BtoBマーケティングであまり語られない【購買サイクル】
いろんなベンダーさんがBtoBマーケティングを語っていただくようになり、業界全体が盛り上がっています。20世紀からBtoBをやっている身としては隔世の感があり、うれしい限りです。
ただ、
「BtoBマーケターのやるべきこと」 = 「そのベンダーの提供機能の範囲」
となってしまうのは少し違うかなとも思うので、もう少し大きな視点から我々BtoBのマーケターは何を考えるべきか、を書きたいと思います。
BtoBの購買サイクルという定義
これは私が登壇する講演でよく使っているスライドですが、「法人顧客はどんなプロセスでモノやサービスを買うのか」をまとめています。
カスタマージャーニーと似ていますが、対象が違います。カスタマージャーニーの分析対象はその人個人のジャーニーですが、購買サイクルでは購買組織が進めるプロセスの循環を定義しています。
具体的には、以下の通りです。
・ 現状維持
・ ニーズの顕在化
・ 調査
・ 仕様の確定
・ 評価
・ ショートリスティング
・ ベンダー選定
・ 承認
・ 発注
・ 導入
・ 運用
一過性プロセスではなく循環するサイクル
さらに一過性のプロセスではなく、導入・運用のステージから現状維持に戻る、という循環サイクルを説明しています。BtoBでは継続取引が多く、大規模な設備でも数年ごとに更改される場合もあるため、ニーズが顕在化する前の「現状維持に戻る」というルートを定義する必要がありました。この循環サイクルと現状維持を定義の有無により、マーケティングの活動は大きく異なります。
現状維持
すでにニーズが満たされている状態、またはニーズは顕在化しているが投資優先順位が低い状態です。どれほどステキなソリューションでも、どれほど担当者が困っていても、組織として投資優先順位が低ければ当該年度は現状維持となってしまいます。そのため、なぜ投資優先順位を上げなくてはいけないのか?を定義しなければ、耐用年数や保守切れというトリガーを待つだけになってしまいます。
ニーズの顕在化
何らかの理由で担当者または組織レベルで「新しい財・サービスの導入が必要である」という認識が固まった状態です。
・消費税増税のため、レジシステムを更新する
・オフィス移転でネットワーク機器を更改する
・幹部の人事異動で方針が変わり、デジタルマーケティングを進める
などがあります。企業のコンテンツからこれを引き起こすことは難易度が高いのが現状ですが、
調査
ニーズが顕在化すると、担当者は当該商材の調査を始めます。ロングリスティングとも言われ、「自社のニーズに対して解決可能な施策候補をリストアップする」プロセスです。
このプロセスだけを指して「営業に会う前に、顧客はすでにWebで情報収集を終えている」と謳われている場合もありますが、循環サイクルを成しているBtoBの購買サイクルではそうではない場合も多々あります。
仕様の確定
施策候補の調査を進めると、「自社の顕在課題を解決するためには、どのような仕様であればよいのか」が購買仕様として大まかに決定されます。
・年間xx万件以上のメール配信能力
・他のシステムとの連携機能
・導入サポートやトレーニングの充実度
・納期や予算
などなどが 決まっていきます。
重要なのは、自社のUSP(Unique Sales Point)が、顧客の重要な購買仕様として定義されるかどうか、です。自社のUSPが争点となるモメンタムづくりもBtoBマーケティングの重要な役目です。
やはり長くなったので続きます。。。
※Top絵はphotoBさんによる写真ACからの写真を使わせていただきました。