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生きる

生きているということ 
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
という書き出しで始まる、詩人・谷川俊太郎の「生きる」は、日常をしっかり見つめるまなざしの価値と、素直な言葉の重さと、愛へと続く人生の旅路のありかに気付かせてくれる40行。今この瞬間に、だれの上にも平等に流れている時間が40行というバックパッカーになって、ある日ボクのまえに現れ「やあ」と声を掛けてくる。ボクも応じてみる。「やあ 友よ タビビトよ」。

しょせんモノでしかないモノに騙されそうになったり
あわただしさでいっぱいいっぱいで厳しい口調になってしまったり
だからボクの人生にはたくさんのヒビが入っている。

そのヒビの入った茶碗で飲むお茶という「今日」は、
スマホからも あらゆるメディアからも離れて在ろうとする「今日」は、
   いかん いかん 人にやさしく 真摯に 背伸びせず 基本に忠実に
そんなふうに ボクをいましめてくれる詩のかおりのするお茶は、
ゆっくり  のどを通って  胃へと落ちてゆく。
そして 
ボクは温められ
ふたたび 元気になる。




たとえばこれから飛行機に乗って遠い国へ行こうとする朝、地下鉄の窓から見える近所の景色は、すでにここではないどこかの空気のなかで揺れ始めているし・・・
たとえば・・・自分が病気になり・・・それも、ちょっと深刻な影響のある病気で・・・そんなこわい日の後に訪れる静かな時間の中で、窓から差し込む陽光を浴びて感じる「今」動いている自分の心臓の不思議さは奇跡だと思うから・・・

だから

生きるということ
生きているということ
それは
希望ということ だったのだと
思い至る。
ヒビわれても なお・・・






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