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映画館で複数回鑑賞した初めての作品💐

私は映画が人並みに好き。私にしては珍しく今年に入ってから映画館で8回も観た。その内3回が同じ作品である。同じ作品を複数回、映画館で観るなんて初めてだったから、noteに記してみようと思った。映画の感想を詳しく述べるつもりはない。

『花束みたいな恋をした』

私は坂元裕二さんにずっと少し惹かれている。

初めて坂元裕二さんを意識したのはドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』。
当時中学生だった私。有村架純が好きだからという理由で見始めたけど、登場人物みんなが毎日を生きているこのドラマに衝撃を受けた。シナリオ本というものを初めて買って、サントラは私の中高生活の精神安定剤となった。今では「いつ恋といえば私」とみんなが口を揃えて言うくらいに、いつ恋について語っていた。

坂元さんの作品は全部は観ることができていないし、観ることのできた作品全部が自分の琴線にふれたわけではない。だけど、いつ恋を観てから確実に坂元裕二さんは、あまり夢中になれるものがない私の中で大きな存在になった。ドラマをもっと真剣に観るようになった。『脚本家 坂元裕二』を発売日に買った。一般では普通のことでも私にとっては大きな出来事だった。

大学生になった春、数ヶ月ぶりに高校の友達と再会した。彼女はいつも自分の話を意地でもしない人だから、私が話すしかない。質問はたくさんしてくるから話すのは苦ではない。(彼女は高校のとき1番一緒にいた子だったが、残念ながらあの日以来2人きりで会うことはなかった。)大学に入って慣れない環境に少し苦しさを感じていた私は、彼女に再会した日に尋常じゃないくらいに喋った。喋りながら自分じゃないみたいって思ってしまうくらいに喋った。話したと言うよりも喋った。ずっと喋った。帰り道はすごく不思議な感覚に陥った。夢の中にいるようだと感じた。彼女はどう感じていたのかは知らないけど、あの喋った時間が幻となった気がした。帰り道、スマホなんて見たくなかった。音楽なんて聴きたくなかった。ナチュラルな領域に身を置きたくなった。

そんなときに何故か坂元裕二さんを思い出した。家に帰ると居ても立っても居られず、坂元さんのインスタのDMに今日の出来事を送っていた。量はスマホの画面に収まりきらないくらい長い文章だった。迷惑かもしれないという感情が私の中で一瞬よぎったけど、そのときは坂元さんに放出する手段しかなかった。今思うとすごく迷惑だったに違いない。時期的に2021年公開の映画の脚本に頭を悩ませてらっしゃった時期と被っている気がするから尚更のこと。迷惑を止められなかった自分は坂元さんのファンとはまだまだ言えないなと今でも思う。笑
坂元さんは丁寧に、私の送った文章に触れて二言・三言返事をくださった。私はそれを受け取ってから心がすごく満たされた。

そんなことがあった年の10月30日に、映画『花束みたいな恋をした』が公開されることが発表された。嬉しかった。制作が発表された事実だけで公開まで頑張れるって思った。しかも主演は有村架純と菅田将暉。監督は土井裕泰。なんて奇跡的な私得な映画なんだろうか。何が何でもこれは、公開日に1人で観に行こうと決めた。誰に誘われようと絶対に1回目は1人で観に行こうと決めた。

シナリオ本は公開前である発売日に買った。中身はもちろん読まず、あとがきだけ読んだ。

大学は1年間オンライン授業で、課題が例年より膨大で大変だったが、公開日に何が何でも見に行こうと、一生懸命課題に取り組めた。課題が終わるかが非常に不安だったので、舞台挨拶の応募はしなかった。公開日の前日に課題を終わらせることができた。急いで舞台挨拶中継付きのチケットを取った。エグゼクティブシートを取ることに成功した。

公開日当日。
帰りに映画の世界に浸れるように、サントラをダウンロードしてから家を出た。楽しみのあまり、結構早く映画館に着いてしまった。とりあえず普段は買わない派の人だけど、今回は観る前の時点で大切な作品なのでパンフレットを購入。ウィンドーショッピングで上映までの時間を潰した。

