見出し画像

「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」について(政治家女子48党浜田聡議員のお手伝い)


令和5年2月 7日閣議決定され法務省から第211回国会で、3月3日衆議院と参議院で受理されました。

裁判所職員定員法の一部を改正する法律
裁判所職員定員法(昭和二十六年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第一条の表中「八五七人」を「八四二人」に改める。
第二条中「二万千七百七十五人」を「二万千七百四十四人」に改める。
附 則この法律は、令和五年四月一日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する

法案の内容は、判事補の員数を15 人減少し、裁判官以外の 裁判所の職員の数を31 人減らすというものです。
現在の人数は、令和4年4月に改正された人数で、1年後の今回また人数の改正があります。

裁判所職員定員法

内閣法制局のサイトにある提出理由には、「近年の事件動向及び判事補の充員状況を踏まえ、判事補の員数を減少するとともに、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」とあり、要点は3つ。
①近年の事件動向及び判事補の充員状況を踏まえ判事補の員数を減少
②裁判所の事務を合理化し、及び効率化すること
③裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要がある
法案改正の背景と共に、内容を調査し、最後に私の意見を投稿します。



①近年の事件動向及び判事補の充員状況を踏まえ判事補の員数を減少


裁判所サイトにある近年の事件動向は全体的に減っています。


第211回国会 衆議院 法務委員会 第3号 令和5年3月10日既に衆議院法務委員会で議論がなされています。
議員の主な質問は、平成13年に司法制度改革があり、それを基に質問しています。

平成13年に最高裁判所は裁判の迅速化、専門化への対応の必要性から地方裁判所の民事訴訟で裁判官の手持ち件数を減らすこと、合議率を約5%から10%程度まで増やすこと、審理時間を一年以内に短縮させることが目標に設定されたようです。その目標の達成に十年間程度で約五百人の増員が必要とされた様です。
その後は社会情勢の変化、国民意識の高まり等を背景に民事訴訟事件は複雑化、困難化し、平成13年当時は予想していなかった問題が多くなり、特に判事を中心に更なる増員が行われてきたそうです。
現在は、令和3年の民事訴訟事件の平均審理期間は十・五月。審理期間が二年を超える事件は約13,500件で、13年の目標の一人当たりの手持ち数、合議率、審理時間には達成していないとの事。


法務省サイトの説明では、2001年平成13年6月に司法制度改革審議会意見書を取りまとめ、司法制度の機能を充実強化し、自由かつ公正な社会の形成に資するため、
(1)国民の期待にこたえる司法制度の構築 
(2)司法制度を支える法曹の在り方 
(3)国民的基盤の確立
を3つの柱として掲げた上で、法制度の改革と基盤の整備に向けた広範な提言が盛り込まれたとあります。


裁判所のサイトには詳しく書かれていますが、平成13年の政府の司法制度改革推進計画には、民事と刑事の司法で審理期間の約半分への短縮や、専門性の高い人材を求め、充実・迅速化が強調された内容になっていました。


平成14年3月19日閣議決定時の「政府の司法制度改革推進計画」には、「現在の法曹人口が、我が国社会の法的需要に十分に対応することができていない状況にあり、今後の法的需要の増大をも考え併せると、法曹人口の大幅な増加が急務」とあり「法科大学院」の創設やそれに合わせた司法試験とする内容になっています。


法的需要に対応するようにとか、審理期間時短や専門性が必要とされた大改革の訳は、やはり平成になって平成7年オウムサリン事件や平成9年の神戸連続児童殺傷事件などの想定し得ないような大事件が起きたからではないでしょうか。



最高裁判所の「3年7月 裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 令和最高裁判所事務総局」によると、平均審理期間は平成13年当時より伸びて令和2年には9.9ヶ月

新受理件数も減っているし、複数の裁判官が協議して決める「合議率」も増えて10%を超えています。


第211回国会 衆議院 法務委員会 第3号 令和5年3月10日

衆議院法務委員会での質疑を読むと、最近の動向は増加に歯止めがかかり、落ち着きが見られると答弁されている。更に判事の増員を求めなくても事件処理には支障は生じないとも。

