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街の本物の変化はどう起きていったのか。「エリアリノベーション」を読んで。

こんにちは。毎日投稿100日目です。
今日は、かの有名なOpenA馬場正尊さんの著書「エリアリノベーション-変化の構造とローカライズ-」をいまさらですが読みました。

エリアリノベーションがうまくいっている6エリアを取り上げられていたのですが、まずは6エリアの選び方がまずなるほどな、と思いました。

・目に見えて風景が変化していること
・変化が継続し日常化していること
・経済的に自立していること
・デザインがかっこいいこと
この4項目が、「この街の変化は本物だな」と思う街の共通項だったらしいです。これがどう実現されていったのか、を前半で馬場さんが分析しており、後半では書くエリアのキーマンがレポートするという形式でした。

前半で印象的だった点2点

1つめがキーマンの特徴。計画する人・つくる人・使う人、従来のまちづくりや建築では役割が分担されていたけれど、同じ人が複数の役割を担っていいた。「プロジェクト当事者化」と表現されていました。

2つめがエリアへの波及。大きなプロジェクトでドーンとインパクトを与えるのではなく、「小さく小さく手数で勝負」という表現をされていました。

後半の事例編では、それぞれのエリアから一番印象的だったことをそれぞれ書きます。

01:神田・日本橋
 一番印象的だった点は、OpenAのはじめの事務所の話。60平米の倉庫を200万で給排水整日+コンクリートブロックを白く塗ってガラスをはめるというリノベーションで、「リノベーションプロジェクトはこれくら気軽でいい。」と書かれていました。動き出したい、という時にいつも壁を高く感じますが、「これくらい気軽でいい」という言葉がとても刺さりました。

02:岡山 問屋街
 他の事例は建物再生やコンテンツとしてやりたいことがまずあって、そののちにエリアにつながっていた。しかし、この事例だけ、エリアが先にあったように見える、「アンカー」という表現が多用されており、エリアの再生が念頭にあって、そのために点を打っていた。
また、”「ここでしかできなことをやろう」と言っても、うまく考えられない。「イオンにできないことをやろう」と言うとみんなすぐに理解できる。”という、このフレーズが印象的だった。

03:大阪 阿部野・昭和町
 途中で掲げられたという”上質な下町”というヴィジョンが、とてもわかりやすい。都会の尺度は違うものの、住宅地と商業地が混ざり合った、私の地元の小山市に近いエリア事例だった。「1階がガレージの都市型3階建て住宅が増えていき、道路に対しての視線が減り、子どもたちを見守れない街なっていしまっている。これを解決するには適度に商店を点在させることだが、商店ができすぎると住民が住みにくくなる。」キーマン・執筆者が不動産家さんで、その目線で書かれており、特に、賃料設定とテナントに入れ替え頻度のバランス感について説かれていた。「テナントがコロコロ変わってしまうと、何をやってもダメな場所と思われエリアへの期待値が下がっていく。」

04:尾道
 女性の自叙伝的にはじまっていたので、最も親近感もわき読みやすい章だった。尾道の空き家のネックは工事費。眺めはよいのに、坂道や接道に難があり工事を効率よくできない事ができないことが、空き家が手付かずのままの大きな原因となっていた。これの問題を解くには、人手をかけるしかない。
 「尾道建築塾」という形で、ボランティアではなく、再生の技術を職人さんから学ぶ場として、参加費をとりつつ手伝ってもらう、というやり方がとても勉強になった。(私自身もDIY実践を学びたいとよく思っている)

05:長野 善光寺門前
まずはじめに、善光寺門前エリアの空き家増の原因が、「自分の代で壊すには忍びない、周りの目が気になって壊せない、でも維持管理が大変」ということであって、すぐ壊されて駐車場にしてしまう小山とは都市の格が数段違うなと思った。
 誰でもいいから空き家に入居してもらうのではなく、まちとの相性を見極めまちを楽しみながら使ってくれる人に入居してもらう、という手間のかかるプロセスを敢えてえらんでいる。そんな記述があり、岡山問屋街、大阪阿部のの事例にも同様の記述があった。エリアの価値を上げるには近道をしようと考えてはいけないのだと思った。

06:北九州 小倉魚町
前述の話から続くが、小倉のメルカート三番街でも入居者選びについて書かれていた。小倉のリノベまちづくりの夜明け前の状況のときから、入居者を35歳以下と条件をつけていた。同じ業種に偏らせない、これまでエリアにいなかった業種を積極的に誘致する、というポイントもあった。
 ①入居者先づけ②その入居者に家賃をヒアリングすること③想定家賃総額から事業計画を立てること、の3ステップにエッセンス凝縮されていた。

読みながら、自分は何をやりたいんだろう、と考えこんでしまう本でした。(今の心境なだけ??)


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