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開業心理士の年末ふりかえり(2023年)

本日、12/28をもってココロン納めと相成りました。
今年一年、クライエントならびにnote、インスタでお世話になりました皆々様方、陰に陽に、誠にお世話になりました。

今年はいろいろ思うところもありましたので、年末所感を書き綴っていこうと思います。毎年続けれたらいいなと思いつつ、筆不精な私のことですから、そこはひとつ広い目で見守っていただけたらと思います。(なんなんだ)

来年の3月でココロンは満2周年になります。
今年1年は一言で言えば、本当に「飛躍の年」でありまして、ご依頼下さったクライエントもそうですし、SNSで知り合い交流させていただいた方も含め、一年目に比べて、数多くの出会いを頂きました。

当初、週2日で始めたココロンも気付けば枠は全て埋まり、むしろ溢れかえってしまって、時に休日帯も使って対応させていただいたりと、忙しくもありつつ、それは幸運なことでした。

その中で、特に強く感じた部分を少し徒然なるままに書き綴ってみようと思います。

1、方法としてのオンラインカウンセリング

対面とオンラインとの間で

「オンラインカウンセリング」。

コロナ禍を経て一気に公共権を得た概念ではありますが、初めた当初、私にはまだ一抹の不安がありました。
なにせ心理臨床という生業は、ひとつひとつの出会いを丁寧に出会っていく営みであり、一対一の「対面形式」が重んじられるのは、大学院のトレーニングでは今も一貫しているところです。
支援者と被支援者が出会うその様子は時に「聖なる一回」とさえ、表現されました。オンラインでのカウンセリングはまだ途上で、それを看板に掲げる自分はどこか「外れもの」な感じもしましたし、これって同業者から見たらどう見てるんだろう?などと不安はありました。
ある種、不安を超えて、負い目のようですらありました。

…元より私は「オンラインで一発当ててやるぞ」と思って始めた人ではなく、あくまで病院臨床で対面で続けていたケースを、退職後もフォローするための一つの選択肢として、必要に駆られて作り出した「方法のひとつ」でした。

当時、時はまだ2021年。コロナ禍の最も激しい波が一回収束を見たかどうかくらいの頃でした。

認識の変化

不安な中でしたが、実際オンラインを進めていきながら、少しづつ認識は変わりました。
研修で同業者の活動などをつぶさに聞くにつれ、トラウマ治療のある技法を開発した大家でさえ「今はほぼオンラインで臨床を行なっている(私信)」との言や、界隈では比較的有名な某心理士も「今はオンラインがメイン(またも私信)」との言を聞くにつれ、「どうも私だけではないようだ」との感触を得て、少し自信を持って、今に至るではあります。

印象として、国内よりも海外の方がテレアナリシス(電話分析)に端を発した、遠隔治療についての知見が重ねられているようですし、比較的受容されているところがあるように見えます。

そうした様子が伺えるのが、コロナ禍を契機に出版され、精神分析の視点から提出された「サイコアナリシス・オンライン」の著書で、私にとって実践の一助でもありました。(でも原著の出版は90年代。)

その他、LINE相談や、SNSカウンセリングに関する書籍もつまみつつ、少しづつ準備とイメージを固めていったところがあります。

経験としてのココロン

実際、始めてみてどうだったかというと、私のココロンでのオンライン臨床は、対面に比して勝るとも劣らず、フィジカルな面での不自由さはありながらも、本質的な部分での交流・変容については、十分可能であるとの印象を得ています。

むしろ、オンラインというフィジカルな面での交流が制限されている分、こころの交流は、当事者同士の表現能力にも依りますが、「研ぎ澄まされたやりとり」がなされうる余地があることを感じています。

さらに言葉を添えるなら、病院臨床を離れた後、私は沖縄県内にて、子ども若者を対象にした本人・家族相談にも携わることになり、そちらは電話オンリーで終結するケースもあるのです。(もちろん面談もやります)

一度も顔を合わせない相談関係であっても、子どもの問題行動について一定の改善を見ることができるというのは、これもこれで私にとっては発見でした。
それはそれで沢山勉強しましたが…。
なのでオンラインで、ZOOMで、同じことができるのは、私にとってはなんら不思議なことではありません。

もちろん対面のリッチさはあるのですが、少なくともクライエントの主訴に応えうるための手段は一つではない、むしろ相談者の実情に応じた相談の形が幾らかあってもいいのでは、という道を示したいとは思う所存であります。

オンラインのススメ

そんなわけで、私にとって遠隔相談・オンライン相談という方法は、病院臨床を離れたばかりの私に新しい視野を開かせてくれたのでした。
同業者に伝えたいことは、「あなたに余力があるのなら、ぜひオンラインも偏見を捨てて試してみて欲しい」ということです。

なにせ初期費用は少なくて済むし、(インターネット接続料と、タブレットかPC、あとは幾らかの経費で十分)この国のメンタルヘルスのサポートは圧倒的に遅れているし、不足しているのだから。

2、軌道に乗るまで〜 ChatGPTに聞いてみた

とはいえ、開業していきなりクライエントが訪れるわけでもなく、軌道に乗るまでは時間と手間が必要でした。

基本、ココロンのことなど誰も知りませんから、どうすればクライエントと繋がることができるのかは未知でした。

ホームページやSNSを作ってはみたものの、自分自身そこまで自己主張するような人間でもないため、訴求力に今一つ欠け、まあ簡単に言うとパッとしませんでした。

転機

どうしたものか、と思っていた矢先、職場の同僚と空き時間に談笑していると当時お茶の間を賑わせていた「ChatGPT」のことが話題に上りました。これを2人で半分遊び道具のように色々質問しては、返ってくるコメントに面白がったり、ツッコミを入れたりしていて、その時はそれで終わりました。

