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【言霊ピンポン】第15週

No.95:sideH
「二人静」

源義経の愛妾であった静御前が主人公のこのお能の一曲。
能楽ってやつは、たいていがオカルトなんだが、これもバッチリ幽霊出るわ、憑依するわ、しかしストーリーはわかりやすい。
深みがあるか否かは見るものによるけれど、自分はこの
「憑依した娘と、霊魂そのもの」 とが共に舞う表現は舞台表現としてすてきだとおもう。演者はかなり大変だろうけれど。

No.96:sideM
「スワンレイク」

バレエ「白鳥の湖」のオデットが男性だったら?という斬新な舞台がある。
マシュー・ボーンというイギリスの演出家による新解釈のバレエ作品なのだが、演出美術衣装すべてが素晴らしい。
何より、本家ではか弱く儚い白鳥の姫が荒々しく妖しい魔物の雄白鳥となり、メンタルの弱すぎる王子を翻弄する。
そんなストーリーを無理なく魅せてしまうセンスにとにかく脱帽なのである。野生の白鳥も実は気性が荒いしね…。

No.97:sideH
「三角関係」

恋愛と言っても…… 一人の女を二人の男が取り合う、一人の男を二人の女が取り合う、とか。
三角関係って、もしかしたら、取り合っているライバル同士の激しい同性愛なんじゃないかな、なんてことを思うことがある。
吉本ばななの『ある体験』という短編小説は、その愛のかたちを描いている。
愛って、たぶん、自分たちじゃ気づかないところにふっと引かれた、蜘蛛の糸よりも細い線のことかもしれない…なんて思うのです。

No.98:sideM
「蜘蛛女のキス」

舞台は南米のとある刑務所の中。同じ獄房に入れられた政治犯の男と同性愛者の男。何もかもが正反対の彼らは、退屈しのぎにとりとめなく映画の話をする。
語り部は、同性愛者のモリーナ。その語り口はさながらシェヘラザードの如き面白さ。 読者は虚実混交の映画話にどんどん引き込まれてしまう。
そして気づく。例え絶望的な状況でも、こんな風に話ができる相手がいれば人生けっこう悪くないんじゃない?って。

取材、執筆のためにつかわせていただきます。