ココロの物語/日記小説家

ココロという男の子が未来の自分に書いた日記の物語 まだ何色にも染まっていない真っ白な心…

ココロの物語/日記小説家

ココロという男の子が未来の自分に書いた日記の物語 まだ何色にも染まっていない真っ白な心をもった男の子が虹色の人生になるまでのストーリー ▽スタンドFM▽ 放送は毎日更新中! https://stand.fm/channels/622c8ac662fdf0d800e5d2a7

最近の記事

魚つかみと夏

僕の名前はココロ。 今日は朝から、太陽さんがすこぶるご機嫌。 夏休みに毎日あるラジオ体操に向かう僕と妹の体を ジリジリと刺激する。 集合場所に到着すると、いきなり 「おはよう!今日は何する!?」 っと後ろからナオが相変わらずのテンションで 声をかけてきた。 「こんな日は当然、魚つかみだろ!」 僕は即答でナオに答えた。 「オッケー!いつもの石からスタートなっ!」 不思議なもので、 僕とナオに時間や集合場所という会話はない。 ラジオ体操を汗だくになりながら 帰りは妹と家までかけっ

    • 夏祭り

      僕の名前はココロ。 今日は村の夏祭りだ。 大人のみんなは縁日とか言っているけど 僕はいつも夏祭りと呼んでいる。 理由はないけど、祭りって言葉が好きなんだ。 毎年、夏休みの期間で3日間だけ夏祭りがあって いつも通っている道が、別世界にかわるんだ。 道の両端に屋台が並び、射的やくじ引き、 金魚すくいやかき氷屋。 たくさんの屋台が長い行列となり並んでいる。 僕は妹と父ちゃんと母ちゃんで 夜に毎年、夏祭りにいっている。 祭りの入り口にくると、たくさんの人が 川の流れのように行列になっ

      • 日記小説 第8話 雨の中

        僕の名前はココロ。 今日は朝から雨が降っている。 雨粒が薪小屋の屋根に当たり、 リズムを奏でている。 僕は妹に雨の中、散歩に行こうと誘った。 妹は母ちゃんにカッパを着せてもらい、 僕は水色の傘をさして外に出た。 二人とも足元は長靴を履いている。 外に出てみると、いつもの景色とは違い 少しだけ空が暗く、 でも気持ちがいい気温。 ここ最近はずっと暑い晴天だったので 違う世界に来たみたいだ。 いつもの散歩コースを歩いていると、 花や雑草が雨に打たれながら 生き生きと踊っている。 久

        • ココロの物語 7話 ホタルの光

          僕の名前はココロ。 心地のいい夜になってきた。 家の窓を網戸にして過ごす夜になってきた。 外ではカエルたちが田んぼから 「ゲロゲロ、ゲロゲロ」 と大合唱をしている。 このオーケストラが僕は大好きだ。 そんな名曲を聴きながら 家族そろって晩御飯を食べていると、 父ちゃんが急に 「…今日はみんなでホタルでも見に行くか。」 と言って家族で散歩に行くことになった。 ホタルを見に行くといっても 玄関を開けて、家の前の橋を渡れば もうホタルたちはキラキラと光って飛んでいる。 妹は「あそ

          6話 自転車で冒険

          僕の名前はココロ。 今日は、友達のナオと自転車で冒険に出発。 ナオは僕の幼なじみ。 小さいときからずっと一緒に遊んでいて もう、兄弟みたいな関係だ。 僕たちの自転車の冒険は いつも、目的地を決めない。 なぜなら行ったことがない場所へ いつも向かっていくから。 道さえあればガタガタの砂利道や 草だらけの山道もガンガン進む。 今日は、学校の裏にある山道へ向かった。 山に入る道は石畳できれいにしてあった 少し入ると木漏れ日がスポットライト みたいに小さな花たちを照らしている 昼間な

          6話 自転車で冒険

          5話 秘密基地

          僕の名前はココロ。 今日は同じ村の友達と 山に向かった。 場所は秘密。 なぜなら、そこは僕たちだけの 基地があるからだ。 大人には教えない基地。 子供だけの秘密基地。 基地は洞窟の穴とかではなく 全部、僕たちで作った。 作り方を忘れないように 日記に書いておこう。 まずは基地の柱となる 大きな木を探す。 次に林に落ちている枝を集める。 おすすめは杉の枝。 なぜなら同じ形をしていて 作りやすいからだ。 枝をいっぱい集めたら 木の幹を中心として 枝を立て掛けていく。 グルっと一周

          4話 河原の石ころ

          僕の名前はココロ。 今日は、妹と近くの河原に冒険。 河原に行くには2つの道がある。 一つは舗装させているきれいな道。 もう一つはデコボコの砂利道。 僕が好きなのはデコボコの砂利道。 なぜなら、僕たちは冒険家だから。 舗装された道は何も出会いがない。 でも、砂利道は雑草だらけ。 虫たちの生活に挨拶したり、 小さな花を観察したり、 水たまりにジャンプして遊んだり。 冒険はこうでなくっちゃね。 遠回りしながらも、 目的の河原についたら、 妹とちょっと休憩。 母ちゃんが水筒に麦茶を

          3話 ころんでも起き上がる

          僕はココロ。 今日は妹と外の野原で思いっきり 走り回った。 小さな花がそよ風と一緒に 踊っていたから僕も踊った。 小鳥の歌声にあわせて 小枝をタクトに妹は指揮者。 自然とのミュージカルは 毎日公演中。 僕は気持ちよくて 野原の丘を駆け上った 負けず嫌いな妹も 後ろから追いかける その時、妹のつま先が 石にひっかかり、ころんでしまった。 妹は寝転んだまま泣いている 僕は急いで戻って 妹を起こしてあげようと思った。 でも、その時僕の耳元で そよ風がこう言ったんだ。 「…大丈夫、少

          3話 ころんでも起き上がる

          2話 僕の家族

          僕はココロ。 僕の家族は父ちゃんと母ちゃん そして、妹の4人家族。 父ちゃんは僕のあこがれの人で 僕のしたいことをいつも 応援してくれる。 口下手であまり話さないけど 背中がすっごく大きくて 僕の前をいつも歩いてくれる。 母ちゃんは僕と妹のために いつも、おいしいご飯や お菓子を作ってくれる。 自分のことは後回しで 母ちゃんの時計は 僕と妹、二人を中心に 動いているみたい 妹はいつも笑顔で明るい子 何をするのも僕の真似をして できないとすぐに泣いてしまう でも、すごく頑

          物語が始まる瞬間

          僕の名前はココロ。 田んぼや山に囲まれた村で生まれた。 この村を、多くの人が 「何もない場所」という。 でも。僕はそうは思わない。 僕の思う「何もない」とは 何も「感じるものがない場所」のことだから。 つまり、この村に何もないと思う人は この村の川のせせらぎや、小魚の戯れ その横で清流と踊っている若草の輝き 上を見上げれば、若葉たちが そよ風と奏でててくれる壮大なメロディーが たぶん、真っ黒に見えているんだろう。 僕はこの風景が好きだ。 たまに雑草だらけの野原で寝転ぶんだ。