春の女神
かつて山には神々が棲んでいると信じられていました。
春の女神もまたそうで、ある地方では
女神の棲むところを残しておくために、
なるべく近寄らないようにして
よその土地の人が、わからずに登ったりしないように
道をつけたり木を伐採したりしないでいたといいます。
女神は春になるとその山を下り里にやってきます。
その時が春の訪れで、川はうるおい野の花は咲き
あちこちで鳥たちが鳴き始めるのです。
冷たい雨や雪が降ることがあっても
翌日、晴れ渡った空はいちだんと明るい光で満たされます。
春の女神が、あなたの街へ、私の街へおとずれるのも
そう遠くはないでしょう。
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