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私のわずかなCA時代

全然うまくいかない。
頑張ってるのにうまくいかない。

私のわずかなCA時代
走っても、走っても前に進まない。
そんな状態だった。

どこに向かって走ればいいのか分からなくなって
心がポッキと折れてしまった。
ラバトリー(機内のトイレ)を掃除して
鏡に映った自分の顔を見た時に折れる音が聞こえた。

なんで私はここにいるんだろう。
制服着て、スカーフ巻いて
何してるんだろう。
私は何がしたいんだろう。

折れてからはもう全てが受け入れられなかった。
折れたものは復活できない。
折れたまんま。

辞めよう。
これ以上ここにいたら、
最悪の行動をとってしまうかもしれない。 

辞めてから何年も経った今でも
辞めた最大の理由は分からない。
なんで辞めたの?って聞かれても
…うまくいかなかった。
そう答えるしかなかった。
自分でもはっきりと原因が分からない。
甘え
逃げ
そう言われればそう。
私は逃げたのだ。
新人として甘えていただけ。
そうか、そうだったのか。
この答えで
この問題は自分の中で締めていた。

何年か前にふと、急にCA時代が懐かしくなって
CA BOXを開けてみた。
VANSの靴の空き箱に、
働いてた時の記録が入っている。
友人からの励ましの手紙、訓練時代のテキスト
お客様に渡そうと思って渡せなかったメッセージカード
苦い思い出でも一応取っておいてある。

その中に
仕事中に使っていた、
メモ帳があった。

開いてみると、
そこには新人として必死に頑張っている自分がいた。
先輩から教わったことを
一つも聞き逃してはいけないと必死に覚えようと
走り書きした文字が並んでいた。
中にはなんて書いてあるのかも分からないメモ書きもあった。
残り数ページ残してメモは終わっていた。
ここで辞めたんだな。
辞める直前のページ最後までしっかりと書いてあった。

なんだ、私ちゃんと頑張ってたんじゃん。

成長したいという気持ちがそこにはあった。
早く仕事を覚えて、偉くなりたい。
早く新人扱いされない立派なCAになりたい。
メモを読み返して涙が出た。
私は逃げてなかった。
ちゃんと頑張っていたんだ。
あの時の自分は間違いなく、
負けてはいけない!と走っていたんだ。

メモ帳を読み返していたら思い出した。
訓練の時に同期24人と教官の前で
決意表明をした。
みんなそれぞれ目標や頑張ることを順番に宣言していった。
私はそこで
「プロになる。」
客室乗務員のプロになりたいと本当に思っていた。

客室乗務員を目指してわけじゃなかった。
友人に誘われて一緒に受けたら
たまたま私だけ受かった。
だからガチガチのCAスクール上がりの同期を見ていて
ちょっと冷めていた自分がいた。
私はそんなんじゃないよ、って。

訓練中もどこか冷めていた私。
CAに憧れて入ったわけじゃないのをわかってもらいたかったのか。
カッコつけてたな。
なんでだろう。バカだね。

でも、変わった。いつの間にかクラス担任の教官に憧れた。
その教官は常に冷静で褒める時も怒る時も常に落ち着いていた。
人の命を守るのが客室乗務員の仕事だと教えてくれた。
訓練の中に彼女が機内アナウンスを見せてくれたことがあった。
鳥肌が立った。
落ち着いたトーンで安定感のあるアナウンス。
それは、プロだった。
この人みたいになりたい。
こういうCAになりたい。
その時自分の中でガチっと目指したいイメージがハマった。
だから私はみんなの前で
前を向いて宣言したのだ。
プロになるんだ。

辞めてからその教官にメールを送ったことがあった。
最後は同期にも言わずに逃げるようにして辞めた。
何も報告しなかったことの謝罪と早くに辞めたことの自分の弱さを
そこに書いた。

彼女から返事が来た。
あなたの決断に間違いはない。
そう思ったのだから。
CAが全てではない。と。

なりたい自分になれなかった。
という後悔は一生ついて回ってくる。
今でもたまに、もう少し頑張れよ、私!
と過去の自分に後悔する時がある。

でもあの時あの決断をしたから
今がある。
少しでも違っていたら、今はない。

過去を悔やみ、原因や理由を一生懸命考えて
自分を正当化するのはもう辞めよう。

自分の選んだ道が正解と思うためには
今を一生懸命生きること。
自分の道が開けるように日々努力すること。
メモ帳が頑張ってた自分を証明してくれた。
逃げてない
甘えてない
過去の自分をリスペクトしようよ。
過去の自分ががっかりしないような
生き方をしよう。

それしかないんだよ。

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