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文学フリマに出店します(売るため準備編)

ニッチな歴史資料だから…

プロパガンダ臭のない戦争の一次記録って、たぶんそろそろ貴重だと思って。

なので、祖父の自伝を文学フリマ『ノンフィクション・郷土』カテゴリにて頒布します。

前々回・前回のコラムで「出版までの工程・出版してから知ったこと」を書けたので、今回は「出店までにやったこと」を記録しておきます。

何はともあれ申し込み

文学フリマ公式サイトから申し込みます。
申し込みには先着枠があり、半分くらいは申し込んだ時点で出店が確定します(残りは申込みが定員超過した場合に抽選の対象になる)
出店費用は1ブース(90cm、長机半分幅)5500円でした。東京は地方開催よりちょっと高め。(前橋は4000円)

ちょっとエグい例ですが、地域によって違うのは出店料だけではありません。

・東京開催…1ブース5500円/出店者1000(来場者4000人前後)
・前橋開催…1ブース4000円/出店者110(来場者500人前後)

部数とか広告方法とか、ものすごく変わりそう。

なお、帳簿の仕訳は「広告宣伝費」にしました。

印刷部数どうしよう問題

開催1ヶ月くらい前にブース番号が来ました。
ド正面に山崎ナオコーラさんがいらっしゃる……
慄きつつも、会場に宅配で納品してもらうので、ブース番号を明記して印刷所に申し込み。

冊数は…ホント迷うよね…刷りすぎてダダ余りになったら泣けるし、部数が少ないと単価上がりすぎてちょっとイヤだし……

今回は初出店で情報が少ないので、単純な算数で考えることにしました。

東京会場の開催時間は6時間、来場者見込みは4000人

知人に会いに来て、直行直帰する人だけで4000人ということは、さすがに無いでしょう。25%が直行直帰する人と見て、3000人を潜在顧客とみなします。
また、「わざわざ会場まで来ている人」は、少なくともWEB広告よりは購入意欲が高いはず……というわけで、1人あたりの平均購入数を5冊とみなします(根拠はありません)。

3000人×5冊=15000冊に対して1000ブース→1ブースあたりの平均販売冊数は15冊

雑な算数ですが、見込み販売冊数は15冊とし、目標販売数はその倍、つまり30冊としました。潜在顧客の1%です。
平均12分に1冊のペースで売れれば完売する計算になります(全然売れない気がしてきた、超怖い)
印刷部数は保管や献本、見本誌提出にもう少し多めに。

帳簿の仕訳は「仕入れ高」。独立して五年、初めてつかう勘定項目です

広告備品、設営備品とっても大事(マーケティングの話)

文学フリマには、見本誌エリア近くに「チラシを置くコーナー」があります。今回のブース位置は通過する人が多そうなので、自スペースで配布するぶんも考えて来場者の5%、つまり200枚用意しました。2分に一枚旅立てば捌ける計算です。

自宅やコンビニで印刷する人も多いようですが、チラシこそ業者に頼んだほうが安くてキレイです。

A5フルカラーの両面印刷で1枚あたり12円!
余ったら余ったで行動分析にも使えるはずです。

さらに、名刺100枚。

A1ポスター1枚。

全部あわせて5000円ちょっとでした。安いなあ。
とはいえA/Bテストできないので、何がどれだけ効果出るかの詳細分析は難しいかも。

チラシ、ポスター、名刺は「広告宣伝費」。ポスタースタンドは「消耗品費」で計上。

あとは、同人誌の即売をしている人なら誰でも知ってる設営備品。

・ガムテープ
・マスキングテープ
・カッター
・ハサミ
・のり
・サークル布
・値札
・POP

このへんは百均でもいいでしょう。勘定項目は「消耗品費」

デザイン、タイトル、とっても大事。

ブースデザインは出店レポや設営写真を参考にしました。なにせド無名サークルなので、とにかくファーストインプレッションが大切……
今回は「本のヤミ屋行商人」をテーマに、20年熟成させたお気に入りの革トランクと自作の手製本をディスプレイしました。

(本書のなかの、爺ちゃんのヤミ屋行商人無双、けっこう面白かったんですよね)

実は、書籍タイトルも訴求性を意識して変更しています。(原題は「あしあと」でした)
マーケティング優先で改題される例といえば、最近はこれが話題になりましたが……

↓の例は改題後のほうが断然好き。

でもグレイテストショーマンが「リストラされたから差別されてた奴らを仲間にしてショービジネスで大成功したったwww」になってたら大炎上だったはず。
ターゲットとブランディングの達成度によって、タイトルやデザインの方向性は大きく変わるってことなんでしょう。

なお、表紙デザインは今回知人に依頼したので、勘定項目「外注工賃」で経費計上しました。
(しつこく書いてるけど、勘定項目ってそんなに厳密ではないです。参考程度で……)

商社勤務経験がこんなところで活きるとは思わなかった……

簿記とマーケティングの話になっちゃいましたね。

行ったことのあるイベントであれば、来場者の行動パターンをある程度想定できるのですが……身の程知らずにも初参戦なので、無難かつ王道系の広報戦略で行くことにしました。

参考にしたフレームワークは「VRIO」「アイドマ」「オムニチャネル」など。どんな知識もムダにはならないものです。やっててよかった公文式。(技術開発部だったのになあ……)

営業の8割は準備で決まると言います。文フリではどの程度効果があるでしょう……怖いなあ……

なおAmazonでも買えます!(文フリ版のほうが安くて豪華だけど!)

次回は、文学フリマと出版ビジネスについて思うところを。

インディーズ出版をしてみて、ブンガクはもっと自由になっていいんじゃないかと思ったんです。
文化事業のマネタイズとかについても。(偉い人たちを怒らせそうで怖いですね)


投稿日 2019.04.25
ブックレビューサイトシミルボン(2023年10月に閉鎖)に投稿したレビューの転載です


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