國部克彦

大学で会計学と経営倫理を教えています。これまでの研究を踏まえ,現代社会の課題について自…

國部克彦

大学で会計学と経営倫理を教えています。これまでの研究を踏まえ,現代社会の課題について自分自身の考えを発信したいと思います。主著『創発型責任経営』(日本経済新聞出版社,2019年),『アカウンタビリティから経営倫理へ』(有斐閣,2017年)等多数。(発言は個人的意見です)

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宗教化するワクチン論争(7)軽々しく利他を口にする人たち

 利己と利他の関係は,最も基本的な倫理的課題であり,宗教的な課題でもあります。人間がいかに生きるべきかという,とても深遠な課題です。しかし,そのような重大な問題であることを全く考慮に入れず,新型コロナワクチンをめぐって利他を強調する主張や宣伝が,世界的に垂れ流されているのは,由々しき問題です  たとえば,有名なところでは,8月くらいから,政府広報として元サッカー日本代表の内田篤人氏を起用して,「あなたとあなたの大切な人を守るためにも,ワクチン接種をご検討ください」と言わせて

    • 『責任という倫理』出版記念シンポジウムの開催

      『責任という倫理』(ミネルヴァ書房)の出版を記念して、シンポジウム「責任を倫理を担えるか」を、12月2日(土)に開催します。詳細は下位の通りです。研究者向けではなく、一般向けに企画したものですので、ご都合がつけばぜひご参加ください。 日 時:2023年12月2日(土)13時30分-17時20分 場 所:東京大学 法3号館8階会議室 https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_03_j.html 参加費:無料 【申込

      • 『責任という倫理ー不安の時代に問う』が出版されました

         経済哲学者後藤玲子さん(帝京大学)との共編著『責任という倫理ー不安の時代に問う』(ミネルヴァ書房)が刊行されました。この書は、2017年に上梓した『アカウンタビリティから経営倫理へ』(有斐閣)を出版した時に、山本清さん(東京大学)に勧められて、人文社会科学を横断する研究者で責任の問題を考える研究会を組織したのがきっかけです。法哲学者の瀧川裕英さん(東京大学)、哲学者の神島裕子さん(立命館大学)、会計学者の金森絵里さん(立命館大学)も参加して頂き、その及ぶ研究成果として出版で

        • 大学教育再生を目指して

           私が大学教員になったのは1991年なので、もう30年以上、大学教育に関与してきたことになります。専門は会計学で、最初の5年間は母校の公立大学に勤務しましたが、その後は国立大学に転じ、ずっと経営系の部局に所属してきました。その間、大学の管理職も何度も務め、まだ現役ではありますが、現役として活動できる時間もそれほど残されているわけではないので、行動できる力があるうちに、現在の大学の課題を整理して、できることなら少しでも解決し、あるべき大学の姿に近づけるように、努力したいと思って

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        宗教化するワクチン論争(7)軽々しく利他を口にする人たち

          日経ビジネスに記事が掲載されました

          「ワクチンの境界」について日経ビジネスから取材を受け、記事になりました。1月13日中なら下記サイトから無料で読めます。ぜひどうぞ。

          日経ビジネスに記事が掲載されました

          オンライン講演会のお知らせ

          私の著書「ワクチンの境界ー権力と倫理の力学」の出版を記念して、一般社団法人市民審議会の皆さんが、アメージング出版と協力してオンライン講演会を企画して頂きました。ご関心のある方はぜひご参加ください。 https://v-ethics-0128.peatix.com/view

          オンライン講演会のお知らせ

          「ワクチンの境界」の反響について

          「ワクチンの境界」が出版されて1月くらい経ちましたが、あまり宣伝活動はしていませんが、いろいろなところから反響を寄せて頂いております。Amazonのレビューもおおむね好評のようで、感謝しています。本書が少しでも皆さんのお役に立てば大変うれしいです。 noteでも下記のような記事を書いて頂きました。「輝くような黄色」様、大変的を得たご意見誠にありがとうございます。このようなご意見にとても励まされます。私は特に論争したいわけでも、自分の意見を無理やり広めたいわけでもありません。

          「ワクチンの境界」の反響について

          「ワクチンの境界」(アメージング出版)の予約が可能になりました

          昨年よりnoteに書き溜めてきた原稿を書籍化し,アメージング出版から,「ワクチンの境界ー権力と倫理の力学」として出版しました。ワクチンによる分断の理由をできる限りわかりやすく説明しました。10月21日出版で,Amazonで予約できるようになっています。現物は本日届きました。紙媒体だけでなく電子書籍でも利用可能になる予定です。 一時は専門書としての出版を目指しましたので,noteの原稿よりもやや引用が多くなっていますが,どなたでもお読みいただけるように配慮したつもりですので,

