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ゆずり葉学舎の思い出話

先日、「イノチのシゴト」の第3回を公開しました。せっかくなので思い出話のようなものを綴っていきたいと思います。

イノチのシゴト第3回は群馬県富岡市のオルタナティブスクール「ゆずり葉学舎」です。ここは2022年に運営が始まった小学1年生〜6年生までの学校で、現在も10名以下の子供たちが通っています。

最初に訪れた時の第一印象は、「広い!」でした。僕は北海道の美幌町という広大な農村地帯の育ちなので、なんだか懐かしさを感じていたら、ここを管理する代表の方がなんと北海道出身の方でそのスケール感覚に納得しました。

本州でこの伸び伸びとした広さの中で子供が日々を過ごせるというのは、本当にレアだと感じました。オルタナティブスクールやフリースクールというと割とこじんまりとした家屋のイメージがありましたが、ここはそうではなかった。

その理由は、校長のこうちゃんが「子供を育てるのは環境」だという観点に基づいているからというのを、インタビューで知ることができました。

「大人が教えることは少しだけど、子供たちは環境の中で学んでいく」という彼の瞳は子供たちと同じように活き活きと輝いていました。

イノチのシゴト第3回より

ゆずり葉学舎の敷地内に足を踏み入れ、僕がカメラなんかを回していると子供たちが何やら嗅ぎつけてあっという間に僕を取り囲んで、やっていることを本当に興味深そうに覗き込んで、時には手がスルスルっと伸びてきて触ってみようとしたり、ポーズを取ってくれたり、マイクに向かって歌ってくれたり叫んだりと、もうお祭り騒ぎ。

なんか、子供だ!って感じですよね。ここでは子供の好奇心が全開!何か本当に危険なことでもない限りは、子供にそのさじ加減が任されている様子。自然環境の中のバランス感覚を養う彼らは、大人という生き物ともしっかりその間隔を計って安全に、そしてワクワクまっしぐらに「遊んでくれる」。

いつしか「おじさん」も「けんごさん」と呼んでくれたり。だんだん僕もゆずり葉の一部になっていくような気分に。

僕も子供の頃は、とにかく走り回った。そして絵よりも造形物の方が好きだったのでダンボールや割り箸や粘土でいろんなものを作っていたことを思い出しました。雪が揺れば巨大カマクラづくり、ダンボールで雪崖から滑り落ちたり、キタキツネなんかの野生動物に遭遇したり。


イノチのシゴト第3回より

そういう背景から僕は大自然が子供の遊び場というのを肌感覚で知っています。そのせいか、本州に引っ越してきて自然環境が少ないのがしんどかったし、ゲームにどっぷりハマっている同級生がなんか宇宙人みたいに感じた記憶。でもそこから数年で僕もゲームを覚えて沼ってましたよ。さすが子供の順応力笑

でもどこか人のルールの上で遊ぶのは「ごっこ」感があってなんだか冷静というか、どっぷりいかなかった。それはきっと幼少期の自然環境で遊びに遊んだ感覚が影響していると今では思います。

何が違っているかというと体を動かすこと。そしてルールを自分たちでカスタマイズしたり作ったりもできるところがゲームとの大きな違いのように思います。そして逆らえない自然のルールも同時に体感する。

ゆずり葉でカメラを構えて子供達と同じ目線で動いてみると自分が北国の子供の頃にタイムスリップしたように錯覚します。

イノチのシゴト第3回より

大人になって思うのは、日本の学校の勉強というのは独特ということ。小学校1、2年なんて友達がいるから行く、という動機もほとんどではないかな。

そこで違和感を感じてしまったり、教科書が読めなかったりするのは、実は人間としては正常な反応かもしれません。嘘が書いてあったら直感の効く子供はあくびくらい出るのでは。

