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移動という行為・事象に興味があるせいか、距離というものについてよく考える。物理的・心理的距離のこと。 物理的にも心理的にも、遠くにいると対象の全体が見える。細部は見えないけれど。近くにいると細部がよく見える。全体は見えないけれど。森を見るか、木を見るか。 心理的距離はおもしろい。例えば、何かが猛烈に「すき」だとして、それが対象に「近い」ということだとする。この場合、対象から「遠い」とはどういうことか。それは対象を「きらう」状態ではなく、「興味がない」ということだと思う。
子供のときに読んだ本の記憶はやけに鮮やかだ。 その本を通して初めて知った世界や感情があるときは特に。 『種をまく人』という本がある。子供のときに読んだ淡い緑表紙の薄いそれの内容を、大人になった私はほとんど覚えていなかったけれど、その本を読み終わったときの、あたたかな気持ちだけは覚えていた。 一ヶ月前に近所の八百屋兼花屋で朝顔の苗を買おうと思ったとき、同時に思い出したのは『種をまく人』のことだった。 自宅に苗を持ち帰ったあと、近所の図書館で『種をまく人』を借りた
『情熱大陸』。言わずと知れたドキュメンタリー番組の代表だ。 最近久々にこの番組を見て、以前、この番組プロデューサー(当時)の福岡元啓さんと、番組出演者の作家・石井光太さんのトークショーに参加したことを思い出した。2014年、下北沢の本屋B&Bでのこと。 その中で印象的だったのが、QAタイムで「情熱とは何か?」という参加者からの問いを受けて広がった 情熱の「色」は何色か? という話。 「『情熱大陸』のロゴって、青なんですよねえ…。赤じゃなくて。」 と福岡さん。確かに
夏休み。帰省したり旅行に行ったりする人も多いのではないだろうか。 この時期は、駅や街中でいつもと違う人とすれ違うことも特に多いだろう。私は実家を出てからは、この時期、新幹線で帰省するのが恒例になっている。 そんな中、私は新幹線にまつわる後悔の思い出が2つある。 願わくば、読んでくださっているみなさんがそんな後悔をしませんように。 これはそんな願いを込めたnoteだ。 駅のホームで困り果てていた老夫婦 ある日、乗車予定の新幹線出発間際、足早にホームを歩いて
ふと思い立って、今までもらった手紙の束を広げてみた。半分くらいは離れて暮らす姉からのもの。姉とは今でも週に数回LINEする中だけど、折々に触れて直筆の手紙でやりとりしている。姉との文通についてのnoteはこちら。 残り半分は年賀状やクリスマスカード、バースデーカードだったり、季節やライフイベントとはなんの関係もない互いの日常について綴った手紙だったり。年賀状は国内在住の友人からのものが多いが、それ以外はほとんど当時留学中、もしくは日本に留学して帰国した友人からのものだった。
『ツキイチ!生理ちゃん』という漫画をご存知だろうか。 「生理ちゃん」とは 小山健によるオムニバス形式のマンガシリーズ。「生理痛」「むくみ」「頭痛」「貧血」「イライラ」「PMS」などが擬人化した「生理ちゃん」と女性との生活を描く。 たま〜にSNSで見かけて時折読んでいるのだけれど、女の私も知らなかったりよくわからなかったりした「生理」のあれこれが知れておもしろい。日本で使い捨てナプキンを開発した人についてのフィクションとか、PMS(月経前症候群)のこととか。あと何より「
夏といえば、高校野球。高校野球といえば、甲子園。甲子園といえば青春ドラマ。そんな風になったのはいつからだったのだろう。全国高等学校野球選手権大会は今年で101回目を数えるそうだから、戦時中の中断を加味してもこの100年ほどを通じて日本社会に根付いてきたことになる。 そんな中、最速163キロの投球記録を誇る佐々木朗希投手が、岩手県大会決勝戦に出場せずに敗退したことを受け、学校側に苦情が殺到したというニュースがあった。 このニュースを見たとき、正直、私は唖然とした。「何