          「ワクチンの境界」(アメージング出版)の予約が可能になりました

          出版社が見つかりました

          note に書き溜めた原稿を書籍化すべく出版社を探してきましたが、すでに30冊以上の出版実績があり、日本経済新聞や東洋経済のような大手からも、有斐閣や日本評論社のような専門出版社からも複数の出版実績のある私でも、今回は大変苦労しました。ようやく、アメージング出版の千葉社長がその価値を認めてくれて、冊子と電子書籍の両方で出版できる目処が立ちました。7月には刊行できると思います。すでに歴史書になってしまうかもしれませんが、記録を残すことも人類の責任です。

          出版社が見つかりました

          書籍化を考えます

           noteの記事やワクチンについて書いた論文が,いろいろな方のお役に立っているようで,記事の書籍化を望まれる声も頂くようになりました。これでも何かに役に立つなら,書籍化に向けて検討したいと思うようになりました。まず,「はしがき」だけ書いてみました。 <はしがき>  2019年末に中国武漢で発見された新型コロナウイルスは,瞬く間に世界に拡大し,2020年初めにはWHOが世界的なパンデミックを宣言し,その後,世界は新型コロナウイルス感染症に対する長い戦いに入りました。  しかし

          書籍化を考えます

          専門家は信用できない

           コロナやワクチンの話をしていると,自分は素人で何も分からないから,専門家の意見を聞くしかないとか,心配だから接種してよいかどうか専門家(多分医師)に聞いているという話を本当によく聞きます。また,政治家もコロナ対策をの在り方を聞かれると,オウム返しに「専門家の意見をうかがって」と言って,自分の考えを述べようとしません。  しかし,専門家とはそれほど信用できる人々なのでしょうか?特に,人類にとって未知のウイルスや未知のワクチンに対して、「専門家」が有効な回答ができるのでしょう

          専門家は信用できない

          眞子さまの革命

           眞子さまの結婚は日本民族に対する革命だったと思います。あまりにも衝撃的すぎて、誰もうまくコメントできていませんが、何千年続いていたとしても、ただの形式は、本気になった一人の生身の人間で壊せることを満天下に知らしめてくれただけでどれほど功績があるか分かりません。  天皇は男系でないといけないとか、女性天皇が良いとか、全て、天皇家の人々の人格を無視した無責任な幻想であったことを白日の元に晒してくれたことに、心から感謝したいと思います。  もはや、天皇家は男性がいないので続か

          眞子さまの革命

          SDGsに意味はある(4)〇〇とはさみは使いよう

           SDGsに意味はないことを説明してきましたが,そうはいっても,国連で全加盟国が賛成して成立したアジェンダですから,使いようはあるはずです。  一番良くないのは,皆がやっているからSDGsをするべきだと単純に考えて,しかし新しい活動はできないから,今やっている活動を洗い出して,SDGsのロゴを貼って,SDGs活動をやっているように見せることです。これでは,SDGsがなくても同じことですから,意味がありませんね。  また,SDGsができたから,何かやろうと思っても,そのよう

          SDGsに意味はある(4)〇〇とはさみは使いよう

          SDGsに意味はある(3)経営者を応援しよう

           これまでは,SDGsに否定的な見解を書いてきました。しかし,SDGsにも意味はあります。そうでなければ,社会を指導する立場にある人たちが,こぞってSDGsをやろうとするわけがありません。  とりわけ企業経営者がそうです。企業は利益を追求する組織ですから,無駄なことをするわけがありません。その利益責任を最も強く課せられているのが経営トップたちで,彼らがあえてSDGsを推進しようとするには,意味があるはずです。  日本企業の団体で,経営トップの中のトップが集まる経団連は,K

          SDGsに意味はある(3)経営者を応援しよう

          「多様性」というマウンティング

           今年,最も残念だったとことは,これまで「多様性(ダイバーシティ)」が大事だと言ってきた世界のリーダーたちが,実は,多様性を最も嫌う差別主義者だったことが分かったことです。アメリカのバイデン大統領、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相などはその典型です。  彼らは、党の名前を色々変えるマクロンは別にして、民主党や自由党とかいう名の政党に属し、リベラルな政策をモットーとしてきました。リベラルといえば、多様性を重視し、弱者に厚い政策を展開するはずですが、新型コロナワク

          「多様性」というマウンティング

          SDGsに意味はない(2)おじさんたちだけが頑張る構図

           それではSDGsを熱心に進めている人たちは、どのような人たちでしょうか?世間では、ミレニアル世代や、Z世代と言われている若い年齢層の関心が高いと言われていますが本当にそうでしょうか?  私は大学で30年間教えてきて,常に20歳前後の若者を見てきましたが,この30年で,若者の環境や社会に対する意識が高まっていると感じたことは一度もありません。下がっているとも思いませんが,彼らは基本的に自分の目の前にないものには,あまり関心を示しません。  下の図は,日本総研の若者意識調査

          SDGsに意味はない(2)おじさんたちだけが頑張る構図