不登校・ひきこもりのための親子オンラインカウンセリング(沖縄県 臨床心理士)
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こんにちは。
うるま心理相談室ココロンの臨床心理士、利根川(とねがわ)です。
今回は、私なりの不登校・ひきこもりの支援のあり方について、書きたいと思います。
GWや夏休み・年末年始の長期休みが終わった直後は、どうしても相談数が増えます。
それはある程度、誰でもイメージのつくところでしょう。
その間、学校に行く・行かない、問題行動の数々を巡って、親子の中でも様々な試行錯誤をされていることと思います。
今回は、そんなご家族に向けて、何か少しでも状況改善のためのヒントになるような記事にできればと思います。
はじめに 「私の不登校・ひきこもり支援歴について」
私は、沖縄県の運営する子ども若者相談機関にて、約3年あまり、不登校や引きこもりの相談をメインとした相談支援の仕事に就いてきました。
いわば公的な位置付けの窓口のため、広くさまざまな県民の方とお会いする機会に恵まれました。
3年間で約200ケース近くのご家族・当事者の継続相談を担当し、多くのことを相談者の皆さんと共に発見し、学び、見つけてきました。
多くのご家族とお会いしていると、自然と色々なことに気づきます。
それは、
・不登校の子たち本人の発言や、
・ご家族の置かれているシチュエーション、
・そのときご家族の思うこと、
・その後の展開…etc
などにはある一定の普遍性がある、ということです。
それを踏まえて、これをお読みくださった皆さんにも、この先どうしていけばいいのか?に関するイメージの一片をお話しできればと思いました。
不登校支援の現状
現在、不登校改善を謳うメソッドやアプローチはこの世にごまんとあり、
「何ケース達成した!」「必ず治る魔法の⚪︎⚪︎⚪︎!」
といった類の宣伝は溢れています。
そのたび、私たちは振り回されます。
私が明確にお伝えしたいのは、いろんな人が様々なことを言いますが、
「研究者や専門家たちの中でも、不登校・引きこもりに関するアプローチ方法は未だに定まったものはない」ということです。
また、不登校の要因はさまざまなことが言われますが、
「解決のための答えは、家族ひとつひとつによって異なるし、
究極のところ、その子どもご本人にしかわからない」ということです。
その子どもの考えがもし、少しづつでもわかることができれば、自然と答えが見えてくることがあります。
「でも肝心のその子どもと会話ができないんです、部屋にずっといる子どもに対してどう話しかけたらいいのかわかりません」
「病院に連れていこうにも、本人が外に出ることができないんです」
「学校の話を出そうとすると、『うーん』と言って濁しながら部屋に戻っていってしまいます」
そう、その立ちはだかる壁をまず解決するために私たちが最初に提案したい、取り組んでいくテーマは、「親子のコミュニケーションの再構築(立て直し)」です。
なぜなのか?について順を追って話していこうと思います。
1、令和4年度までの不登校数について
その前に、まず全体像を見渡してみたいと思います。
文科省による最新データが示しているところでは、不登校生徒の数は、かつてない上昇幅を示しています。
中学生が特に多いです。
ここからひとつ言えることは、不登校はもはや社会現象の域に入っていること。
それは言い換えれば、
・親御さんの子育ての仕方が悪かったとか、
・コロナのせいだとか、
もうそういった単純な責任論だけで説明できる話ではない、ということ
でもあります。
どんな状況で育っても、
・今の日本という枠組みの中では不登校は今や誰でもなりうること
・もっと広く、社会的な意味で、みんなで考えて、支えあって行かなければいけない問題だということ、です。
ですので、家族も、学校も、病院も、支援者も、不登校が誰かのせいのように話すのはもうやめませんか?と言うのが私が最近投げかけたいポイントです。
不登校の要因について、学校側からの調査では以下のようなことが例年指摘されています。
これは先に挙げたグラフよりも少し前のデータですが、これを見ても、肝心の、ではなぜこのような状態になるのか?についてはまだ見えてきません。
2、なにが起きているのだろう?
今のは学校側からの視点ですが、一方で、家族の中から見た子どもへの戸惑いにはこんなお声があります。
このようなお声がよく聞かれる部分です。
不登校やひきこもりは、本人の甘えやわがままなのでしょうか?
色んな立場の人たちからの思案を図に表すとこんな感じになります。
どれも、ある意味、その人の立場からすると「事実」なのかもしれません。
ただ重要なことは、真ん中の子どもの「?」の部分。
子ども自身から、なぜ外に出れなくなってしまったのかが語られることは滅多にない、という点です。
ここに何が入るのか?を考えていく必要があります。
3、県内の相談内訳から見た子どもの背景
では、実際に相談につながったケースからは、「?」に関して、どんなことがわかったのでしょう?
私の勤めた沖縄県の子ども若者相談機関における、取り組みの内訳を次に示してみます。
冒頭で、不登校の原因は家族によって異なる、と説明しましたが、
それでも実は大きな傾向性は大別できます。
大きく分けると、3種類です。
それによって取るべき対応が変わってきます。
の3種類です。
これら3つに準ずる副次的な要素として、
・対人関係の問題
・進路の葛藤
・精神医療の受診の有無
などが絡み合って、複雑化してきます。
これは沖縄県の事情ですが、他県でもおおむね似たような傾向性が出てくるものと推察します。
「1,メンタルヘルスに関する精神的不調」とは何なのか?
