オススメ漫画 『ナナとカオル』
ずっと語りかったおすすめ漫画の話
※本記事は若干センシティブな表現を含みます
私は冗談抜きで甘詰留太先生の『ナナとカオル』に大きな影響を受けた。それは恋愛観といったものに限ったものではなく、人間関係を考えるときに今でも『ナナとカオル』の事が脳裏をよぎる。
『ナナとカオル』全18巻 2008~2016
『ナナとカオル Black Label』全5巻 2014~2016
『ナナとカオル Last Year』全5巻 2019~2021
エッチなマンガですか?
甘詰先生の描く登場人物が、個人的に刺さっていることは正直に白状した方がよさそうだ。
ネタバレではなく数話でわかる事だが、幼馴染のナナとカオルはお互いに意識し合っている。
エロと言ってしまえばそれまで、しかしあまりに妖艶な物語と心情描写に心が抉られる作品。甘詰先生の作品は刺激的であるが、『ナナとカオル』に直接的な性行為描写等は一切ない。
公式では「ステップアップSMラブコメディ」と銘打たれている。あらすじにある通り、ナナとカオルがSMという刺激的な非日常を通じて心を通わせてゆく物語。顔が熱くなるようなピュアな恋愛描写も多いのだ。
私はSMの世界を知らない。
個人の趣味嗜好は自由にすればいいと思っているが、少なくとも自分は『ナナとカオル』以外で通ってこなかった道だ。S(サディスト),M(マゾヒスト)という概念や単語は確実にアダルト寄りなものだが、十代の会話の中で普通に「私どちらかというとMかな」みたいな話が出てくる。
不思議なものだ。
「いい子」であり続けようとしてしまう奈々の為に、二人は「息抜き」と称してSMごっこを始めることとなる。この秘密の関係性の起こりは思春期の性欲などではないのだ。
私は 性 と 性 は切り離せないものだと思っている。
千草奈々と杉村薫、近くて遠い幼馴染の2人は、ちょっと刺激的な性を通してお互いと自分自身の深層にある性質に触れていく。そんな青春の物語。
S と M って何だろう…
二人だけの非日常な青春が始まってから、カオルは常に道具に気をつかっている。縄も、ベルトも、ナナの肌に傷1つつけない為に。
そんな姿を見ていると、
サディスティックとは何かと考えさせられる。もはや奉仕精神にすら近い、ナナを想っての振る舞い。一方で、そうした道具や細かい気遣いに対して自分を想ってくれている事を感じ取って喜び、それでも渇く程に求めてしまうマゾヒズム。
一般的な嗜虐と被虐では表現できない世界
ただ恋愛マンガをエロで描いた訳でも、エロいものに純愛要素が含まれてきたわけでもない。SMでしか描けない『ナナとカオル』の世界に、私は強烈に惹かれた。
縛
カオルは自己肯定感が低く、「俺なんかが」という考えが垣間見える。自分なんかナナに相応しくない、と。カオルにとってナナは自分なんかが「縛ってはいけない」存在。
SMという非現実的な現実
理想と現実の乖離
いつか終わってしまう理想の現実
ただ何もSMという者を知らない私だが、重厚で読んでいて苦しくなるような物語にいつの間にか惹き込まれて
縛る、縛られる、縛りたい、縛れない、縛るべきではない、
そんな自分の中には無かったハズの、妖艶な思考の縄に絡めとられてしまう。こんな不思議な感覚になる漫画を、私は『ナナとカオル』以外に知らない。
マンガとゲームが好きだから、まさにカオルが如く自己肯定感の低い私は感想すら文字にすることを躊躇ってしまう。それでも最近改めてナナカオを読んで熱が戻ってきてしまい、語りたい欲が抑えられなかったので紹介。未読の方は是非。
ナナカオは良いぞ。
シリーズ
『ナナとカオル』全18巻 2008~2016
メイン 高校生活
『ナナとカオル Black Label』全5巻 2014~2016
二人にとって大きな転機となる、高校三年の夏
『ナナとカオル Last Year』全5巻 2019~2021
高校三年、最後の高校生活 奈々と薫の物語完結編
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