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将来子どもにプレゼントしたい本/『さみしい夜にはペンを持て』/古賀史健 を読んで

さみしい夜にはペンを持て。タイトルから何が書かれているのか想像に難くない。
私は手帳や日記、もちろんnoteもだが書くことが非常に好きな人種である。
この本を購入したのは書店で素敵な装丁が目に入ったことと『嫌われる勇気』の著者が書いた本であったことがきっかけだった。

早速読み始めると、なんと主人公はタコのタコジローくんだった。
タコのタコジローくん。
タコ………?
私の予想に反して物語になっていたのである。
しかも物語の舞台は海の中。
「あぁ、子ども向けの本なんだな。」と私は思った。
しかし、なんだか先が読みたくなってそのまま読み進めた。

読み終わって思うのは、私がこのとき感じた子ども向けの本というのは正確ではなかったということである。
子ども(中学生以上くらい)でも読める本、というのが正しい表現かと考えている。

海の中を舞台とした物語だったが、海の中ならではの表し方が自分の頭の中でしっくりくる表現で映像をイメージしながら読み進めることができた。
"コトバミマンの泡"や"コトバクラゲ"なんかはこれからの日常生活でも使いたいくらい自分の中に自然に吸収された。
むしろこれ以上に適切な表現はないのではないかと思うほどだ。

誰もが自分の中でうまく飲み込めない、整理のつかないような感情を持っているものではないだろうか?
「紙に書くとスッキリするよ」なんていうアドバイスはよく聞くけれど、いざノートを広げてペンを持つと何を書いていいのかわからなかったり、乱暴な言葉を書き殴るだけになってしまったり…そんな経験をした人も多いはずだ。
そういう人もどのように考えながら、自分の気持ちを文字にしたらいいのか詳しく書かれている。
私も"書きたいのに書けない"ということが度々あったので、共感したり納得したり時にはなるほど〜と声が出てしまったりしながら読むことができた。

私はこの本を読み終わって、子どもが中学生くらいになった頃にプレゼントしたいと思った。
自分の子どもでもいつでも親の私が支えになってあげられるわけではない。
話したくないこともきっと出てくるはずだし、それはそれで成長なのだと思う。
自分を支えてくれるのは自分。
なにか困ったり悩んだりしたら、自分自身と対話を深めていってほしい。
その経験は大人になってからも必ず役に立つはずだ。
そんな親である私の願いを託したいと思えるような本だった。

もちろん私にとっても大切な出会いになった本だ。
これからも折に触れて何度も読み返すことになるだろう。

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