白か黒か、YESかNOか、マルかバツか。 選択肢を2つに絞って、どちらかを選ぶのは勇気がいる。けれど、一旦どちらかに属してしまえば、あとはもう楽かもしれない。どちらか片方の目線だけで考えればよくなるから。 じゃあ、どちらでもないとき、もしくは、どちらも選びたい・選ばざるをえないときは?例えば、「日本人か日本人でないか」。この2択を国籍を持っているかいないかだけで考えれば、物事は至極簡単だ。でも、現実はそうじゃない。国籍は違うけどずっと日本で生まれ育ったとか、日本国籍
「女子断髪禁止令」。こんな法律があったことをご存知だったろうか。 調べてみると、明治政府は江戸時代まで身分ごとに決められていた髪型や服装の自由を認めたという。これにより男性に続いて、髪を短くする女性が現れたのに対して、「女性が髪を短くするのはいただけない」ということで、女性が断髪するのを禁止した法律だ。 ショートヘア歴がかれこれ10年以上の私は、この法律の存在を知ってあんぐりした。すきな髪型すら法律で許されていなかった時代があったのだ。もちろん今でもTPOをわきまえる、と
とある飲み会の席で、「交際相手or結婚相手に何を求めるか?」という話になった。その場には、独身、パートナーがいる人、結婚したカップル両名などなど、いろんな立場の人がいた。その中に年内に式を挙げるという人がいて、自ずと話題は恋愛や結婚のことになった。そして、ある人が言った。 「一緒にいることで、お互いを高め合いたい派の人と、落ち着きや癒しを得たい派の人がいるよね」 この言葉にその場にいた一同はうなずいた。カップルでお互い同じ派の人もいれば、違う派の人もいるはず。どちらで
英語にこんな表現がある。 Stand in their shoes. 直訳すると「他人の靴で立つ」。その意味するところは「相手の立場に立って考える」。靴は歩くのに欠かせないアイテムで、長時間身につける分、カラダ、ひいてはココロへの影響は多大だ。 思えば、普段の自分の生活の中でも、靴が違えば世界の見え方・感じ方が違うことを実感することは多い。 例えば。去年人生で初めて買った9cm高のピンヒール。ふらりと立ち寄ったお店で、店員さんのすすめで試着してみたのだが、履いてみ
今日は外での用事続きだった。美容院に行ったり、食材の買い出しをしたり、病院に行ったり。 美容院はいつものところのいつもの美容師さん。もう数年来のお付き合い。その時々のわたしの「こうしたい!」をいつもイメージ通りに、そしてけっこうな頻度でイメージ以上にいい感じにしてくれる。 今日も大満足な仕上がりにしてもらった私は、ご機嫌で街を歩いていた。耳にはイヤホンをし、音楽を聴きながら。すると。道端で明らかに道に迷っていそうな男性が声をかけてきた。 「すみません、XXってどこでしょ
日曜は一日中ベッドの上にいた。 それまでの1週間の疲れが自分が思っていた以上にたまっていたらしい。 腹痛がひどく起き上がるのもやっと。ロキソニンを飲んだらおさまるかと思いきや、腹痛はおさまるどころか頭痛までしてきた。雨が降っているせいかもしれない。 こういうときは、マンガやドラマにも集中できない。本当にじっとしているしかない。観念して、ベッドに横たわったまま、少しだけ開けた窓の隙間から入ってくる雨音に耳をすます。 私の住んでいる部屋は防音性能がよく、近所で工事を
この時期になるといつも紫陽花を見に行く。ここ数年は、梅雨に紫陽花を愛でるのが、春に桜を愛でるのと同じくらいの恒例行事になっている。それをしないと落ち着かないくらい。 紫陽花は一番すきな花だ。土の成分(酸度)によって色が変わるこの花は、ピンクだったり濃い紅色だったり水色だったり紫だったりするのだけれど、それぞれの色合いが微妙に違っていて、見ていて飽きない。 紫陽花の花言葉は、「移り気」や「浮気」(!)らしい。季節や土の成分によって色が変わるところから、とのことだけれど