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#106 トラクター

 運動会で代休になった月曜日、しょうへいは、一人で電車に乗って私の家に来た。私は、駅に迎えに行った。電車で一人で来るのが始めてだったが、しょうへいは楽しそうだった。

 私は、しょうへいとサツマイモを掘りに畑に行った。私は、サツマイモを掘る手順を教えてあげた。しょうへいは、手袋をはめ、サツマイモの蔓を切り、芋ほりの準備を私と一緒にした。その後、しょうへいは、スコップで芋の周りを掘った。小さなサツマイモをスコップで切ってしまう時もあったが、おおきなサツマイモがたくさんとれた。蔓を引っ張ると芋ずる式に出てくる収穫が面白かったのか、しょうへいは、畑の1畝ほどのサツマイモを掘った。

 作業場に持って帰るとしょうへいは「おじいちゃん、トラクターに乗ってもいい?」と聞いてきた。私は、「おじいちゃんのいうこと、聞くのやったらええで」といって、稲刈り後の乾いた田にトラクターを持っていった。しょうへいは、大きくなったら運転したいとちいさい頃から何度も言っていた。私は、『運転の仕方。危険と思った時の対応。田を鋤くときのやり方。』などを教えた。

 しょうへいは、トラクターを乗った。慣れてくると「速く走りたい」と言いだした。トラクターは、ジグザグに動いたが、しょうへいは真剣な表情だった。お昼になって、私たちはトラクターを田んぼにおいて、家に帰った。

 「どうやった?」私が聞くと、「うん。楽しいわ。わりと簡単やな。」としょうへいは言った。「そしたら、またトラクター乗るか。また、おじいちゃんのお手伝いしてくれるか?」と私が言うと、「うん。俺、おじいちゃんのところ好きやで。」と、しょうへいが言った。・・・・・。「そしたら、大きくなったら、おじいちゃんの家で住むか?」と私が言うと、「ええで~、俺は、田舎好きやから」としょうへいが言った。「ほんま~」(私)…「ほんまやで~」(しょうへい)…
 
 私の子供(娘・息子)は、「こんな田舎は不便や~」とか文句言うが、しょうへいは「田舎が好き。ここに住んでもええわ。」と言った。しょうへいとここで一緒に住むことは考えていないけど、しょうへいの言葉は、私には嬉しかった。

#ふるさとを語ろう #子どもの成長記録  

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