その年代の本質は、想像力や創造力や実現する喜び、仲間との時間、少しずつ世界を知っていくドキドキ。そんなところではないかと僕は思います。

イノチのシゴト第3回より

頭が回るようになってから学んだほうが勉強も楽しい。だから焦る必要は全くない。タイミングは人それぞれ。

むしろ創造力や発想力があって学校の勉強を考えた方が、複数の答えから学校向けの答えを選ぶ、ということができるようになる可能性もあります。それなら「こうじゃなきゃいけない」という何か窮屈なものに感じなくて済むのではないでしょうか。

今まで体験したことのないワクワクやドキドキの創造性は学校ではあまり学ぶことはできない分、やはり家庭の影響が比較的大きいと思います。

イノチのシゴト第3回より

子供の時期としても、何かに特化するようなことも親が促しやすいかもしれません。武道をはじめとする伝統や技術、その他習い事なんかもやはりその時期は親の積極的なサポートがあってのことでしょう。

ゆずり葉のお二人も「大人たちが子供を育てる土壌」といった表現をされていて、僕はそれを聞いた時に本当に震えました。だって自然栽培も土ありきと考えるからです。

自然栽培の観点からすれば根を伸ばす環境をつくるわけだから、決して直接効果のある肥料は与えない。でもちゃんと環境づくりはする。どちらかといえば引き算だし、呼吸感のある環境づくりになる。

これを置き換えれば大人が便利なアレコレを使って子供の環境に無闇に関与せず一見無駄なスペースみたいなものをつくるということかなとも思ったり、でもこれって意識しないとできないことですよね。コンセプトとしてやろうと思わないと多分実践するのは難しい。


イノチのシゴト第3回より

ゆずり葉の普段の一日の流れというのはそんなヒントに溢れているように思いました。僕が田畑で一年かけて聞いてきた自然の声が、毎日ダイレクトに聞けるというのは、きっと面白いだろうなぁ、そしてすごくエネルギーのいることだろうなと。

なぜなら、だめ!違う!こら!やめて!とか、結構便利なワードですが、ゆずり葉では聞くことはありません。それ以外にどんなアプローチで関わるのかを聞いたところ、本編ではカットになり使われていませんが、「空気を動かす」んだそうです!うおー!なんだそれ!って感じですよね。

そこはやっぱり子供達との豊富な経験があるからこそ体得し得るものなのかもしれませんが、空気、動かしたいですねー。でもそれはきっと経験やエネルギーがいることに違いないのです。

イノチのシゴト第3回より

自然栽培も想定外の素晴らしい結果を自然界が見せてくれるように、きっと子供達との関わりだって新しい境地があるんだと思います。それをリアルに日々体現してくれているゆずり葉学舎は本当に選択肢の一つとして貴重な場をつくってくれているように思います。

今回、保護者の方々のインタビューですが、なんとデータが飛んで載せられなかったものもあって悔しい思いをしました。

中でも「子供が先生で親が生徒」といった感想を伝えてくれた方々も少なくありませんでした。その親御たちさんもみんな積極的にゆずり葉に関わっていてすごく楽しそうでした。

父や母も子供の成長の過程で父業や母業を学んでいるわけですね。そういうことを日々思い出させてくれるというのはありがたいように思います。気づいたらまとってしまう大人の驕りみたいなものを脱がせてくれる、そんな場所を子供達と過ごすことができる。

なんだかみんなミヒャエル・エンデのMOMOの気持ちになってしまうような、僕にはそんな場所のようにゆずり葉学舎は映りました。

もし興味があったら、ぜひお問合せしてみてください。きっとみんながあたたかく迎えてくれると思いますし、新しい感覚、そしてどこか懐かしい気持ちを思い出させてくれるかもしれません。

「生命の力がはたらくものは全て繋がっているのかもしれない。」だとしたらそれは一体どのようなものでしょうか。イノチのシゴトはそんな仮説をいろんな人たちの取り組みから紐解いていくリアルストーリーです。

本映像でもゆずり葉の取り組みを知るきっかけになれば嬉しいです!まだの方は下記リンクからご覧ください。いつもありがとうございます!

https://youtu.be/44wBMHIqfXs



映像制作をはじめとした活動費に使わせていただきます。ありがとうございます!