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地域に通い古民家からはじめる暮らしづくり

2019.12.29 - 2020.01.01

2019年の大晦日はいつもお世話になっている西会津の「ゲストハウスひととき」で過ごしました。

クライアントでもある「ゲストハウスひととき」から歩いて3分程のところにある現在設計中の古民家を改修した地域拠点プロジェクトの床と天井の解体を地域住民と一緒に行いました!!

ぼくらとしても始めての解体作業になります。
それに比べて、「ゲストハウスひととき」の佐々木さんはひとときのDIY施工をご自身でされている経験もあり、手慣れたもの!!
学ばせていただくことがたくさんありました。

1日目は、「床はがしday」でした。
フローリングや畳をはいで、合板にバールや丸のこで切れ目を入れてガンガンはがしていきます。

普段、現場で家が徐々にできていくのを監理している設計者の僕らとしては、床や根太をバンバン切って外して、建物がなくなっていくのはどこか新鮮な感覚でした。
あっという間に廃材が山積みになり、外に運び出すのも一苦労でした。
再利用できる材があるかと思いきや、床材は割れやすく、丁寧にはずすとやたらと時間が掛かってしまうため、残す材料は選りすぐります。

年月を経て黒く味が出た床材だけ残すことにして、他は撤去です。障子やふすまは、集めて再利用できるか後から選別します。
砂ぼこりの舞う現場はマスクとゴーグルが必須。
マスクは1時間もすれば真っ黒に。気が付くとみんなの顔も真っ黒になっていました!!

お昼に近所の「道の駅 よりっせ」でみんなでランチを取りました。
道の駅は近隣住民にとってのスーパーであり、まちの大きな定食屋でもあります。
人口が少ないこともあり、お昼になるとみんながここで集まり顔を合わせることもしばしば。

午後になり、みんな床はがしに慣れてきます。
気がつくと床を支えていた骨組みだけになり、自分の足場や動線、廃材の置き場がなくなっていました。

解体に慣れてきた事で、各々が「こっちに動線を残そう」「廃材置き場はこっちにまとめて」「床が終わるから天井やるね」といったように、それぞれ意見し合い、自分の役割を見つけ出せるようになりました。

天井はがしを開始すると、床とは違い、背が低いチームはかなり厳しい作業に…。

そこで、脚立を追加で買い出しに行ってもらいました。その間もガンガン壊します。
天井は一箇所はがれれば上手いこと一気にめくれ、同時に砂ぼこりがザアーッと降ってきます。
天井を壊すチームと床に並ぶ廃材と砂ぼこりを撤去するチームが自然と生まれます。

床を大方はがし終わった頃、チラチラと天井裏が見え、どのような様子か気になり出したところですが、あたりが暗くなってきたので、1日目の作業を終えました。

2日目は、「天井と高い壁はがしday」です。
1日目の勝手で天井をはがしていくと、大きく黒ずんだ梁が見えてきました!!
古民家らしい立派な梁です。
「これは活かしていきたいね!」と、みんなで笑みを浮かべます。
高い位置の土壁は、バールでたたきながらはがします。

土壁も新しいものと古いものがあり、再利用できるものを丁寧に集めます。
土壁の中では藁が編まれ、崩れにくい構造になっていました。
現代でいう、コンクリートの中に鉄筋が網目状に敷かれているのと同じ原理です。
バールでたたき続けると、握力がなくなりヘロヘロに…笑 みんなで交代しながらたたき続けます。
壁や天井がはがれていくと段々と外からの光が入ってくるようになり、改修後の空間が想像しやすくなっていきました。

動線として残していた廊下部分の床をはがそうと、手慣れた男子チームが解体し始めましたが、なんと全くはがせませんでした!!
どうやらそこは厚みのある木のパネル材でした。その上、狭い廊下なので、バールや丸のこを差し込める箇所がほとんどなかったのです。
廊下は一旦断念し、壁と天井の解体に徹しました。

大方解体したので、2日目は昨日より少し早めに作業を終えて、みんなで近くの温泉へ行きました。
体を動かした後の温泉が体にしみます。風呂上がりの牛乳がまた格別です…!

「ゲストハウスひととき」へ戻り、毎日みんなで夕食作り。
夜は楽しく飲み食いしながらまったり過ごしました。

始めてゲストハウスに泊まる方も交え、解体した古民家のこれからについて、ぼくらがつくった模型を見ながら話したり、大晦日の夜に除夜の鐘を聞きにお寺へ行ったり、年越しそばを食べたりしながら年の瀬を迎えました。

これからこの街で実際に暮らしていく僕らにとって、古民家の解体や改修は、依頼をいただいて行う「仕事」であり、住民としての「暮らし」でもあります。
自分たちが過ごす場所を、みんなで考え、一緒につくり出します。
「仕事」と「暮らし」の両方から自分たちの「生き方」を考える事で、よりのびのびと有意義な時間を過ごせた、素敵な年末年始となりました。

古民家は、次年度に本格的に内装の工事を行い、オープンを迎えます。
乞うご期待!!


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