適正かつ迅速にする為に審理の仕方を改善し、複雑困難な事件は合議体による審理を活用。
複雑困難事件等の合議体で審理すべき事件を、争点を中心とした審理にできる様に、争点の整理や議論をしているとの答弁がありました。

さらに、特許権事件等の知的財産権関係訴訟、医療関係訴訟、建築関係訴訟等の専門的知見を要する民事訴訟は、一部の大規模庁にこれらを専門的、集中的に処理する部を設け、特に知的財産権関係訴訟は知的財産高等裁判所を設置。それぞれの分野における知識経験が豊富な裁判官による審理を実施するための体制を整備している。
 このほか、知的財産権関係訴訟など専門性の高い事件は、各分野の専門家を裁判所調査官や専門委員といった形で事件に関与させ、専門的な知見を要する事件にも対応。
さらに、国際化への対応という観点では、毎年、多数の裁判官を海外の大学や研究機関等に派遣をいたしまして、海外の司法制度や裁判実務の状況等について調査研究を行わせているほか、知的財産権に関する国際会議、シンポジウム等に裁判官を派遣もしているとあります。
審理の運用手法等の改善や裁判官の能力の向上は、争点整理の在り方や合議の充実、活用について各種協議会等を通じて議論をしているとも。
また、産業の高度化や国際化への対応という点では、専門的知見その他必要な知識、技法の習得及び力量の向上のため、裁判官を対象とする研究会を実施。例えば、金融経済分野の研究会におきましては、大学教授や企業の法務担当者を講師として、企業活動に関する法的問題について講演や意見交換を行っていると答弁されてます。

さらに、複雑困難な事件への対応で高度な専門知識を持った人材の確保が大変重要で、他方でそういった人材を輩出する法科大学院の志望者数は、設立当初より大幅に減少してきているといった問題もあります。
そこで、令和四年十月、法科大学院教育の充実や法曹資格取得までの時間的経済的負担の軽減を目的とする法曹養成制度改革法が全面施行されたとありました。
法務省とこの文科省の「3+2の制度」の更なる周知等に努め、より多くの有為な人材が法曹を志望する環境づくりに向けて全力で取り組んでいくそうだ。

3+2制度


この法科大学院については面白い質問がありました。
階猛議員の質問の中に、この受かった人が司法試験にそれぞれ臨むわけですけれども、法科大学院に入って修了者の司法試験合格率が、令和4年37.65%。一方予備試験を受かって司法試験を受けた人は、何と97.53%、ほぼ100%合格。これは母集団が405人で、落ちたのはたった10人ですよと(笑)
さらに恐ろしい質問が続くので、これについては本筋ではないので興味のある方は読んで見て下さい。如何に政府が税金の無駄遣いをしているかがわかる内容です。


鈴木庸介議員の質問では、「※五大法律事務所の採用傾向というのがあり、これはロースクールから予備試験組を重視しているという明確な方針があるとされています。高いお金を出してロースクールに行って権利を与えられた学生よりも、予備試験をくぐってきた人たちの方が一般に優秀であると各弁護士事務所が判断をしているということの証左だと思うんですね。」とあります。
こういった世界を股に掛けた国際的な法律事務所の人材は、基本的には優秀な人達で、予備試験も司法試験も問題なく合格する方だと思うので、わざわざ法科大学院(ロースクール)に時間と金をかけて行かないというのが正解のような気がします。


裁判官の報酬をみると、確かに大手の弁護士事務所には敵いませんね。




司法試験受験するには、2つの方法があります。
①予備試験に合格したら司法試験が受けられる
②法科大学院を受験し合格し履修したら、卒業後司法試験を受けられる
※法務省に資料が見つからないので民間の資料

発言のURL


因みに本文に何度も出てくる司法試験の「予備試験」は、2001年木村拓哉氏がドラマで演じた『HIRO』の久利生公平は、中卒で予備試験を受け合格し、その後司法試験に合格して検事になったという設定で話題になりました。


