【想い】 重複部門でも学びたい子はいる

日本には“特別支援学校”と呼ばれる教育機関がある。

ここでは、さまざまな障害のある子どもに、“その子のできることを増やす”取り組みが行われている。

その中に、“重複部門”という部門がある。
この部門では、“知的障害と肢体不自由”、“視覚障害と知的障害”のように、“障害を複数抱える子”が、教育を受けている。

具体的な内容としては、“身辺処理”や“卒業後の就労(福祉的就労を含む)”に関する取り組みが中心で、“本人の学びたい意欲”に応えるような“知識や教養を深める”カリキュラムはとても少ない。

しかし、“さまざまな事情で重複部門に在籍しながらも、教養を深める学び(進学など)を受けたい”というニーズは確かにあるのだ。

私の場合、小学生の頃は、なんとか通常の教科書を使って、“学年相応の学び”ができていた。
しかし、中学生になり、心身の不調により、学習に向かえない期間があった。
そのことにより、“学習空白”が大きくなり、また、私が希望して“重複部門での学習が始まった”のだ。

重複部門のカリキュラムには“個別学習”の時間が設けられている。
この時間は、それぞれに合った課題を教員と取り組む時間である。
私はこの時間を活用し、“教科書を用いた学習”をしていた。

ただ、“個別学習より集団での学習の割合が大きかった”ため、教科書での学習は満足にできなかった。

そんなスタイルで中学生を過ごし、“高等部への進学”の時期に差しかかった。

私の在籍していた学校の高等部には
1. 教科書を使って通常の高等学校に準じた学習をするコース (卒業すると大学や専門学校を受験できる)
2. 就労に必要なスキルや技術をグループ学習を中心に学ぶコース (卒業後は一般就労または福祉的就労を目指す。 大学へ進学するには“高等学校卒業程度認定試験”の受験が必要)
3. 重複障害のある生徒が身辺自立や作業スキル(集中力、報告・連絡・相談など)を学ぶコース (卒業後は福祉的就労となる。 大学などを受験するには2.と同様受験が必要)
があり、私が在籍していたのは3.であった。

「2.のコースへ入学したい」と言ったのだが、入学するためには“中学部段階まで通常の教科書で学習していること”という条件があり、願いはかなわなかった(高等部でお世話になった教員が2.コースへの入学についてかけあってくれたそうだ)。

そうして、3.コースへの入学となった。

入学して授業を受け始めて、「同じ内容ばかりで面白くない、私はもっとできるのに、学びたい!」という気持ちが1年、2年、3年… と学年が上がるごとに強くなっていった。

重複部門の仲間と過ごす日常は、とてもとてもいろんな出来事があって、楽しかった。
だけど、重複部門で展開される活動は、“私が求める学び”ではなかった。

社会に繰り出すには、重複部門で学ぶような内容は参考になる内容は多いし、大切である。
でも、「もっと探求したい」という気持ちがあったのは確かだ。

中学部では自身が希望して“重複部門での学習を選んだ”のだが、高等部への入学段階において、“教科書を使った学び”を希望したのに、“前例がないから”とか、“条件に合致しないから”などの理由で“希望する学びを受けられなかった”のはとても悔しい。

当時の私の状態では、上記1.コースのカリキュラムを3年間受けることは難しかったかもしれない。
ただ、それは“やってみないとわからない”。
そんな挑戦をしてみたかった。

“いつでも学べる”とは言うけど、確かに、知識を深めたりすることはできるとは思う。
だけど、6〜18歳という“年齢”でしか“経験できないこと”はあると思う。
そんな、“自分の宝物”になるような経験をしたかった。

いまは進学は考えていないのだけど、もし専門学校や大学に進学したいと思ったとき、即入試を受けることはできない。
“高等学校卒業程度認定試験”に合格してからでないと、入試に進むことはできないのだ。
その少し多くかかるステップで、躊躇してしまうことは確かである。

高校生は“義務教育年齢”ではないから、いろいろと難しい部分があるのかもしれない。
ただ、“学びたいと思った時に本人が望む学びを受けられる社会”であってほしいと強く願う。

私は、自分のできる範囲でいろいろと学んでいきたいと思う。

いただいたサポートは、私がリラックスして楽しく暮らしていけるようなアイテムの購入費用として大切に使います。内容はnoteで報告します。いつも、本当にありがとうございます。