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青春18きっぷ、再び(後編)


これは熊本への2泊3日の旅行と、その足で休みなく旅をしたハードな5日間を描いた旅エッセイ、後編。


5日目

起床。いまだかつてないほどぐっすり眠った。起きて一番に心配するのはやっぱりふくらはぎ。「なんとかおうちまでもってくれよ」とさする。

なにかを間違った朝食。ナゾ盛りつけ。栃木県の『アイホテル小山』にて。無料朝食の豚汁が美味しそうだったのでここにしたが、大正解だった。盛り付けは謎になったけど。

この日は真っ直ぐ山形まで帰るだけだ。
電車に乗り込むと、同時に中学生くらいの男子6人組が、わちゃわちゃと目の前に乗り込んだ。とても楽しげ。横並びに座ったが内ひとりが優先席に座る形となってしまうものの、すぐにギュッと席をつめたり(中学生くらいなのでまだ体が小さい)、別のひとりが私の座る向かい側に座り「こっちこいよ」と言ったり。瞬発力がよく、とにかく楽しそうだった。横目で見ていて楽しかった。

電車に揺られていると、何やら楽しそうに喋りまくってるお姉さんの声。向いてみると同僚のおじさんとやたら親しげに喋っている。電車の清掃の人っぽかった。おじさんもいつものことのように相槌をし、まるで友達のよう。いいなぁ。こんな関係で話せる人が職場にいたらさぞ楽しいだろうと思った。

人生初駅蕎麦を。新白河駅にて。
ここまで北上するともう寒く、何か温まるものをお腹に入れたかった。なのでとっても助かった。数分で食べ終え、蕎麦屋のおかあさんに「ご馳走さまでした、温まりました」と伝えた。

ふわふわのかき揚げそば
昔からの立ち食いスタイルをとっているおっちゃんの姿が素敵だった


そろそろ周囲を見ると「きっとこの人も青春18きっぷ組だなぁ」という人が出てくる。
さっきの駅でピアノを弾いていたバックパッカー風の海外のお兄さんと、おじさんの交流がよかった。おじさんはどうやら元教師をやっていたらしい。お兄さんは留学生のようだった。おじさんが簡単な英語で話し、お兄さんが日本語で話すスタイルでコミニケーションをとっていた。わからない単語はお互い補助し合う形で。とても素敵だった。おじさんは最後に「いつでも遊びに来てくださいね」と自宅の住所を渡しているようだった。あぁ素敵。人の繋がりが作られるシーンに立ち会えるなんて。

(郡山から福島を走る区間は、山々がとても美しい。ボックス席が多いのはこの山が綺麗に見えるようにだろうなぁ。)

また別の少年たちが乗り込んできた!こちらは春から高校生かな?という感じの子たち。さっきの少年たちより落ち着いている。
間も無く彼らはお互いにもたれかかりながら眠った。彼らの背景には電車の窓、田んぼと青空が映る、日の光を背中に浴びて、とても美しいワンシーン。これぞ青春って感じ。

みんないい

もしかしたら自分って他の人より「自分のことをわかってほしい」という欲が少ないのかもなと、ふいに思う。

隣のお姉さんがハンドクリームをぬりぬり。いい香りを分けてくれてありがとう。

仙台駅着。
夕方くらいの時間になっていた。ここで次の電車を一本遅らせて、呑むことに。ワインの立ち飲みスタンドで一通り飲んだ。軽いおつまみがあるとぐいぐい行けるのでありがたい。15分ほどで酔っ払いが完成したのでもう一件。
「あったかい肉、あったかい肉〜 ♪ 」
小声で歌う自分、温かい肉を食べたかったらしい。すっかり陽気になっていた。オーダーし心の中で「ワハハワハハ」と笑い、黙々と食べた。お店で働いてらっしゃるのは20代くらいの若い方が多かったので、さぞ変に映っただろう。やや焦点の外れた目で会計を済ませ、急ぎ足て駅改札口へ。足の痛みは感じなかった。

隣に座るおじさんのヘッドフォンから聴こえるゆったりとした洋楽が心地よい。しばし漏れた音を楽しませてもらう。

山形駅着。
性懲りもなく弁当をひとつ買った。だって半額だったんだもの。
家に帰宅し、体重計に乗ったら記録を更新しそうだったので、次の日の朝に食べることにした。

めっちゃ美味かった




こうして、山形→実家の秋田→羽田→熊本→千葉の鋸山→小山→山形という5日間の旅行と旅は終わった。私の身体はへろっへろになったが、今回も大収穫で幕を閉じた。
母との熊本旅行では彼女の目線、鋸山では友人Cとの時間、訪れる先々でのお店の人たちや目に映る自然、風景、初めての空気感。そのどれもが新鮮だった。

この5日間の事を5本エッセイにして投稿したが、本が1冊書けるくらいの量になったと思う。この投稿たちはnote用に作成してるので、本を出版するように再構成したいと考えている。
私はフリーランスだから、時間を自由に使える。この身分だから経験できることがたくさんあるので、そこで得たわくわくや素敵な体験をこれからも発信していきたいと思う。
次回の旅は『ひとり車旅』の企画で長野県松本市を目指す。1週間ほど滞在するつもりでいるので、次もなかなかのポンコツ貧乏旅になると思う。どうぞお楽しみに。


今旅の最初の投稿はこちらです。良かったら見てみてね。↓


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