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緑の世界は果てもなく…

今年ももう12月。樹木に関する投稿を始めて1年が過ぎようとしています。

仕事の関係で足を踏み入れた緑の世界。

バックグラウンドとしての知識を身につけようとして始まった渉猟なのですが、改めて読書録を振り返ると森林をテーマとした文化史・環境史からスタートして、林業や建材、水利や生物の進化、街路樹の見分け方に雑草の知識など結構幅広く読み漁っていました。

今回の投稿はこれまでの読書録をまとめる良い機会となったのですが、内容を森林・植物に絞り、投稿日を二十四節気(月2回)にしてみたものの、始めてみたら結構な作業...
面白いテーマではあるのですが、もう少し趣味の雑読の時間を確保したいので、来年は一月に一投稿程度に再度ペースダウンして、引き続き思うところを書き溜めていこうと思っています。

自分の趣味の方向がそうそう変わるわけではないので、今後もヨーロッパ旅行、文化史、環境、ちょっとサイエンス系などランダムな備忘録になっていくことでしょう。
まだまだ読めていない面白そうな書籍も多いですが、なんとか手にして読んでみたものの、肩透かしを食らい、ちょっとがっかり…なんてこともなくはないですしね。

最近手にした本に「そもそも植物とは何か」(フロランス・ビュルガ 著)というものがありました。
植物は人や動物とは異なる存在であり、感覚も知性もないということを、哲学的な認識論、存在論、倫理的価値、法的権利といった観点から解説しています。
10月に投稿した「植物は〈知性〉をもっている(ステファノ・マンクーゾ / アレッサンドラ・ヴィオラ 著)」を徹底して反論していますので、ご関心のある方は読み比べてみると面白いかもしれません。

そもそも植物とは何か
フロランス・ビュルガ 著

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム
ステファノ・マンクーゾ / アレッサンドラ・ヴィオラ  著

さて、読書には時間のやりくりも必要ですが、懐の具合も重要です。
書店に並ぶ書籍には限りがありますし、いくらインターネットで簡単に注文できるといっても、そうそう購入ばかりもしていられません。
紹介してきた書籍は、ほぼ自宅と勤務先の地域図書館で借りた本なのですが、地域の図書館にない場合でもILL(Inter Library Loan:図書館間相互貸借)というシステムを使えば管轄を超えて書籍の借り出しができるようです。
とは言え、地域や図書館によって対応が異なるようなので、詳しくは最寄りの図書館でご相談ください。
大学等の研究機関に所属している方であれば、機関を通じての国外からの取り寄せも可能だそうです。

では、どこにどのような本があるかを探すには...

日本最大の図書館検索 カーリル

話題の本や作家紹介、なんとスタンプラリーもあるそうなので、色々楽しめそうです。

今回のタイトルにあるように、締めくくりに緑の世界史という本を読んでみました。環境という観点から歴史を捉えた書籍で1991年に出版されました。
当時は環境がどのように人間の歴史を規定してきたか記すような書物が見当たらなかったので、著者自身、自ら著したと書いているような草分け的な環境史書です。

環境全般を扱っているので、必ずしも森林や植物と密接につながったものではないのですが、冒頭に興味深い事例が載っていました。
森林破壊による環境の悪化が文明の崩壊をもたらしたという、イースター島の歴史です。

かつて豊かな森林に恵まれていた島に、人々が集まり社会を構成していくようになります。すると、人口の増加に伴い開墾が進み、燃料集め、家屋、生活用具、漁猟用カヌーを作るため等、木質資源は伐採されていきました。
さらに島では、巨大な石像を各地の祭祀場に運ぶために、極めて多くの木材がコロとして使われ、消費されていきます。

このように進んでいった森林破壊は洗練された儀式を重んじる社会生活だけでなく、日常の生活全般にわたって劇的な変化をもたらしていきます。

木材が不足し、木造家屋の建築が困難となると、多くの島民は洞窟での生活を余儀なくされていきます。その後、木が全くなくなってしまうと、草を使った小屋や、長い航海には耐えられないような草を編んだ舟だけとなり、漁網の材料にも事欠くようになっていきます。そして、植生の剥奪が進むと裸地が増加し、土壌流出と栄養塩の溶脱が進み、作物の収量は低下。

結果、人口は急減し、文明も未開状態へと逆戻り。島民は自ら招いた環境破壊から逃れることができず、遠く隔絶した島に閉じ込められ、かつては繁栄を誇った社会も環境と共に崩壊し、未開状態にまで後退したというのです。

文明が退行するには色々な原因があると思いますが、今まではなんとなく、戦争や自然災害でも起きなければば大きな衰退など起こらないだろうと思っていました。
が、たった1つの資源が失われたことをきっかけに、一つの文明が失われてしまったという衝撃的な説でした。

ともあれ、既に30年程前に出版された本ですので、環境に関する知識や情報に関しては後続の新刊書籍にあたってみてください。

それにしても…来年にはそろそろ海外旅行に行きたいですね。
これからはヨーロッパを中心に、行ってみたい(みたかった)所もご紹介いたします。
一般的な旅行ガイドとは異なる、こだわりポイントを楽しんでいただければ幸いです。

今年はあと一回、冬至に何か投稿しようと思っています。
一年で最も夜が長い日。 何を書こうかな…

2022年12月7日 大雪

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