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少しだけ頼ることから生まれた時間

「明日は、二人で買い物にでもいく?」
「暇だから、付き合うよ~」
年頃の息子が、快く返事してくれた。
シングルマザーの私は、夜の遅くまで働いていた。
朝から家事を済ませ、仕事に出ると帰りは夜の12時を超える事も
仕事でくたくたの私には、恐ろしく積み重なる、家事のタスクに
心身共にくたびれ、息子には隠せない疲労感と余裕のない笑顔
そんな、毎日にも、仕方ない・・・私がやるのは当たり前だと呪文のように言い聞かせ乗り越えていた。
しかし、ある日突然私は、疲労とストレスから倒れてしまった。

年頃の息子はただ困り果てるばかり
この時私は、息子にも少し家事を手伝わせておけば・・・と後悔した。

幸い少し休むと体調も戻り、また同じ日常に戻るわけだが
今回は、息子に正直にお願いをした。
お風呂の掃除にゴミ出しの協力、自分の部屋は自分で掃除すること
大したお願いではないが、私にとってこのお願いは大きかった。
離婚して、息子に寂しい思いをさせている後ろめたさから、できるだけ自分が頑張って、息子に負担をかけぬまいと何か間違えた責任感を背負い、危うく何もできない大人にするところだった。

やはり、今まで甘々に生活していた息子は
お風呂掃除もゴミ出し、自分の部屋掃除は重荷のようだった。
けど、くたびれ果てた母親の現実を見るのも、息子は辛かったようで
文句を言いつつも、手伝うようになり
これだけでも、私の負担は軽くなってきた。
これに味を占めた私は
もう少し、楽しく二人で家事分担ができないか?と私は知恵を振り絞り
くじ引きをすることにした。
とってもアナログのあみだくじ方式だ。

知る人は知る、明石家さんまさんが歌った、有名な、あみだくじ~あみだくじ~を
口ずさみながら、息子はあみだくじをゲーム感覚で引く
書いてある先には、もちろん家事の項目だが、これだけでは息子のくじを引く好奇心は駆り立てられないので
家事の項目以外に、当たれば息子が喜ぶ、10円 100円 最高500円などの項目もいれる。
家事の項目を引かないでお金を当てられた時は、息子は小躍りをしている中私は、悲壮感を思いっきり漂わせる。息子が家事の項目を引いてくれれば、私は小躍りどころでは終わらない。

この方式で、私も、少しではあるが心に余裕もでき、眉間にしわを寄せる時間も少なくなってきた。年頃の息子ともなんだかんだで、仲良く過ごす時間が増えて、週末のほんの少しの時間だが、息子と買い物に出かけ、ランチを共にすることも増えた。

家事を一人で背負うことが、当たり前のように思い
きっと、鬼の形相であった私
しかし、素直にお願いをして、ちょっとした遊び心も取り入れ
家事を分担して、互いに得たものは優しい時間だった。

#家事分担の気づき


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