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【#青ブラ文学部】アナザーストーリー〜あたしはAV女優

【#青ブラ文学部】アナザーストーリー〜あたしはAV女優

▼本編はこちら

 あたしは三九歳のおんな。
 かつてはAV女優として、世間を席巻しましたのよ。

 一〇年前、あたしはAV業界でも有名な女優でしたの。その頃は、中坊からおじいちゃんまでファンが大勢いましたの。
 あたしのウリはアンダーヘアで、その黒光りする、ブロッコリーのような茂みに当時のAV男優も昇天してしまったものですのよ。ホホホ
 それと、こんなこともありましたの……
 余命幾ばくもないお

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【#青ブラ文学部】俺はタクシードライバー

【#青ブラ文学部】俺はタクシードライバー

 俺は二九歳、独身の男だ。
 そして、タクシードライバーを生業としている。

 勉強もそこそこできた俺だが、社会人になる直前に映画『タクシードライバー』を観たのが、ことの始まりである。
 その映画の中のロバートデニーロに、雷に撃たれたごとくビビッときたのだ。そして、決心した。それまでの就職活動をきっぱり止め、親の反対を押し切ってタクシードライバーとなった。

 それからというもの、血の滲むトレーニ

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【#青ブラ文学部】白馬に乗った王子様

【#青ブラ文学部】白馬に乗った王子様

 静寂を破る放屁の音が部屋中に響き渡った。

 もちろん響き渡ったというのは誇張です。
 でもその時の私は顔から火が出る思いでした。
 いなか者からみれば大都会に鎮座する大学に進んだ私は、初めてのゼミでそのニ時間が耐えられるかどうか心配でした。
 そうなのです、私はお腹が空くと「グー」と鳴ってしまうのです。
 その日もそのことを心配しながら、生まれて初めてのゼミというものに向かったのでした。
 そ

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今年のクリスマス

今年のクリスマス

 私のクリスマスの思い出は、ちょっと特殊なのかもしれません。それは楽しいものでもなく、悲しいものでもない、からです。

 確か幼稚園以前の事だったと思います。
 その頃、私たち家族は借家に住んでいて、クリスマスには近くの教会に礼拝に行きました。
 そこでの記憶は、ストーブを囲んで礼拝が行われ、礼拝の後にはクッキーが配られました。
 そして、家に帰ってからは小さなケーキを家族で切り分けて食べました。

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【バトンリレー企画2022】心に残るエピソード『Kの思い出』

【バトンリレー企画2022】心に残るエピソード『Kの思い出』

チェーンナーさんのバトンリレー企画のバトンが、さいとうT長さんから周ってきました。

▼バトンリレー企画

さいとうT長さんは、シーズー犬の可愛い『おかづ』ちゃん目線のエッセイを洒脱な語り口で投稿されていて、いつも楽しく拝読しています。
今回のエピソードも少し重たい内容ながらも、おかづちゃんの生い立ちや立ち位置が分かる傑作です。

▼シーズーおかづがやって来た!

閑話休題

私は高校時代のエピソ

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【うたスト】徒花 /ジユンペイさん

【うたスト】徒花 /ジユンペイさん

歌からストーリー︓歌を聴いて物語を作ろう︕

▼課題曲I

『徒花 /ジユンペイ』

https://youtu.be/cbCh99GuIGc

▼小説

徒花(あだばな)[2022文字]

 昭和の時代、僕と僕の同級生の彼女は四畳半一間の安アパートに暮らしていた。
 それはささやかではあるが、二人の愛の巣であった。愛も育んだし喧嘩もした。それは僕にとって、愛おしい場所であり時間であった。

 そ

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【うたスト】世界の約束 /PJさん

【うたスト】世界の約束 /PJさん

歌からストーリー︓歌を聴いて物語を作ろう︕

▼課題曲A

『世界の約束 /PJ』

https://youtu.be/07NAPCtA-vc

▼小説

達(ダチ)[2525文字]

 同窓会に向かう車中。
 車窓に映る自分の顔を眺めながら、ヤツのことを思い起こしている。
 ヤツは今ごろ、何処で何をしているのだろうか。そしてボクのことを覚えているだろうか。ボクはこんなにヤツのことを思い、こうして

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冬ピリカグランプリ2022応募

冬ピリカグランプリ2022応募

赤提灯
― 先輩のことば ―

 社会人になったばかりの頃、私は慕っていた人物がいた。それは、同じ職場の五歳年上の先輩である。
 仕事のことにはめったに口出しはしないものの、暖かく見守ってくれた。仕事を離れても四月は花見、七月は海水浴、それに新年会・忘年会と率先して段取りをしてくれた。
 それにも増して、社会人としての心構えを示唆してくれたりもした。

 学生時代の窮屈な環境から解放されて、また多

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【#才の祭歌詞】男性目線応募

【#才の祭歌詞】男性目線応募

原案『「もう好きじゃないよ」ってどういう意味?』(ちょこさん作)の楽曲歌詞
男性目線

「秘密のじゅもん」

(1)
「もう好きじゃないよ」 魔法のことば
続きがあるんだ 秘密のじゅもん
「もう好きじゃないよ」 魔法のことば
続きを聞いて 慌てないで

君が去ったあの日から
世界は色がなくなり
街はいつも涙色
クリスマスというのに

君と遊んだ あの海や山
君の笑顔 君の仕草
想い出とか もう忘れ

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【#才の祭歌詞】女性目線応募

【#才の祭歌詞】女性目線応募

原案『「もう好きじゃないよ」ってどういう意味?』(ちょこさん作)の楽曲歌詞
女性目線

「もう好きじゃないよ」ってどういう意味?

(1)
「もう好きじゃないよ」 あなたが言った
何故なのわたしの 気も知らないで
「もう好きじゃないよ」 あなたは言った
わたしの気持ち も知らないで

夜の街にただひとり
あなたから逃げたわたし
夜の街は寂しくて
涙が頬をつたう

でも大丈夫 わたしは強い
彼の笑顔

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【#才の祭小説】100文字の聖夜 / 小説じゃないけど応募

【#才の祭小説】100文字の聖夜 / 小説じゃないけど応募

ショートショート【100文字の聖夜】(100文字)

「ねえあなた、あそこに見える灯は何かしら?」と彼女。
ちなみに、僕の彼女は好奇心が旺盛だ。

「ああ、あれはラブホテルだよ」と僕。

「あらそうなの、中はどんなのかしら?」
やはり好奇心旺盛だ。

「ここと同じだよ」

[笑止]
#才の祭 #才の祭小説

▼【#才の祭】小説公募について

【#才の祭小説】お義父さまの手記

【#才の祭小説】お義父さまの手記

掌編【お義父さまの手記】(約450文字)

お義父さまから譲り受けた手記の内容は秘密です。
少しだけ明かすと、お義父さまと私が過ごした日々が綴られているのです。
そして、私にとって何ものにも変え難い宝物なのです。

・・・・・

お義父さまが職場を去る時、私は気持ちばかりの餞別をしました。
「私も辞めたいのだけど……」と社交辞令とも取れる別れの挨拶をすると、
「餞別ありがとう、ところで今つき合って

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