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月極オトコトモダチは恋愛を超えるのか

男女間の友情は存在するか否か。
これは永遠に議論されるテーマのうちのひとつ。

そもそもどこまでが友情でどこからが恋愛なのか、その線引きだって人それぞれだろう。この永遠のテーマを重すぎず爽やかに描いた映画が穐山茉由監督の『月極オトコトモダチ』だ。

78分で、この満腹感。
甘い恋愛映画ではないのに無性にどきどきした。

WEBマガジン編集者の那沙(徳永えり)は「男女の間の友情は存在するか」についての記事を書くため、あるきっかけで出会った「レンタル友達」柳瀬(橋本淳)をレンタルし、取材を行っていく。


柳瀬のレンタルプランは2通り。

① 単発プラン
② 月極プラン

月極プランは1ヶ月15時間、5万円の契約。
行きたい場所を決めて、現地集合、現地解散。


レンタルすればするほどに増えていく柳瀬との思い出。
行きたい場所には文句無しで付き合ってくれるし(那沙は給水塔を見に行くのが趣味)、会話のテンポも良い。こちらの会話に合わせて言葉を拾ってくれるだけではなく、柳瀬から発せられる言葉だって心地良い。月極ポイントカードさえあればいつでも会える関係。

だけどもちろん、柳瀬から誘ってくることは一度も無い。



男女の友情は存在するのか否か。

柳瀬は「男女関係にならないスイッチを持っている」と語る。柳瀬にとってレンタルトモダチは仕事だから。
それに対して那沙の同居人・ミュージシャンの珠希は「つまんない、コントロール出来ないからこそ恋じゃない?」と言う。

「じゃあ、コントロール出来たらそれは愛?」

どちらか一方が恋愛関係を持ってしまったら友情は崩れる?


トモダチでいるための儀式、のシーンが好き。

那沙にとっては思い切った行動だったはずのそれを柳瀬は柔らかくふはっと笑って「大丈夫、可愛いもんだよ」なんて言っちゃうんだ。ずるい、ずるいよ、柳瀬。トモダチでいるためだったのに、そうやって優しく包み込まないでよ。


他の友達よりも特別な友達。

那沙にとって柳瀬は友情も恋愛をも超えた存在になったのだろうか。
コントロール出来たなら、それは愛?



徳永えりさん、強い意思が宿っていそうなあの目に惹かれる。
初めて会った日に柳瀬が譲ってくれた赤いチェリー、扇風機の前で塗っていた赤いペディキュア、ポイントカードに押される赤い「済」のスタンプ。
那沙の赤は、いつもすこし切ない。

そして柳瀬役の橋本淳さん。うっ…好きになってしまう。
柳瀬が手を繋ぐシーンの色気にクラクラした。画面の向こうなのに、ただ手を繋ぐだけなのに、なんだか恥ずかしくなって画面から目を逸らしたほどだ。(その後しっかり2回観直した)


画と雰囲気と言葉がとても好みの映画だったなあ。
夏の涼しい夜風のような、そんな心地良さを感じる。

公式サイトに載っている写真、是非見てください。
本当に、どの写真もたまらなく良いから。


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