どこにも採用されなかった、もしくはそもそも応募すらしてない短歌の中からの記録

短歌がたくさん見つかった。自分で見返しても、もはやどういう世界観?


洗剤を海に溶かしてジーンズを脱いで裸をどうにもしない

カンガルー爆発の音聞こえたかい このホテルちょっと壁が薄いね

花びらをくちびるに貼る息を止め このままじゃ死ねないと泣き出す

積み上げたナゲットはまだ息があり息を吐くぼくを見つめ返した

冬と過去 冷たさを虚無と誤解した光にぼくは溶かされていく

朽ち果てた死体を蹴って開く空 彗星に攫われたぼくを追う

乾かした虹は砕いて粉にする画家たちのドーピングのために

「ふやかした虹を湯船に溶かすから天使はいつも美しいのよ」

森なんて見たことないよ偉そうにピアスも開けたことないくせに

マルメロよ光に透ける丸薬が噛み砕かれる先に微笑み

鯨から5ドルを借りてアメリカへ布団から転げ落ちて真夏だ

八月は窓から夜に手を浸す蠍を抱くようにして眠ろう

ゆきのなかまわらなくなるかざぐるま冬は子どもをふいに隠した


20年代がくるのが重い。