今回、まず相談の約50%を占める「1」の要因についてみていきます。
不登校・ひきこもりに見られるメンタルヘルスの不調には、以下のような特徴が代表的です。
お子さんの様子をみていて、いくつか重なるポイントははないでしょうか?
「トラウマ」というキーワードから光を当てて考える
私たちはこれらの現れに対して、
何らかの「こころの傷つき=トラウマ」という切り口を通して関わることが多いです。
それが正解かどうかはわかりませんが、当事者の訴えにおおむね合致することが頻繁だからです。
トラウマとは何か?は拙著の他記事をご覧いただきたいのですが、
今日、トラウマ反応は、脳が生体を守るために出す、異常に対する正常な反応であると考えられています。
本人の意思を超えて出てくるところが特徴です。
ただ、不登校の子たちにとって、何がトラウマとなったのかは、
・明確である場合
・そうでない場合
が両方あります。
多くの場合は後者で、
「どうして自分がこんなにきつくなってしまったのかが、自分でもわからない」
「自分でもわからないけど、外に出たり人に会うことが強烈に怖い」
と彼・彼女らは言うのです。
そんな不思議なことがあるか?とお思いになるでしょう。
そこが「1、メンタルヘルスの問題」で不登校に陥る子たちにまつわる理解において、多くの人がご本人とすれ違いやすい最大のポイントであり、種明かしの部分なのです。
仮に彼らが示しているよくある反応のことを、トラウマ反応と呼ぶことにしましょう。
それには以下の特徴があります。
したがって、「自分でもなぜかわからない急に現れたしんどさ」を説明できないために、彼らはどう考えるかというと、
「こんな風になったのは、自分がきっとおかしくなってしまったんだ」
「自分が弱いからこんなことになったんだ」
と、人知れず、実は子ども自身も、自分を責めているのです。
したがって、先の図の真ん中の「?」の部分を「トラウマ」から見た場合、
この内容が入ってきます。
なので、周りの大人がどんなに思案しても…むしろ親が日夜思案しているのを子どもも知っていればこそ、「尚更これ以上親に迷惑かけちゃいけない」と考えることもしばしばです。
本人に聞いても納得できる答えがなかなか返ってこないのは、そうした背景が関与しているとも考えられます。
4、ではどうすればいいのか?
さて、やっと冒頭の話に戻ってくることになります。
トラウマ反応を示している(かも知れない)子たちに対して、私たちが目にしている状況は、まずまとめるとこう考えられるかもしれません。
まず、私たちの思っていた予想と、実際に本人が体験していることとの間には、ギャップがあるかもしれません。
「不登校は甘えやわがままなのか?」という疑問に対しては、その反対である「自立」という単語を考えるとわかりやすいです。
その単語の裏には「本人は、自分で判断し選択することができる(できるはずなのに選ばないで、ずっと家にいる)」という暗黙の前提を私たちは想定している、ということに気づきます。
しかし、トラウマ反応そのものは、自分で選択できずに、勝手に出てきてしまう反応なのです。
とすると、お子さんは今、とても自分1人で物事を考え切れる状態に置かれていない可能性があります。
周囲の理解や助けが必要です。
共感に基づく、上記のような言葉かけは有効かもしれません。
こうした親御さんによる、家での声かけを工夫していくことで、少しづつ子どもの安心・安全感を増やし、会話の立て直しを図っていく可能性が開けてきます。
これが「親子のコミュニケーションの再構築(立て直し)」が大切である理由です。
また、ご本人が、もし自分の意思で、解決のために外部機関に行ってみたいと望んだときは、無理のない範囲で一緒に探してあげてください。
公的なものを含めて全国にある相談機関としては、以下のような相談機関があります。
5、相談先の案内
①子ども若者総合相談センター
不登校・ひきこもりなど、若者相談全般に関する公的な相談窓口です。
0〜39歳までの若者(あるいはその保護者)であれば誰でも無料で利用ができます。
設置は、各県の努力義務に依ります。
臨床心理士や社会福祉士、キャリアカウンセラーなど他職種が配置されます。
②ひきこもり支援センター
お子さんが成人であれば、①と併せてこちらの窓口も良いでしょう。全国設置です。
③KHJ親の会
不登校・ひきこもりの子どもを持つ保護者の方同士が集まって、情報交換をしあうグループを、通称「KHJ親の会」と呼びます。これも全国に支部組織が存在します。
親にしかわからないしんどさなどを共有しあうことができます。
④民間のカウンセリング機関
手前味噌で恐縮ですが、私も民間カウンセラーとして、オンラインカウンセリングを開業しています。
上記①〜③でまずはアクセスしてみて、それでも解決しないときは、どうしても私費にはなってしまいますが、私や、その他の心理士の運営するカウンセリングオフィスにご相談ください。
ポイントとしては、ご本人が来所できなくても、最初は家族のみでも相談可能な先を探して行かれるとよいと思います。
以下は私のオフィスのホームページです。
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また、もしご本人が繋がれなくとも、周りのご家族から先に相談につながることの大切さについては、拙著「トラウマインフォームドケアについて」で詳しく述べています。本記事と併せてどうぞご参照ください。
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今回は取り上げられなかった要因「2、発達に関連する不調」はまた別の記事にて解説したいと思います。
(つづき書きました!)
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長い記事になってしまいましたが、1人でも多くの方々が、家族の困難を乗り越えていけるよう、心より祈っております。
拙文を最後までご覧くださり、ありがとうございました。
うるま心理カウンセリング相談室ココロン
臨床心理士 利根川
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