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許す許さぬ論争の決着

世の中は『許してやりなさいよ~こんなに謝ってるじゃない?』とか言いがちだ
でも、それって本当にあってるの???
許すって結構大変なのに・・・

ここは、とある建設会社
今はお昼休み中
大工の棟梁と弟子が何か真剣な話しをしている

棟梁 :『お前、ここ最近イライラしてるな。カンナの扱い方見てても、雑だぞ』

弟子 :『すいません、気をつけます・・・』

棟梁 :『お前らしくないなと思ってな~』

弟子 :『・・・棟梁、許したくないのに許さなきゃならない時ってどうするんですかね・・・』

棟梁 :『そうだな、俺だったら許しもしないし、許さない道も選ばないだろうな』

弟子 :『えっ?きつくないんですか?どんな心で生きてるんですか?』

棟梁 :『お前にはたいそう変に思えるだろうな。”許さない!”とずーっと執着することは、その意識から逃れられずに苦しい。でも許したくもないのに許すのも、自分に嘘をついているから苦しい。そんなときはな、俺は、第三の道に進むと決めているんだ』

弟子 :『そんな道あるんですか?他に道なんてなさそうなのに・・・』

棟梁 :『お前の前には、最初から3つの道がある。2つに見えるのは残りの1つを隠されているからなんだ。①許す道と②許さない道と③気にならなくなる道があるんだが、用意されているんだったら、何を選ぶ?』

弟子 :『あ~間違いなく、気にならなくなる道です』

棟梁 :『それは何でだ?』

弟子 :『許すも許さないも苦しいけど、気にならなくなるのは心が楽になる道のような感じがするから・・・』

棟梁 :『そうだな。最終的には楽になる。ただな、最初だけは少し苦しいんだ。実を言えばな』

弟子 :『一体どんなことを考えたら、そんな無我の境地みたいになれるんですか?』

棟梁 :『無我の境地は俺だって無理だぞ(笑)嫌なもんは嫌だしな。まず、自分の気持ちを整理する。そして、許せないし嫌だと少しでも思うのであれば、何でか理由を突き止める。なあなあにするんじゃないぞ。なあなあにするということは、自分をごまかすことなんだ。自分をごまかした分だけ、モヤモヤが取れなくなる。ここからが、ちょいときついところだろうが、許せないし嫌だと思う心を認めなきゃならん』

弟子 :『なんで、嫌だと認めることがきついんですか?』

棟梁 :『例えば、いじめられるのが嫌だとする。でも自分がいじめられていると認めたくない自分が出てくる。なんで自分がそんなことをされるんだろう?と考えることはできても、やっぱり自分はいじめられているんだ⤵と思いたくないだろう?自分が嫌だと思っていることを認めるのは、時に難しいこともあるんだ』

弟子 :『あ~』

棟梁 :『もしここを認めることができたら、後はスムーズに行くと思う。ここで俺が失敗した話しをしよう。今のお前みたいに、許せなくて悩んだときがあった。人に相談したんだ、すると相手はこう言ったよ。”そんなの許せ”。そう言われて、”お前に何が分かるんだ?お前が同じようにされたら、同じ事が言えるのか???”と思って、ムッとして終わったぞ。昔は俺も若かったからな。いいか、間違っても昔の俺みたいに最初っから人に聞くんじゃないぞ。まずは、自分はどう思うかと自分に聞く。これが大事だからな』

弟子 :『・・・でも棟梁、最後にもう一つ聞きたいことが!!!認めた後はスムーズに行くのは何でなんですか?気にならなくなるにはどうやったらなるんですか?』

棟梁 :『心底、許せないし嫌だったと思えたとする。人はな、嫌だという答えをしっかり手にできたとき、同じ事が起こらないように動くもんなんだ。同じ気持ちになるのは嫌だろう?こんな事思ったことないか?”あれ?これこの前も同じ事あったよね。何でだ?”』

弟子 :『あります。忘れた頃にやってくる感じです。人が変わったりするだけで、状況がすごく似てるみたいな』

棟梁 :『嫌なことほどそうなんだ。嫌なことから目を背けると、またやってくる。でも今回、”許すのは嫌”がはっきりしたとする。今度同じ場面にあったら、お前は相手に嫌だと言える自分になってるぞ。今回は相手に言えなかったから、モヤモヤしてただろうしな。言える自分になったら、不思議と気にならなくなるんだ。一回対策しておくと、同じ事が来ても対処できる心になっているから、モヤモヤを貯めずにすむ。すると、問題が問題じゃなくなって、気にならなくなる・・・まあこんな仕組みだな』

弟子 :『道のりが長いような・・・』

棟梁 :『大事なのは辛抱じゃないぞ、心をはーっきりさせること。この世には楽しいことがあふれかえっている。そんなものに気を取られんように、じぃっと考えてみぃ。ちなみに俺は100回以上も気を取られて、モヤモヤしっぱなし。パチンコに行ったり、酒を浴びるように飲んだり、女に溺れたり、ヒモになったり、”もう、いいかな~”なんて自分をごまかしっぱなしだった。はっきりさせることの大事さは、その後になって分かったことだ』

弟子 :『棟梁、真面目に見えるのに、そうだったんですね(笑)』

棟梁 :『な~に、今はあのときより真剣に生きられるようになっただけのことよ』

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