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鍼灸からみえる命のつながり(前編)

タイトルは、あるNPOさんの記事を書かせて頂いた時に、つけて頂きました。その時の記事です。

自分の体調不良をきっかけに

目黒駅近くで個室鍼灸院「コノハナ・鍼灸院」を開設しています、鍼灸師の石井利紗と申します。ご自身の自然治癒力を引き出すツールとしての鍼灸、日本人が元来、伝統医学として守ってきた東洋医学、養生文化の普及に貢献したいという志を持って日々精進しております。
そんな私も、自身が体調不良でサラリーマンを辞めるまで、好き勝手に食べたいものを食べ、遅くまでお酒を飲み、仕事のストレスを発散しておりました。元来、風邪も滅多にひかないし、両親譲りで胃腸も丈夫、お酒も大好きで強いほうです。そんなことから、自分は丈夫だと過信していました。
そんなある日、不眠に陥りました。その前から、腰がむずむずして落ち着かず、仕事に集中して座っていることができなくなりました。疲れや姿勢からくるものだろうと、整体や、足のマッサージに通いましたが効果は続かず、そのうち、夜眠れなくなって精神科を受診しましたが、処方された薬では、4分の1錠で気絶するように眠り、昼間の倦怠感が悪化したことから、自分で治すしかないと、体のことについて独学を始めました。そのうち、リーマンショックが起こり、仕事に集中できない上に会社に余計な負担をかけてしまうと思い、仕事を辞めました。派遣社員として働く時間を調整しながら、通勤は自転車でなるべく体を動かし、汗をかき、整体を学び、食のことを学び、そして鍼灸に出会うことになり、身体の変化を感じて、東洋医学の道に入りました。
鍼灸師の資格をとったのは30代後半で、そこから3〜4年間、中医師と呼ばれる中国出身の先生の元でお世話になりました。一つは不妊治療、もう一つは難病治療の専門院で、どちらも契約満了で退社しました。
その先生方は腕も良いので、多くの患者さんが来院され、そんな場所で多くの患者さんを診させて頂けて、感謝しています。同時に、元々あまり病気とは縁遠い私は、どうしてこんなにも多くの方たちが様々な病気で悩んでいるのか、中には死に直結する難病を抱えている方たちも多くいて、日本の医療は進んでいるのではなかったのか? 医者は増え、病院も山ほどあるのに、どうしてこんなにも沢山の人たちが苦しんでいるのだろうと、カルチャーショックを受けました。寛解する方も多い反面、治らずに去っていく患者さんも多くいました。ご存じのとおり、鍼灸は一部保険が効きますが、大体が自由診療になります。寛解する方も、続けることが経済的に無理という患者さんもいらっしゃいますし、時間的な制約や、理由は様々ですが、継続して頂けないというもどかしさもありました。

独立と共に新たな道も

退社してから、結婚して転居を機に、自宅開業しました。
いま鍼灸業界は「美容」に特化した美容鍼灸という分野がブームで、やってみたいという方も多く、また日々の体調管理に定期的に鍼を選択される方も少なからずいらっしゃって、特に宣伝はせずに、細々と続けていましたが、そのうちにコロナが流行し、さらに細々となりました。
時間だけはありますので、今まで出来なかったことを存分にしようと、大好きな着物を着て、神社仏閣巡りをするようになりました。同時に知人の紹介で、着物研究家でいらっしゃる、中谷比佐子先生との出会いがあり、着物と日本人との関わりをさらに深く学ぶ機会を頂きました。また同じ時期に、明階という神職の位を持ち、ご利益のご研究をされている、藤本宏人先生との出会いがあり、そこに集まる方々との交流もできて、東洋思想や哲学、歴史を見直す機会に恵まれました。そんなことをしているうちに、自分の使命というと大袈裟ですが、自分のやりたいことが見えてきました。哲学と医学の境がなかった時代に、先人たちが残してくれた教え、それが養生であり、健康の本質でもあり、開運につながるということが、深く腑に落ちました。
また、コロナ禍ではオンラインブームが起きました。中谷比佐子先生の紹介で、カラーリアム (https://www.coloriam.co.jp/)という女性のためのソーシャルコミニティに所属しました。女性が、自分の得意分野で、生き生きと活躍できる場を作ることをコンセプトに活動しています。それまで私は、大勢の人前で喋る機会もなければ、ましてや講義をすることなどなかったのですが、東洋医学の素晴らしさを少しでも伝えられればと、一歩でも前進しようと奮闘しています。

ある日、治療に来てくださった方から、もっと広く鍼灸を皆さんに知ってもらえるように、都心で宣伝してやった方がいいと言って頂きました。私の治療に対して、鍼灸のマイナスイメージが全然ないし、これからの時代に必要な治療です! と言って頂き、少し調子に乗って目黒に開設しました。まだまだ苦戦中ですが、これも何かのご縁で私にとってのご利益です。小さな治療室とはいえ、まさか自分が目黒で鍼灸院をやるとは思っていませんでしたから。
私は治療家としては未熟ですが、鍼灸や東洋医学は本当に素晴らしいもので、これからも一生勉強し続けて行くと決めています。その中でお伝えしたいことは、自分を信じるということです。自分を治せる、癒せるのは自分だけであり、自身の自己治癒力なのです。食事や、環境や、治療など、自然や人の力も大切ですが、これらは自分で選択して、助けになるものです。

後編へ続く

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