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「学校に行けない」に対して精神科訪問看護で行なっていること

看護師 山田祥和

 近年、学校に行けない児童、生徒が増えています。文部科学省によると、令和4年度の小中学校の不登校数は29万9048人で、前年度から22.1%増加で、10年連続で過去最多を更新しています。

 小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人が学校に行けていない状況です。

 私たちの地域、伊勢原市、秦野市、平塚市でも同様なことが言えます。精神科訪問看護の依頼も当然増えてきています。

 本日は私たちが、不登校の児童生徒にどのような支援をしているのかをお伝えしたいと思います。

 大前提として、私たちは決して学校に行きなさいと強要しません。また、学校に行かなくてもいいよとも言いません。

 私たちの訪問看護での目標は、学校に行くことよりも二次障害(うつ病や非行など)を起こさないことです。もちろん学校に行ければ行った方がいいです。周りは行けているのに自分はどうしてダメなんだろうと、劣等感を抱えていることが多いので、ストレスなく行けるのであれば、それは行けるに越したことはありません。

 実際の関わりとして

①得意なことを見つける
 みんなができていることができなくて、自信がなくなっていますので、まずは、できること、好きなことを見つける手助けをします。
 得意なことを伸ばして自信をつけるように色々なことの経験をサポートします。歴史やバドミントン、カメラやプログラミング、昆虫や落語、写生など、興味がありそうなことを提案し、一緒に行い、一緒に楽しんでいます。本人が望むなら勉強も一緒にすることもあります。

②SST ソーシャルスキルトレーニング
 学校は勉強する場でもありますが、社会や人と人とのやりとりを学ぶ場でもあります。勉強は大人になってからでも遅くありませんが、学校から遠ざかると社会性が身につかない場合があります。
 訪問看護では、遊びや楽しみなどの関わりの中で、SSTを行っています。この場合はこうした方がいいのでは、この場面ではこれがいいと思うよなどと、場面での対応を提案しています。

③信頼される大人になる
 これが一番大切かもしれません。人間不信になっていることもあるため、常に肯定的に関わるようにしています。約束は守り、困った時は話を聴きます。

④人間関係への自信
 訪問看護は一対一の関わりができるため、人間関係を構築させやすいです。家族以外の他者との関係が築けると、自分にもできると自信が生まれます。この自信が学校においての対人的な自信に繋がります。

⑤個別的な支援
 学校に行きたい気持ちが出てきたら、どうしたら行けるようになるかを一緒に考えます。必要あれば学校への道のりも一緒に歩きます。何度か行ければそれも自信に繋がります。

⑥ポジティブに物事を捉えること
 二次障害を起こす原因として、物事をネガティブに捉えて落ち込んでしまうことにあります。
 悲観的にならず、極端に楽観的にもならず、適応可能な考え方を、訪問看護の関わりの中で提供して行きます。

LINEの返信がない→嫌われている ❌
                        →忙しいのかも ⭕️

点が悪かった→自分はダメだ    ❌
      →勉強方法を変えよう ⭕️

 私たちは利用者さんと楽しみを共有する中で、(ゲームをしながら、サッカーをしながら)こころが健康的に成長するように支援しています。

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