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法雨林舎

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法雨林舎の記事をまとめました。
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記事一覧

十牛図(二):1.尋牛/じんぎゅう(前編)

十牛図(二):1.尋牛/じんぎゅう(前編)


前の記事のおさらい

先の記事〈十牛図(一)自分が本当の自分に出会う旅路〉においては、十牛図がどのようなものであるかについて簡単に触れた上で、序文の特に重要な冒頭部分を見ました。その要点は、人間は「自分探しの旅」などと言って遠くに「本当の自分」を求めてしまいがちであるが「本当の自分」は自分自身の内側にあるのだから気づけば良いものである。十牛図はその自分探しの過程を表したものであるということでした

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十牛図(一):自分が本当の自分に出会う旅路

十牛図(一):自分が本当の自分に出会う旅路


十牛図は充実した人生を送るための道標

人生は迷い多きものです。

なぜ迷うかー

それは、充実したより良き人生を送りたいと願っているからでありましょう。

「人生の分岐点においてどちらの道を選ぶべきか」、理想と現実の狭間で揺れ動くこともあるでしょうし、自分のことでありながら、自分が本当はどうしたいのかがわからないということもあるでしょう。

「自分が何者で、本当に望んでいることは何か」

深浅

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諸法実相(3) 十二因縁法:後編

諸法実相(3) 十二因縁法:後編

この記事は前編からの続きです。

十二因縁法の内容

それでは、いよいよ十二因縁法で説かれる十二の条件について個々に見ていくことに致します。

まずは、全体像を掴むために次の表をご覧ください。

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諸法実相(3) 十二因縁法:前編

諸法実相(3) 十二因縁法:前編


前記事について

〈諸法実相(2)お釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見〉では、お釈迦さまの法界知見が法華三部経中、どのように説かれているかを見ました。

一番のポイントは、お釈迦さまは「法界の構造」と「仕組み(法理法則)」を観察されていたということで、記事では、まずお釈迦さま見出された〈法界の構造〉の概要に触れ、お釈迦さまが「無色界」という新たな領域を発見されたとことが画期的であったと書きま

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諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について

諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について


法華三部経は仏教の宇宙観を踏まえて読む

〈諸法実相(1)〉では、仏教の基本的な宇宙観についてみました。それは、私たちが目にしている現象世界は仮初めの世界であり、その基盤には肉眼では見えない実相世界(真実の世界)があるというものでした。

法華三部経では、無量義経説法品第二においてその宇宙観が明確に説かれており、前記事では、とりわけ重要な箇所を何箇所か引用して、内容を詳しく見ました。

無量義経

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使用している経典|記事中の引用はこちらからしております。

使用している経典|記事中の引用はこちらからしております。

私の記事をお読みいただくにあたりお知らせしておく必要がございますのでこちらに書かせていただきます。

私が愛読している経典は、『眞訓兩讀法華經并開結」(平楽寺書店版 1924年)です。引用の際はこの中の「品名」と「ページ」を記載致します。

仏教の効果・効能

仏教の効果・効能

仏教を学んだり信仰したりすることの意義とは?

「宗教」というものは体験して初めてわかるものですので、外から見ているだけですと、どこか掴みにくいものがあります。もしかすると、この文章をお読みの方の中にも、「少し興味はあるけれど何だかよくわからないなあ。」というモヤモヤを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

最近は、何もかもがスピーディーで、ネット上の記事も最初に「この記事を読むとわかること

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悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

さて、この記事では「四門出遊」を経たお釈迦さまがどのようなことを考えられたのかを見て参ります。

四門出遊についてはこちらに書かせていただいております。

苦の原因

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仏教の世界観(1)ー仏身三種身

仏教の世界観(1)ー仏身三種身


仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)により表される仏教の世界観

法華三部経の内容を理解する上で押さえておきたい仏教の世界観があります。その基本構造は、本仏の三種の姿〈仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)〉として表されていますので、まずは仏身三種身についてみてゆくことに致しましょう。

無量義経徳行品において、本仏は「法身(ほっしん)」「報身(ほうしん)」「応身(おうじん)」が三位一体となっている存

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仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは

仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは


仏教が説く心の構造ー五蘊・唯識論

「精神の調和」を考えるために、仏教が人間の精神と物質的世界の関係性についてどのように捉えているのかを見てみましょう。

大本となるのはお釈迦さまが人間を分析して説かれた「五蘊(ごうん)」の考え方です。
五蘊については下記の記事に書いてあります。

この理論により明らかにされているのは、人の認識は極めて個人的で、世界をあるがままに捉えているわけでないということで

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法華三部経におけるお釈迦さまの位置づけ

法華三部経におけるお釈迦さまの位置づけ


お釈迦さま=本仏

法華三部経の大きな特徴の一つは、お釈迦さまを「本仏」と位置づけていることです。「本仏」とは「一切を生み出した創造主」ということであり、その意味で「造因仏(ぞういんぶつ)」と言われることもあります。

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「大乗」・「小乗」の意味

「大乗」・「小乗」の意味

法華三部経で「大乗・小乗」がどのような意味で使われているかを見ていきます

「大乗」「小乗」という言葉は仏教に関する書籍に頻出する言葉です。しかし、日常生活では馴染みがない上、漢字から意味を推測することができないため、私自身、はじめはさっぱり意味が掴めず外国語を読んでいるような感覚になったものです。

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禅とZENそして三昧

禅とZENそして三昧


禅・瞑想・マインドフルネス

禅は禅宗といわれる仏教の宗派(曹洞宗・臨済宗など)で行われる基本的な修行形態です。

近年は欧米でも注目され、ZENは瞑想やマインドフルネスと重なる概念を表す言葉として認識され、宗教を排した形で実践する人が増えてきているようです。
アメリカでは、ZENを社員プログラムに取り入れている巨大IT企業があるとのこと。しかし、ZENといっても採用されているのは手法のみ。仏教

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仏教が説く善と悪ー七仏通戒偈を味わう

仏教が説く善と悪ー七仏通戒偈を味わう

易しくて難しい七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)

七仏通戒偈は仏教を総括するものとして伝えられております。この偈はお釈迦さまとそれ以前の六仏のお教えにも通ずる仏教の真髄とされています。

内容をご覧になって皆様はどのようにお感じになるでしょうか。

「仏教の真髄という割には随分簡単な内容だなあ。」

と思われるでしょうか。あるいは、

「わかるような気もするけど、よくよく考えるとよくわからないなあ

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