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リノベの魅力に取り憑かれた!「不動産リノベーションの企画術」を読んで。

おはようございます。毎日投稿85日目です。
今日は読書録。
リノベ学園の課題図書として出されていた「不動産リノベーションの企画術」です。

プロローグの
「世界のどこでも、都市のアツいスポットはリノベーションでできている」からはじまりました。
既存の建物は建った年代が幅広い。時代背景からくる特徴にバリエーションがあるので、それをリノベーションして作る建物にも個性が出る。建物から入居者やコンテンツとも相まって面白いスポットになる。ということでした。
再開発では収益性・効率性が重視されどこでも同じような建物になるのと対比して語られていました。

この記述にすごく納得しました。以前「リノベーションまちづくりは流行っている」という会話を聞いたことがあったのですが、もうこれからの時代は流行ったり廃りではないのだと思っています。

リノベーションを手掛けるときの流れで、
既存建物の①見極め②企画③設計④集客の順番で事例を豊富に解説してくれていました。それぞれの章ごとにビビビときたポイントを書きます。

①見極め術の章

「建物に力がある」という表現が多く出てきていた。
・古い建物の良さがある。客観的に見れるかが大事。「池田の長屋」では、建築学生に見学に来てもらって、若い人の意見を聞き、「若い人ほど長屋に魅力を感じる」ことを確認。
・手を加える部分、残す部分を見極め、メリハリを大事にすることで、改修費を抑える。

②企画商品術の章


まずは市場調査から。間取りは重要でなくそれよりもターゲット設定。
そして企画からブレないこと。オーナーの好みであっても企画にそっているかどうか。

・ターゲット像は年収や職業よりも消費スタイル。
どんなレストランに行くのか、旅は好きか、休日はどう過ごすのか。
働き方が多様化し職業だけでは人々の趣味や嗜好を分類できないので、消費スタイルから考える方がターゲット像をクリアにしやすい。
・1つの建物に複数区画を作る場合、違うタイプのものを作った方が決定率が上がる。(作るのは大変になる。)
人間3つの選択肢を与えられると、自分に選択権があると勘違いするらしい。
・倉庫の改修(クラフトスタジオ神路)の企画で、映画のシーンを思い出し、「住宅として用意されたわけではない隠れ家的なところに暮らしたい人は一定数いるだろう」とコンセプトにした。→いろんな世界に触れておくことの大切さを改めて感じました。

この章やまた本全体を通して、単一機能だった建物に、複数機能を持たせるリノベーションが大半でした。店舗・住宅、泊まれるオフィス、アトリエ付き住宅など。多様化するニーズ、マスじゃないかもしれないけど社会に存在している細かいニーズを拾っていけるのがリノベーションの強みなのだろうと思いました。

③設計術の章

まず大事なのは企画からブレなこと。なので企画の段階で概ね決まっていて、あとはどうリノベ感を出すか、元の建物の良さを引き継ぐかがポイントのように思った。

たくさんのリノベーションの事例を以て解説されていた。
小規模オフィスの場合は、まず床と照明を変えるだけでも簡単に他と差別化ができる。余裕があれば共用部を充実させる。

住宅では、部屋のスペースの使い分けを、扉や間仕切りで区切らない方法がたくさん紹介されていた。間仕切りが少ない方が、自然光を有効に使えていた。床の素材(フローリング/カーペット)、段差をつける、家具で仕切る、マンションの大きな梁や柱etc、ベッドルームを別で設けなくても、リビングのなかにベッドスペースを置くと、部屋を広々とつかえて居心地の良さにつながっていた。

どの事例・写真もすごく素敵で、空間づくりをしてみたくなりました。
(まずは自分の住まいから・・・)

④集客術の章

「不動産の価値はネーミングとロゴで変わる」という見出しに心を奪われました。
リノベした物件の宣伝の仕方は、紙媒体もあるけれど、最近ではブログやコラムのSNS発信が主力のようでした。
そのなかで、コラムはタイトルをどうつけるか、建物のネーミングはシンプルに、聞きなれない横文字や企業名個人名は入れない といったポイントが書かれていました。
それ以外では、宣材写真のメインカットの構成は設計段階から決めておく、人、デティールの写真も用意するなどがビビビポイントでした。

まとめ


全体を通して、リノベーションの魅力に取り憑かれるような本でした。
最後に記載されていたのですが、

昔は築年数と周辺の家賃相場と広さでその物件の相場が決まっていましたが、最近は収益性で捉える時代になっていると思います。
だからリノベーションで重要なのは値崩れしないことです。新築物件はいうなれば「若さで勝負」で新しさしか武器を持っていないことが多い。こちらは年齢を重ねても下がらない武器を用意しておく必要があるのです。

P220

この武器を考えるのが楽しいのでしょうね。上で収益性のことを言っていますが、続くまとめの章では

ビジネスであると同時に「ビジョン」もあっていいはずです。(中略)
単にオカネだけを追いかけるだけよりかっこいいと思うし、「えっあの文献のオーナーさんなんですね!」と、人々から尊敬されるかもしれません。

P221

とあって、社会的意義のようなところの大切さが語られていてグっときたのでした。中盤でインタビューが掲載されていた物件オーナーさん鶴見知子さんが、もとの建物、鶴見印刷所の社訓について話していたのも印象に残っています。

「損得だけを考えて行動すると、人間であることの尊厳を失う」

リノベーションって、流行り物ではなくて、これからの時代のメイン手法になっていくんじゃないかな、と思ったのでした。
(もう定着はしている)

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