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放課後、魔法少女V

第五話

「雨の日」


私、マキ。魔法少女やってます!みんなは、雨の日ってどんな気持ちになる?私は、髪も決まらないし靴下濡れるし憂鬱って感じかな?今日は、そんな雨の日のお話だよ。えっ?私の出番終わり!?


 妙な空気。静かではなく、ザアザアと外から音がする。結構強めみたい。ベッドから出るのも、嫌になるくらいいつもよりちょっと冷えている。嫌い、強く降ってるとか冷えてるからとかではなく。雨は、妙な空気になるから。本当に嫌いだわ。

 「ウメコ様、おはようございます」
「・・・おはよう。」
妙な空気のせいで、挨拶してしまった。案の定、挨拶をしてきた女の子は、雨の中地面に倒れている。まぁ、邪魔な傘がなくなって良かったんじゃないかしら?
「ウッ、ウメコ様!私にも」
「・・・おはよう」
「はぅぅぅ!!」
次々と、周りが倒れていく。風邪、引かないかしら?
「ウメコ!おはよう!!」
「おはよう、今日も元気なのね」
「あぁ?いや、俺も今日はちょっと元気ないぜ!」
「そうは、見えないけど」
いつもは、200だけど今日は100ってことなのかしら。
「じゃーな!」
答えは、わからないままほづみは去って行く。はぁ、またもやもやしてしまったわ。本当に、雨って嫌い。

 授業。今日は、とてつもなくつまらない。内容とかは、関係ない。何をしていても、雨の妙な空気が辺りを包んで雨音が余計にイライラとさせる。
「ウメコさん、次読んでくださいね」
遠くで、誰かがなにかを言っていた。答える気にもならない。本当に、雨って嫌。
給食を終えて、昼休み。いつもなら、二人に会いに行くか誰かしらと話すのだけど。今日は、そんな気にもなれない。何をしてもつまらなく感じてしまう。雨音は、だいぶ静かになってきたけれど。
「はぁ~」
ため息をつくと、隣で誰かが倒れた。眠いのかしら。私は、とても退屈なの。
~♪~~♪~~♪
遠くから、ピアノの音が聞こえる。あまり聞いたことのない曲ね。誰が弾いているのかしら。
「ちょっといいかしら?」
「はっ、はい!なんでしょう?」
「このピアノって誰が弾いているのかしら?」
「あー、3年生の」
「止めてきてもらえないかしら?」
「えっ、。、はい。」
雨の日にピアノなんて、最高にミスマッチ。雨音とピアノの音で余計に憂鬱になるわ。本当に、雨の日って嫌いよ。

 放課後。いつもなら三人で薔薇園へ行くけれど、今日はそれもない。だいたい、二人とは会いたくない。別に、二人に対してやましいとか何か怒っているとかは、ないけれど。今会ってもすごくつまらないとしか、感じない。それは、あの二人にとっても私にとってももったいない。二人の前では、特に私は私のままでいたい。だから、気分が乗らないから今日は会わない。ワガママ?だから、雨の日って嫌い。
「ウメコ様。今日は、なんだかいつも以上にクールで素敵よね」
「うんうん。雨のおかげもあって余計に美人に磨きがかかってるよね」
「ずっと雨ならいいのに」
私は、にこっと二人に微笑む。二人は、何か奇声を上げて倒れた。傘が、空に飛ぶ。
「傘、傘が悪いのかしら?」
じっと空を見る。雨はまだまだ止みそうにない。なるべく高く、高く、高く。傘を空へ飛ばす。じっと、雨に打たれる。
「・・・やっぱり、嫌いだわ雨なんて。冷たいし」
空色の傘を拾い、私は再び家へと歩んだ。長靴が、ぴちぴちと音を奏でた。

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