◎第36打～sideH 《36/108：色界苦締疑（しきかいくたいぎ）＝正しい教えを疑う》
マダムM、あなたは悩みがあっても揺らがない自信があるという、ある種の美徳を身に着けているんだね。それで思い出したけど、僕も自分の猟犬としての才能には自信があるんだ。この自信がなかったら…僕は何者だ？そう考えると、生きているだけで価値があるなんて言って、凡庸なる人々をなぐさめている人がいるけど、あれって嘘じゃないかな？だって才能こそが生きている価値なんじゃないか？そうは思わないか？

◎第37打～sideM《37/108：色界苦締有身見（しきかいくたいうしんけん）＝身体への執着》
才能…わたし前も言ったけど、これといった才能なんてないの。でもそう、わたしの唯一の才能はやっぱり可愛いこと！だって可愛いは正義‼︎
ただ、自信なんて揺らぎまくりよ。だって誰でも年はとるんだもの。永遠に年を取らない…ナントカ術？それを使うナントカ伯爵？とかってただの噂でしょ？可愛くなくなったらわたしどうすればいいの？ママはよき母親になりなさいって。やっぱりそれしかないの？

◎第38打～sideH 《38/108：色界苦締辺執見（しきかいくたいへんじっけん）＝極端な考え方
》僕が恋や愛について語るのが苦手なのは既におわかりだと思うが、実は昔、心が動いた女性がいた。彼女は可愛いくはなかった…が、何と、この僕をだし抜いたんだ！僕が取り戻すはずだった物を、彼女はまんまと持ち去った。知略に富んだひとだった…。マダムM、僕は言いたい。女性の魅力は可愛さじゃない、知性だ！あなたの手紙から、知性はわからないが機智のは感じ取れる。それがあれば老いてもモテる。安心したまえ！

◎第39打～sideM《39/108：色界苦締邪見（しきかいくたいじゃけん）＝因果応報は無いとする》
変なの！要するにあなた、その女の人に負けたってこと？なのに仕返しするどころか魅力的だと思ったの？ミスターH、あなたって面白い～超ウケる～！そういえばママもよく言ってたっけ。女性だって知性がなければダメ、でないと本当に素敵な男性からは愛されませんよって。でも、わたしだって機知？があるなら可愛さ第一でも大丈夫よね。あなたも褒めてくれたし。

◎第40打～sideH 《40/108：色界苦締見取見（しきかいくたいけんしゅけん）＝自分だけが正しい
》
そうだ、マダムM。自分が第一と思えることを大事にすればいい。「何が正しいのかわからない」時は、気に入らない正しさを排除すればいい。自分のお気に入りの正しさを選び取ればいい。僕が思うに、人は自分の正義にしか責任は取れない。それが他人にとって害であるとしてもね。害、いや罪と言ったほうがいいかな。それは哀しいことだが、真理だよ。

◎第41打～sideM《41/108：色界苦締戒禁取見（しきかいくたいかいごんしゅけん）＝間違いを正しいことと勘違いする》
お気に入りの正しさ？それ素敵！わたしお気に入りって好きな言葉なの。わたしのお気に入りの正しさはもちろん可愛さだから…つまりやっぱり可愛いは正義？そう、わたしは正しいし間違ってない。なのに、どうしてわたしは顔も知らない人たちから憎まれてるの…？意味がわからない。何も悪いことなんてしてない、わたしの「正しさ」を大事にしてるだけなのに。

◎第42打～sideH 《42/108：色界集締貪（しきかいじったいとん）＝必要以上に欲する心》
嫉妬だ。マダムM、君にいらぬことを言ってくる輩の言葉はすべて嫉妬だ。君が正しかろうが間違っていようが嫉妬する奴は必ず君に対して鬱陶しいことを言ってくる。僕も嫉妬される。僕は謎解きの答え合わせが大好きなんだ、大好きなんだ、大好きなんだ！僕の答えの正答率が高すぎて嫉妬されるけど、全く気にしないね！だって僕は才能があるんだ。才能は正義だ。そう思わないか？