もう夏も終わったと思うが、最近はsakanaの4作目「夏」を聴いている。twitterでギターの西脇一弘さんが当時の音源の断片をあげていて、どうしてもフルで聴きたい曲があったのでCDを買った。

店でCDを買うのは久しぶりだった。新宿まで出て、ディスクユニオン中古センターで買った。すぐに聴きたかったので珈琲西武に入り、封を開けてポータブルのCDプレイヤーにセットして聴いた。特にすることもないのでアイスコーヒーを飲みながらしばらく繰り返し聴いていた。

3月に書いた日記を読み返すと、暖かくなったら釣りに行きたいと書いていた。しかし、夏になってみると、釣りに行きたいとはあまり思わない。それよりも街中などでひとと会って話をしたいと思っている。「おうち時間」を過ごして、おそらくだいたい皆そう思っているのだろう。人間とはなんて社会的な生き物なのだろうと思う。

sakanaの「スカーフ」という曲の歌詞がなぜか印象に残って何度も聴いている。

こうして揺れているのはスカーフだけなのかしら
目眩もしないで
揺れているのは

街ではとくに夕方になると、路上には店のプラカードを下げた若い女が目立つようになる。路上にじっと留まり、動きもやらず声も出さずただプラカードを持っている。

条例によって客引きを禁じられているためただじっとプラカードを下げ、いったいどこを見ているのだろうと思うようなうつろな目で立ち尽くしている。

その光景を眺めやりながら、自分も遅疑逡巡としてぼんやりとしている。

ぼんやりとしながら夏が来て過ぎ去ってゆく。



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