呼ぶべきか困っていたら、以下のような質問をしてあげてください。

・このプロダクトの予算はどこから来ますか?誰が握っていますか?
・このプロダクトによって、影響を受ける、仕事が変化する可能性がある方は誰ですか?
・このプロダクトの進捗具合によって、顔色が変わるのは誰ですか?

上記に、あてはまる『誰か』であれば少なくともその方は、ステークホルダーと呼べると思います。

プロダクトオーナーは、ステークホルダーにPotentially Shippable Product Incrementの現状を包み隠さず公開します。

HOW:スプリントレビューはどのように進める?

スプリントレビューは、以下のようなアジェンダを含むことがあります。
・プロダクトオーナーからステークホルダーへの現在のPotentially Shippable Product Incrementの今スプリントでの改善点の公開
・現時点のPotentially Shippable Product Incrementを受けて、ロードマップの議論と更新
・残りのスプリントでどのようなことが可能そうかの見極め
・プロダクトに関する予算/コスト/収益についてのレビュー
・プロダクトビジョンの再確認とレビュー
・マーケットの状況の共有
・顧客・ペルソナの再確認とレビュー
・本スプリントレビューのまとめと新たに加わったプロダクトバックログアイテムの共有

つまり、スプリントレビューは、主に現在地の確認と未来を語る場になります。

開発チームは、プロダクトオーナーやステークホルダーと十分ディスカッション、情報の共有ができる場となります。開発チームは、プロダクトオーナーのデモのために協力します。(スプリント内に、デモ協力のために1時間まで時間を取るチームが多いようです)

最後は、スプリントの達成に、拍手で終わりましょう。

WHEN:いつ、どのくらいの時間でやる?
スプリントの終わりで、スプリントレトロスペクティブの前にやるのがおすすめです。
スプリントレビューは、1週間スプリントだと1〜2時間のタイムボックス。2週間スプリントだと2〜4時間と言われていますが、おそらくプロダクトバックログリファインメントがスプリントレビューの一部になっているか否かでかける時間が変わってくると考えています。
プロダクトバックログリファインメントをスプリントレビューの中に混ぜて、プロダクトバックログリファインメントというセレモニーをやらないスクラムチームもあるようですが、個人的には分けたほうがメリハリがついてよいかなと考えます。また、長時間のミーティングだと集中力が続かないと思います。
私のおすすめは、1週間スプリントなら1時間、2週間スプリントなら2時間です(プロダクトバックログリファインメントは含まない)。

本当のスプリントレビューを実現させるために

本当のスプリントレビューを実現させることは非常に困難ですが、目指すべき価値があると思います。

・プロダクトオーナーと開発チームが、スクラムチームであること。
・プロダクトオーナーとスクラムマスターが本当のスプリントレビューについて理解があること。
・ステークホルダーが把握されており、スケジュールを確保できていること。
・ステークホルダーと開発チームがフラットな関係性で対話ができること。
・予算や収益などの情報に、透明性があること
・なぜ、誰のためにプロダクトが作られているのかが瞬時に把握できる状態であること
・プロダクトオーナーはマーケットの状況を常に把握していること

ぜひ、このようなスプリントレビューをあなたのスクラムチームでも実現して頂ければと思います。スクラムチームの透明性が大幅に増します。



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