見出し画像

『周易』1

いわゆる四書五経の五経の一つである、
『周易』もとは占いの書であり、儒家の重要経典です。
今回から連続企画として、『周易』をみなさんと読んでいきたいと思います。

それでは読み始めてみましょう。※は私の注釈です。

周易

䷀乾 乾下乾上

「乾」は大いに通享して、正しいことに利がある。(※原文は「元亨利貞」、これは四文字一々が「効用」として解かれる場合があります。)

初九 潜める龍、動いてはいけない。
九二 現れた龍、有徳者に謁見するのがよい。
九三 君子は終日はげみ、夕べになってもおそれる、
そうであれば危ういがとがはない。
九四 飛びあがろうとして淵にある。とがはない。
九五 飛んでいる龍、有徳者に謁見するのがよい。
上九 上り詰めた龍、悔いがある。
用九 たくさんの龍があるがみな頭を見せない。
そのようにあれば、吉である。

※「用九」とは朱熹によれば「蓋諸卦百九十二陽爻之通例也」(『原本周易本義』朱熹)(すべての卦の陽爻⚋のに貫通することだ)ということです。
 もっと古い王弼という人の注釈によれば、「夫以剛健而居人之首則物之所不與也以柔順/而爲不正則佞邪之道也故乾吉在无首坤利在永貞」(『周易註』王弼)(剛健なもの(陽)がかしらとなっては、人が従わないので乾(剛健)は「首」なきが吉であり、柔順が正しくなければ佞邪の道であるので坤はながく正しいのがよい。)
とのことです。
 私見ですが王弼の方がここでは、筋が通っているように思います。

彖にいわく、「乾元」はなんと偉大なことか。
よろずのものはここから始まるのだ。それこそ天を統べるものだ。

(朱熹はここまでを「元亨利貞」の「元」の意義について説いたものと見ます。
「此一節者釋元義也」『原本周易本義』朱熹)

雲がながれ雨がふりもろもろのものが形成される。
(「釋乾之亨也」(「元亨利貞」の「亨」の解釈だ 『原本周易本義』朱熹)

物事の初めから終わりまでをよくわかるようにし、六つの爻位が時宜を得て完成する。時宜をえては六つの爻位に従って天を統べる。(「聖人之元亨也」(聖人の「元」「亨」の仕事である 『原本周易本義』朱熹)

乾の道が変化して、各々が性(せい)や命(めい)を正しく発揮して、
大きな調和を保ち合わせる。それこそが「利貞」である。
(「以釋利貞義也」(利貞の意義を解釈するのだ)『原本周易本義』朱熹))

そのような大人が君主になれば万国はみな安らかである。

※かなり長いですが、朱熹の注釈にとても面白い表現があったので引きます。

「萬國各得其所而咸/寧猶萬物之各正性命而保合大和也此言聖人之利
貞也蓋嘗統而論之元者物之始生亨者物之暢茂利/則向於實也貞則實之成也實之既成則其根蔕脱落可復種而生矣此四德之所以循環而无端也」

(万国はそれぞれその良いところに落ち着き、皆安寧だ。万物がそれぞれその
性命を正しく発揮して大きな調和を保つのと同じことである。
これは聖人の「利貞」のしごとをいうのである。いったいかつて統一してこれを論じたことがあった。「元」はものの生ずる初めであり「亨」はものの生育を助ける
ことであり、「利」は実りにむかっていくことであり、「貞」は実りの成果である。実りが既になって、実が落ち種をこぼすことができて生ずる。
この四つの効用の循環して初めも終わりもない理由である。)

※素朴な自然観察が元なのでしょうが、「有機」の哲学が説かれています。

(c) Kanseki Repository. 作成されたコンテンツは CC BY SA のライセンスで提供する。(※原文を日本語訳)

参考URL

https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko31/bunko31_e1807/index.html

https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/i17/i17_00128/index.html





この記事が参加している募集

古典がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?