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【言霊ピンポン】第2週

No.9 :sideH
「蝸牛」

カタツムリは、和名で蝸牛という。うずを背負った牛的形状の生き物。成長するにつれて殻の出口を伸ばしていくことで、徐々に殻を大きくしていくらしい。

No.10:sideM
「七変化」

傘の道行も愉しや七変化(松宵)

イラストなどではカタツムリに付き物の紫陽花。
七変化は紫陽花の別名だから季語なのです。

No.11:sideH
「玉藻の前」

妖怪変化…の中でも好きなのは九尾の狐。美女に化けて人間界のトップ(国王とか帝)をたぶらかすスケールの大きさが魅力だ。
この九尾の狐をヒロインにした岡本綺堂の小説『玉藻の前』がせつない。
彼女を退治しに現れた陰陽師は幼い頃に慕いあった青年だった。彼に追われ石に封じられんとした彼女は、彼の気持ちを試す。
「わたしと一緒に棲みたいか」
「魔道へでも地獄へでもきっとゆく」
そう答えた青年は、石の前で息絶える。
人間も妖怪に取り込まれるという自由がある。


No.12:sideM
「狐の香水瓶」

欧州の王室御用達の陶器工房のドキュメンタリー番組を鑑賞中、狐の頭蓋骨を模った香水瓶が登場した。
白地に花模様という斬新なデザイン。いわゆるキッチュ、アート寄りの毒っ気の感じられる作風で、一見面白いなと思ったのだけど…ふと、欧州には狐狩りという伝統文化があることを思い出した。
この香水瓶をデザインした人、買い求める人、彼らは何を思ってこれを眺めるのだろう?この小さな狐の髑髏を。


No.13:sideH
「御用心」

室町時代の高僧、一休宗純。
ある正月。彼は墓場で拾ってきた髑髏を竹の棒の先につけると、市中の家々に髑髏を差し入れて、
「ご用心」「ご用心」と言って歩いたという。


No.14:sideM
「市中引き回しの刑」

これ、実は罪人を縄で縛って引きずり回す…のではなく、馬に乗せ罪名や住所氏名を晒して町を練り歩くというもの。
今ならさしずめネットで個人情報拡散?時代と手段は違っても人間のやることは変わらない。


No.15:sideH
「連座制」

江戸の義賊・鼠小僧は、市中引き回しの末に打ち首となった。
当時は連座制で、家族や仲間も罪を被らねばならなかったけれど、鼠小僧は捕まる前に身近な人間全てに離縁状を出し「全ては私1人のしたことにございます」と死んでいった。
いやぁ、私1人の責任ですと言い切れるひと、昔はちゃんといたんだなぁ…

取材、執筆のためにつかわせていただきます。