1番乗りでシアターに入った。後から入ってくる人の生活をたくさん想像してしまった。この人は誰かのファンなのかな。この子たちはきっと今日たまたま流れで観に来た感じだな。このカップル、出会いからお別れまでを描いた映画ってこと知ってるのかな、心配になるくらいイチャイチャしてるな、劇場内で2shot何枚撮んねん。右隣に座った私と同年代くらいの女性は、柔らかい生地の椅子に座る前に念入りにアルコール消毒していた。きっとこの方も普段は家にいるけど、今日ばかりは家を飛び出してきたのだな、と思った。ただそのアルコール消毒に3分以上もかけていたから、途中で笑ってしまいそうになってしまった。柔らかい生地にウェットティッシュで何回も擦る発想が私にはなかったから。

舞台挨拶中継が始まった。架純ちゃんかわいい、「菅田将暉です」ってANNが始まりそうなテンションだ、土井さんイメージ通りの人だな…
坂元さんは右端に立ってらっしゃった。リアルタイムで動く坂元さんを見たのは初めてだから内心興奮していた。4人の中で見ていて1番面白かったのは何故か斜めを向き続けていた坂元さんだった。斜めを向き続ける坂元さん見られただけで、駆けつけられてよかったって心の底から思えた。

坂元さんの作品だから、今考えればこれは当たり前のことなんだけど、恋愛の話かと思ったら人生のお話だった。すごく重力を感じた。これ誰にも感想言いたくないやつだわ、と観終わってまず最初に思った。
劇場を出ると、緊急事態宣言による時短営業でグッズ売り場が閉まっていた。先にパンフレット買っておいて良かった〜。
帰り道、予めダウンロードしてきたサントラは不要だった。携帯みたくない、音楽聴きたくない。あ、あの子に会った日の帰り道と同じ感覚。

今話しかけないで。まだ上書きしないで。
まだ昨日の夜の余韻の中にいたいんだよ。

そんな絹ちゃんのセリフを思い出した。帰り道に私の目に映った世界は、今までと時空が違うようにその時は感じた。

それからしばらくこの映画のことが頭から離れることはなかった。観てからの1週間、私の趣味は「noteで“#花束みたいな恋をした”で投稿されている記事を読むこと」だった。しかもnoteのアプリではなくsafariから。笑 1/29からの10日間ぐらい、このハッシュタグで投稿された記事は全てに目を通したと言う自信がある。授業も課題も1月で終わった大学生の私は、そのときめちゃめちゃ暇だった。暇じゃなかったし、やらなきゃいけないことがたくさんあったけど、ベクトルが『花束みたいな恋をした』のことを考えることにしか向かなかった。

その頃からいつか始めてみたいと思っていたnoteを遂に始めることができた。次は1ヶ月に投稿することになるかもしれないし、1年後に投稿することになるかもしれないけど。

私は就活生になろうとしている。もうなっていると言わなくてはならないのか。情報量が多すぎて、サークルやゼミ、教習所など毎日やることが多すぎて、自分の理想に追いつけない。
頑張ることをやめたくなる。だからたまには自分のありのままを放出する時間を大切にしていきたいと思う。麦くんと絹ちゃんみたいに就活を後回しにする人にはなりたくないな、と少し思う。

『花束みたいな恋をした』。生きてきて初めて、好きな映画何?って聞かれたら即答できる映画になった。好きなものを見つけたり、探し出すのはエネルギーがいるけど、流れで好きなものになってくれたときはとても嬉しい。ユリイカ、まだ全部を読めてないから早く読まなくては。

DVDは注文済み。これで梅雨をうずくまってないで活動的に過ごすことができそう。1年の後半の始まりである7月が待ちきれないなんて久しぶりすぎることかもしれない。 

次に映画館で複数回観るような映画はどんなものなのだろう。

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