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北斗に生きる。

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終戦から73年目の夏。 私は戦争体験者である祖父の手記をあらためて読み返した。幼少期の記録から、軍に召集された青年期、 そして終戦の日。 73年前のあの日、祖父は宮崎でその日を迎… もっと読む
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#人吉

北斗に生きる。-第9話-

明けて正月から、寒稽古の時である。 丁度、運悪く体調が悪い。毎朝、病室まで検温にゆく。寒稽古に参加することが出来ない。 二日目、「寒稽古がいやで検温に行っているのだろう。お前みたいなやつは死んでしまえ」 といわれる。翌朝、軍医少尉殿に寒稽古に出て銃剣術の仕合に出たい旨を話し、全治にしてくれと頼んだ。軍医殿は何かを感じたらしく、体調が悪かったら病室に来いと、全治にしてくれた。 翌朝は、まだうす暗い寺の境内に集合する。 いきなり「村山、出てこい」と班長が挑戦してきた。 この時を