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バトンを渡すこと

『この度ご縁ありまして』という言葉を使うことが時々あるが、創作においての縁は我ながら恵まれていると感じる。

 振り返ってみれば創作活動は小学生の頃から始めていて、人生とは切り離せない業でもある。当時は児童小説のパロディを書いたり家のぬいぐるみを登場人物に学習ノート一冊分物語にしたり、あの時のガッツは素晴らしかった。
その延長戦で大学は創作を学べる学部に進み、今も細々と続いているわけである。

お陰様で周囲も創作活動に理解ある友人ばかりだし、『創作って妄想でしょ』という通りがちな嘲笑も無くここまで続けられていることは非常に恵まれている。

社会人になってからの創作活動は本当に『細々』という感じで、さながらマラソンで這いつくばりながらゴールテープを切るような書き方である。
何処かのタイミングでスパッと辞めずに今も続いているのは間違いなくご縁のおかげなのだ。

例えばフォロワーさんと一緒にエッセイのイベントを行ったことがあって、その際に沢山の方と新しく知り合うことが出来た。同志と繋がることはモチベーションも上がるってもんである。
少し前には大学時代の友人から展覧会の存在を教えてもらったこともあって、その時にもZINEを書かせてもらったり、短編集を作ってみたりした。
そのお陰でまた、息切れ切れに次の創作意欲へバトンを渡すことが出来たのだ。

数々の機会がある中で、今回文活様にお声掛けいただき久しぶりに腰を据えて小説を書かせて貰った次第である。
正直ここ半年は精神的にも安定してなくて、小説も殆ど書いていなかった。というか、もう書けないと思っていた。

仕事が忙しいし
交友関係も大事にするって決めたわけだし
書きたいことも、なんにも思い浮かばないし

そんな言い訳をツラツラと並べて、『cannot』だと思い込んでいたのだ。

実際そんなことは全くなかった。
モチベーション。
たったそれだけの理由だったのだ。

今回お声がけいただいて、私は暫く創作をしていなかったくせに「8000字いけます」と豪語した。
『大人しく4000字にしといた方が良いんじゃない??』
心の中の私はそう思いながら冷や汗をかいていた。
だけどその時は久々にワクワクしていて、言ったからにはとモチベーションが沸々湧いていたのだ。
そして実際に10000字の作品が書けた。
書き方を忘れているという心配も杞憂に過ぎなかった。
やる気があれば書けるのだ。
そんな当たり前なことを、意外とすぐに忘れてしまう。これは毎回のことだが、やらなければ思い出せない。

ここからは、本作『メネフネの見える夏』を書くにあたっての気持ちも少し記すことにする。

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