コンビニで働いていた頃、 80代の常連のおばちゃんが 大きなため息をつきながら、レジに来た。 「ねえちゃん、あんた、高野豆腐 知ってるか?」 「はい、もちろん知ってます。 うちにも置いてますよ、そこの棚」 わたしが指さそうとするのを制し、 「もう遅いわ!」 と、吐き捨てるように言った。 おばちゃんは先日、大学生のアルバイトに 尋ねたものの、 「高野豆腐ってなんですか?」 と真顔で聞き返されたらしい。 これはあかんと諦め、遠くのスーパーまで 手押し車を押し
コンビニでアルバイトをしていたことが ある。 その店は「コンビニ」というよりも 「よろず屋」と呼んだほうがしっくり くるような、なんともこう、 地元密着型のコテコテ店舗だった。 とにかく、クセの強いお客さんが多い。 「ねえちゃん! ちょっとコレ読んでくれるか! わし、よぉ見えへんねんわ」 どれどれ、と親切心を出して覗いて みると、卑猥な言葉が大きく書かれた メモだったりする。 おっちゃんはにやにやしながら 私の顔を見ている。 「すんません、私もよぉ読めませんわ