数日して、あれは何の時だったか、突然に閃いて「ココロンのこと、ChatGPTに聞いてみるか」と思ったわけです。
「自営業で集客を図るにはどうしたらよいのだ」とおもむろに尋ねると、ChatGPTから返ってきた反応は意外にまともなものでした。

「そのためには利用者にとって有益なコンテンツを提供し、ニーズの掘り起こしをしていくことです。ホームページやブログで情報発信をしていきましょう。」

ChatGPTの助言。(他にもいくつかあったが、ここだけは今だに忘れられず、覚えている)

…なるほどいいこと言うな、と膝を打った私は、さっそくそれを実践してみることにしました。やることが明確になった気がしました。

「インスタに記事を溜めていこう。それも今の実践と絡めてがいい。そうだ、トラウマケアについてまずは投稿していこう。」

使い慣れないCanvaアプリをインストールしたスマホを片手に、私のChatGPT大作戦が始まったのでした。

(〜♪ 地上の星 / 中島みゆき)

「インスタの投稿欄って、なんか皆見た目スッキリした素材で統一してるよなぁ、ああいう“っぽいやつ”やってみたいなぁ」
「基本ベージュで、真ん中のとこだけ色違いにしたらオシャレよねぇ」
「無料のフォントってみんな癖あるわぁ、使いにくいわぁ」

等々。
しっかり顔出しもしていこうと決めたのもこのぐらいの時期からでした。結構勇気要りました。

とまあ、そんなこんなで、インスタの投稿は着実に増えていきました。

同業仲間や当事者など、いろんな方との交流

ChatGPTの導きにより、投稿を増やしていくと、自然といろんな方からDMが入ったり、フォローも増えていきました。

トラウマケアをしている同業の方とのつながりができて、そちらからのクライエントのご紹介を頂いたり、情報交換、あるいはケースについての相談を受けたりできたのは、思わぬ良き出会いでした。

また元不登校の当事者である、「きのっちさん」からインスタのコラボ記事のご依頼をいただいて一緒に記事を作ったのも新鮮な経験でした。
(この時はまだ不登校や引きこもりを専門にしていることは、まだどこにも表に出していなかったので、この話が来たときは、正直驚きました)
この時の投稿を元に繋がった相談者さんもいらっしゃいます。ChatGPTが…もとい、きのっちさんが繋げてくれたご縁です。

EMDR学会の治療者リストから飛んできてくださった方もいらっしゃいます。そうそう、今年そちらにココロンも掲載依頼したのでした。

以前、病院でお世話になったクライエントからのご紹介で来てくださった方もいらっしゃいました。

トラウマケアを受けたい、と希望される方も多いです。
また、子どもの相談についても。

本当に、皆様それぞれのチャンネル、それぞれのアンテナから、ココロンを見つけてくださるようになり、書いていて胸が熱くなります。(ChatGPTすごすぎる)

ありがたいことに、中断ケースはこの2年で0%でした。

頂いたご縁をお一人お一人、ひとつひとつを誠実に、大事にしていくことが私にできる唯一だと思っています。

会計との戦い

これはあまり相談とは関係ありませんが、ココロンの会計について、簿記の勉強もこの2年でのテーマでした。

・青色申告をしっかり出すこと
・会計ソフトと仲良くなること
・余裕を持った確定申告を

これらが裏のテーマでした。

独学なので、都度調べながらですが、基本的な部分はある程度わかってきた感はあり、回せるようにはなったと思います。

こんな風に、「できないことができるようになる」「知らなかったことがわかるようになる」「新しいことができるようになる」という達成感は個人的に好きで、まったく心理学と関係ないですが、ちょっとした楽しみでした。


3、現在と今後のビジョン

私の今の臨床の軸は、主に「トラウマ・家族・ASD」の3本でできており、この3つの背景の隙間を縫ってくれるのが「精神分析」です。この視点があれば、ほぼ大抵のケースの対応が可能と言うことがわかりました。
具体的な治療道具としては「家族療法」「EMDR」「BSP」「パーツワーク」「TFT」があり、すべてが有機的に繋がって理解できるようになりました。

貴重な経験のフィールドをくれたココロンと県の若者相談機関「sorae」に感謝です。また今年は中学校のスクールカウンセラーと、看護学生への非常勤講師も兼務していましたので、合計4足のわらじでした。

ちょっと働きすぎて後半バテましたが、来年は2.5足くらいにします。

インスタ・noteの投稿の方は、こんな様子で相談数も増え、わらじも多すぎたために後半執筆する暇が持てませんでしたが(投稿をすると着実に依頼が増えていくので、あえて止めているところもあります)、啓蒙は大事なことですので、Chat GPTの教えを守って、続けていきます。

あと、来年度ココロンは、もう1日相談枠を増やす予定です。
すでに少しづつそちらの相談枠で案内している人も出ていますので、ニーズがある方はどうぞお早めに申し付けくださいね。

4、おわりに

徒然と書き綴ってみました。
ここまで長文・乱文お読みくださり、ありがとうございました。

この2年は私にとってチャレンジングで、刺激的な2年でした。
開業っていいな、と思いました。
ひとつひとつが喜びであり、次はあそこだと思えることもまた喜びで。
充実感がありました。

皆々様にも素晴らしい明日が来ますように。
2023年、大変お世話になりました。
良いお年を。

とねがわ

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