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夢を捨てた日。

非現実的な夢なんて要らない。

新しい私が生まれ
金銭面では厳しいけれど…

私は自由を手に入れた。

代償はそんなに大きくはなかった。

ピアニストになるのも
中学生の時に母親から…

「お前は何でも出来るから
お母さんは妹にお金をかけないとダメで
お前は大学には行かせない。」

と、思春期の私に言い放ったのだ。

なので、習い事も全て辞め
物分りのいい顔をして…

全てを諦めた。

特にエレクトーンを辞める時は
少し寂しい気持ちも有りましたが
先生がいつからか変わり
相性が最悪だったので晴れ晴れした気分だった。

音楽系の先生って…
案外、陰湿だった。

生徒である教え子に無茶振りをして
そつなくこなすと、ネチネチと嫌味を言われ
精神的に追い込もうとして来るので
本当に相性と言うより
人間性が嫌いな先生だったので…

肩の荷が降りた。


少し話は脱線してしまいましたが
新しい私が
心の準備もなく生まれた。

この時代は甘かった。
今じゃ未成年とか雇うと刑罰なのに。

仕事内容は、お客様をもてなす仕事だと
聞いていたが…

真面目な箱入り娘だったので
接客方法が分からなかった。

見様見真似で
キャストと呼ばれる女の子に教わりながら
基礎を覚えて行く事となる。

おしぼりの渡し方。
灰皿の交換。
お酒の注ぎ具合。
カラオケの裏拍子で取る手拍子。
体内時計でのトークの計り方。

こんな基礎さえ分からなく
この先、不安しか無かったが…

野心家で数字と成績が欲しく
ガムシャラに働いた。

連勤は当たり前。

嘘とお金と欲にまみれた世界に
こんなに長年居続けるとは思わなかったが
初々しい私と言うキャラが
確立されて行く、毎日が経験の日々だった。

そして不眠症も
この時ばかりは役に立ち…
いきなりの夜勤にも順応出来た。

しかし、私には致命的な事があった。




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