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【お盆~猛スピードで帰る彼】


数年前の出来事。お盆って、悪くない。
亡くなった人をめぐるお話。

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今日は、とっても。うれしかった。

親戚のお家を何件もはしご&お墓参りの疲れがとぶほど、なんだか。

だんなさんの、同級生のおうちに行って。
6年前亡くなった彼の、お仏壇に参りたいというので、わたしもついて行った。



わたしは、一度も会ったことのない彼。
仏前に手をあわせて、目をとじる。
お母さんがひとりでいらっしゃって、急に訪れたわたしたちに、びっくりしながら、喜んでくださる。

大好きだったバンドのCDを買ってお供えしたかったんだけど、間に合わなくて、とか、一緒にロッテの試合を見に行って、とか、青春時代をともにすごした思い出を、だんなさんが、喋る。最近、やたら思い出して仕方なかったので、来れてよかった、と。

お母さんは、最近お家をリフォームされたようで、ここのテラスがとっても気に入ってる、もう、楽しもうと思って、と言う。

お母さんは、これ、持っていってと、たくさんジュースやお茶を持たせてくれ、本当にあの子も喜んでいると思う、と涙をぽろっと流した。

帰りの車で、わたしはずっと、涙がでて。
会ったことない彼と、はじめて会った彼のお母さん。自ら死を選ぶということ、子どもに先に死なれるということ、とか、もうどうでもよくって、
今日の光景はなんかただうれしかった。


家に帰ったら、義母が、大きなヘチマに楊枝を4本さして、馬をつくり、お仏壇に供えていて。わたしの実家では見たことない風習だけど、ご先祖さまが、野菜で作った馬に乗って帰るためにお供えするんだよって。

彼のお家では、きっと、野菜の馬じゃなくて、ミニチュアの車をお供えしてるのだろうな、と思う。今頃、大好きだったF-1のレーシングカーに乗って、猛スピードで帰ってるかもしれない。

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