裁判官以外の裁判所職員の超過勤務についての質問があり、職員が事前に申告し、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、実際の超過勤務の状況を現認することを基本。また、管理職員が不在となる場合は、執務室の鍵の授受簿による確認や事前申告の内容を踏まえて事後に実績を確認するなどの方法・・・。
これっていつの時代の話なんだろうというのが感想。それこそマイナンバーカードで管理したらどうですかって思うのは私だけ?
「令和三年度における、行(一)六級以下の職員等の一人当たりの一月の平均超過勤務時間は、下級裁判所全体で五時間程度、最高裁判所で十六時間程度」というのは本当だろうか?霞が関の省庁官僚の超過勤務時間を見たら、きちっとマイナンバーカードで管理したほうが良くないかなぁ~。


さて、判事補マイナス15人の根拠ですが、階毅議員の質問をみてみましょう。
直近の事件動向、判事補の充員が困難な状況が続いていること、昨年の法務委員会での附帯決議等を踏まえて総合的に検討して、今般、昨年度に引き続き十五人の減員をする」
具体的には判事補の充員に努め、令和三年が六十六人、令和四年七十三人、そして令和五年七十六人というふうに、ややではありますが増加してきた。」
しかし、早い話が裁判官希望者が少なく(1400人の内5%位)募集してもなお欠員が多いので、募集人数を更に少なくしたらしい。


②裁判所の事務を合理化し、及び効率化すること


第211回国会 衆議院 法務委員会 第3号 令和5年3月10日
裁判所も、デジタルに関する専門的な知見や経験を取り入れるのは有用で、令和三年度から転職サイトを利用し採用募集を行っている。令和三年度には合計三名、令和四年度に合計三名のデジタルに関係する専門的な知見を有する方を職員として採用。
現在も、裁判所のデジタル化に向けた検討において、その知見を発揮。デジタルに関係する専門的な知見を有する方を採用することは、デジタル化の検討に向けて有意義で、今後も更なる人材確保を含めて、デジタル化の検討等に必要な体制を確保できるよう検討、と答弁されてます。


全司法新聞2017年7月号の記事には内部からIT化の声が上がった様子が書かれています。

民事訴訟のIT化により、裁判所の方々も模擬裁判で練習です。

YouTubeには2019年から最高裁行政局チャンネルが開設され、模擬裁判なども作られている。


裁判のIT化に関する法制度の令和4年2月1 5日報告書
そして、日本の五大法律事務所の1つに、令和4年2月には今後日本の裁判のIT化において参考とするべく、中国、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジア、イギリスの合計10か国の裁判のIT化の状況を調査し報告させている。

2021年9月デジタル庁発足後、行政の規制改革で省庁をまたぎ次々とデジタル化を行っている。
公布日:令和元年11月26日 施行日:令和元年11月26日
商業登記規則第三十三条の八第四項の規定に基づく電子認証登記所の登記官が電子署名を行ったものであることを確認するために必要な事項(令和元年法務省告示第185号)


公布日:平成26年12月12日 改正法令公布日:令和元年11月26日 施行日:令和元年11月29日
商業登記規則第三十三条の六第五項及び第六項等の規定に基づく法務大臣が指定する電子証明書の方式等(平成26年法務省告示第543号)

公布日:令和2年1月16日 施行日:令和2年1月16日
電子署名及び認証業務に関する法律施行規則第五条第一項第一号二の規定に基づく主務大臣が告示で定める方法(令和2年総務省・法務省・経済産業省告示第1号)

       ・・・・・

公布日:平成25年5月31日 改正法令公布日:令和3年6月11日 施行日:令和3年9月13日(※未施行あり
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律【番号法、マイナンバー法、個人番号法】(平成25年法律第27号)


公布日:令和3年5月19日 施行日:令和3年5月19日(一部の内容を除く。)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和3年法律第38号)


デジタル庁で、裁判関係の事務はどんどん法案が出来議論され可決して行くでしょう。
裁判所の方々は数年前から訓練し対応できる様対処しつつある様です。
国民にとっては急激に変わる訳ですから、法律と法律のはざまで取り残される人、あるいはシステムのミスで大きなトラブルが起きるかも知れません。当然そう言った事は想定され対応もできる様に現場でのマニュアルも出来ているのでしょう。なぜなら、経済大国3位の日本が失敗したからやめましょうという訳には行きませんから。
しかし問題は寧ろ国民の方で、急激に変わる司法の世界、国民がこういった情報を的確にうけて対応できる様、行政には全体的な改革の内容を解り易くイラストで発信して欲しいと思います。

デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン



③裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少する必要がある


裁判官以外の裁判所の職員を三十一人減員とその理由は、
「事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進のため、裁判所事務官を三十九人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化、効率化することに伴い、技能労務職員等を七十人減員し、以上の増減を通じまして、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十一人減員する」とあり、39-70=31人。
技能労務職員とは、庁舎の清掃や警備、電話交換等といった庁舎管理等の業務や、自動車の運転等の業務を行っている職員で、既に欠員となっている。
庁舎管理業務等は必要に応じて既に外部委託等による代替が行われ裁判所の事務に支障は生じないとの事。
裁判所もデジタル化のスケジュールで、職員の配置換えや経費削減で技能労務職員が担っていた業務を、合理化、効率化を行ってなお残存するものについて外部委託を行うなどして民間に委託しているのでしょう。


事件処理の支援のための体制強化の為に、裁判手続等のデジタル化の検討、準備、裁判手続に関連する各種法制の検討への関与、庁舎新営等に伴う事務などで、適正迅速な事件処理を支援するための体制強化で裁判所事務官を増員している。

選択と集中ですね(#^.^#)


裁判所の人員は毎年の様に変わっている。前回の昨年も付帯決議が野党から出され、今回も野党から出され可決している。毎年ほぼ同じ内容なのかも知れない。

裁判所職員定員法



令和4年3月の付帯決議5番が今年は無くなったらしい。

まとめ


今上映中の話題の映画があります。
「2002年、開発者の金子勇はファイル共有ソフトWinnyの試用版を公開する。瞬く間にシェアを伸ばす一方で、違法アップロードが社会問題に発展していく。開発した金子は、著作権法違反幇助の容疑で逮捕され、弁護団と共に逮捕の不当性を訴えることに。」(えいがナタリー)で、実話に基づき制作された映画です。
内容は映画館で是非見て頂きたいですが、技術の進歩についていけない警察や、7年の裁判を続け無罪になりましたが、長期化した事でこの開発者の金子勇氏への「逮捕により優秀な技術者の才能が潰された」といった逮捕批判の声も多く聞かれました。
また、ホリエモンこと堀江貴文氏逮捕の2004年「ライブドア事件」は、決算報告として提出された有価報告証券書に虚偽の内容を掲載したとして、証券取引法等に違反した疑いが持たれたため逮捕され、裁判で最高裁で懲役2年6カ月の実刑が確定。

東芝の田中久雄社長が引責辞任する見通しとなった時のツイッター投稿。



映画『Winny』予告編 3月10日全国公開


堀江氏や金子氏に見られる逮捕・裁判・実刑確定又は無罪で日本のIT業界の損失は計り知れないと言われています。どれほど日本のプログラミング開発者やベンチャー起業の立ち上げする若者達を委縮させたかわかりません。
ITの先進国では、例えば英国では駐車違反の異議申し立てを補助する「DoNotPay」というボットサービスがリリースし、駐車違反の申し立ての書類作成を手伝ってくれたりしてるそうで、何年も前から日本のIT化は遅れ成長しない日本は「失われた30年」と言われ続け、その原因の1つが司法のガラパゴスであったとしたらと考えずにはおれません。
また、先の大戦の敗北による占領下での憲法で、日本の風土と慣習を加味して裁くのですから、通常では考えられないご苦労があるんだろうなとも思えます。

前に進めたい、規制をなくしたいという私は勿論賛成です。


質問
1・IT化によってさまざまなトラブルがあると思いますが、どの様な事が想定されますか?
2・身分証明書としてマイナンバーが割り振られていますが、オンラインでの司法の手続きはマイナンバーカードを持たない人はどの様な方法で身分を証明しますか?
3・今後司法ではAIの判断はどの様な分野にどの様に何時頃影響しますか?
4・司法試験の出問の傾向はどの様に変わりますか?
5・集中と選択が見られますが、判事の主な仕事は何になりますか?
6・弁護士の仕事の内容はどの様に変化すると思われますか?7・合理化・効率化で歳出削減はどれくらいになりますか?






















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?