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月追いかけて三月がゆく




ある夕暮れ
ワインを飲んでいた時分に
コップの白ワインを揺らしたのは
銀色の か細い月
心象風景に誘われて ふと浮かんだ雲のような気持ちを書き留める。

ああ あと2週間で15番目の月
その晩は晴れるだろうか
ボクの町からも見えるだろうか
月はどこに在り ボクはどこで空を見上げるだろうか




幾日かが過ぎて 道半ばの時期になり
月の旅は途中で
ボクも旅の途中さ。
霧雨の夜
古めかしい映画のワンシーンのように町は静まり返っていた
雨雲にさえぎられて見えない月を夢想すれば その分だけ町は表情豊か
ボクは雲のはるか上の月を想い 写真を撮ってみる
見えないモノを見ようとする時の心境に 半月が浮かんでいてくれればそれで良い。


そして・・・その日が巡ってきた。
太陰暦の ユダヤ人のカレンダーで ニサン14日にあたる晩。
トモダチたちと マンハッタンの南 ブルックリン橋のたもとにあるレストランにイタリア料理を食べに行くことになり
店を出たのが8時少し前
薄暗い石畳の路地を横切り・・・
とっさに 東の空を仰いだ・・・
どこかに浮かんでいるはず・・・
イエス・キリストが亡くなる前の晩に見たはずの月を・・・
・・・探した。

そしたら・・・

ちょうど・・・

そこに・・・

まぶしいほどに・・・

どんな人工の光をもしのいで・・・

天空を旅する・・・君









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