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X(Twitter)上で感染する仮想ウイルスを培養できるサービスをつくった

ここ数年、様々なアーティスト・クリエイターがパンデミックをテーマに様々な作品をつくりあげてきた思います。

一方、僕なんかは「流行りに乗っかる感じがなんかな〜」という謎のプライドがあり、表現においては隠者を気取って距離を置いていたわけですが、やっぱりアイデアが出てしまっては作りたくなる性分でして、遅ればせながらパンデミック作品をつくりました。

名前はソーシャルインフォデミックゲーム『SNEEZE』。仕組みは表題の通り。X(Twitter)上で感染が広がる仮想のウイルスを培養するシステムです。ツイートをスニーズ(くしゃみ)に。そんな感じです。

* はじめにSNEEZEはゲームです。ここで培養した仮想ウイルスがアカウントやデバイスに不具合を引き起こすことはありません。


パンデミックという繋がり

COVID-19の累積感染者数は6億7657万人、累積死亡者数は688万人以上(2023年3月13日時点)だそうです。いうまでもなくは人類にとっての脅威といえるでしょう。

けれどその一方で、ウイルスというコンセプトは私達に世界との"繋がり"を再確認させてくれたといえるかもしれません。

武漢から生まれた小さなウイルスは人々の身体に溶け込み、すぐさま世界中に広がりました。未だかつてこれほどまでのスピードで拡大したパンデミックはありません。この急速さは様々なイン フラを通して人々の繋がりがこれまでのどの時代よりも大きくなっていたことを示しています。

分断が深まるこの社会で、世界中の人々が 150nm 程度の同じウイルスを身体の一部として共有し、パンデミックという同じ問題に向き合ってきたという事実はいくらか肯定的に引き 受けても良いのではなでしょうか?

SNEEZEはパンデミックを善的に解釈し、新たな"繋がり"をもたらす仮想ウイルスを創り出す極めて実験的なゲームです。

ウイルスによるグルーブ感

僕もコロナに感染したことで、準備を重ねてきた展示に参加できなくなるという苦い思い出をしましたが、一方で同じ時期に同じ株のコロナにかかった人なんかには妙な親近感を感じたりなんかしました。(同じ経験ある人いません?)

誰かの体の一部だったものを取り込んで共有してる、こういう奇妙な一体感ってあったなーと思ってまして、このグルーブを遊びとして再現できないだろうか?なんて想いもあったりします。

どんな仕組みか?

1. 培養

SNEEZEではプレイヤーが自身のオリジナルのウイルスを培養し、 ソーシャルネットワークをフィールドにしながら他者のSNSアカウ ントにそれを感染させていきます。

培養の際は、様々なパラメーターを設定することで、そのウイル スがどのような特性を持つアカウントに感染しやすくなるのかを決めます。

仮想ウイルスを培養

2. 感染

培養したプレイヤーはウイルスの宿主となり、他のSNSユーザーによる自分の投稿(ツイート)へのリアクションを通して感染を拡大 させることが可能です。

宿主の投稿にリアクション(いいね!・リポスト) したユーザーの一部は濃厚接触者となり、一定の確率で感染し ていきます。この確率が培養時に設定したウイルスのステータス によって計算される感じです。

宿主の投稿に仮想ウイルスが付着することで感染が拡大

3. 濃厚接触通知

濃厚接触者となった SNS ユーザーにはBotからメンションによって通知がいきます。

濃厚接触通知

4. 感染検査ページ

接触通知には感染検査用のURLが添付されているので、ここから自分のXアカウントが感染しているのかを陽性・陰性の判定でチェックすることができます。

他にも

  • どの投稿(ツイート)から感染したのか?

  • 誰から感染したのか?

  • 自分の感染は何次感染だったのか?

  • 何%の感染率で感染したのか?

などもチェックできます。

検査後は検査結果をシェアしたりもできますよ。

検査ページから感染をチェック

5. 感染拡大(n次感染)

陽性者(ポジティブパーソン)だった場合は、自身の投稿(ツイート)にウイルスが付着するので宿主になってウイルスを伝染させることができます。あとは倍々ゲームですね。

仮想ウイルス に感染したという特別感と、その特別感をお裾分けしたくなるような気持ちになってくれたら嬉しいです。

インフォデミック!

隔離病棟イベント(オフ会)

(現在編集中)

α版について

このプロトタイプは現在α版として運用しています。ウイルスの培養ができるのはα版のパイロットユーザーのみに絞らせてもらっていますm

ほんとは誰でも培養して楽しめるようにしたかったのですが、イーロンマスクによるTwitter API大改悪により、API利用に鬼のような制約をかけられてしまったため、ひとまずは限定的に運用します。

ちなみにAPIの超高級プランを使えればもっと培養できる人を増やせるので、ご支援いただけそうなお話があればもう少し手を広げられそうです。

とはいえ何人かはご案内できると思うので「この企画で使ってみたい!」などありましたらDMなどいただければと思います。

個人的にはVtuberさんとかにウイルスを通してファンと濃厚接触とかして欲しい(笑)

制作協力

オルタナティブユニットMVMNT

今回の制作にあたってはオルタナティブユニットMVMNTさんに強力なご支援をいただきました。

アーティスト・ハッカーというやや怪しい肩書きで活動しているとツーカーで理解してもらうのに難航することも多いのですが、MVMNTさんはプロジェクトの心を理解してくださり一発で乗ってくれました。

今後もパートナーとして様々なプロトタイプをご一緒させていただく予定です。

田村育歩さん

ロゴやキーヴィジュアルなど、主にブランドデザインの方面でお手伝いいただきました。

最初はロゴ制作として依頼をしていたのですが、なんとクリエイティブコーディングまで交えて映像や付属のアイコンなんかを作ってきてくれて、今回のプロジェクトの世界観を描いてくれました。

水野学さんなんかもそうですが、いいデザイナーさんって1お願いすると10まで広げて提案してくれるものなのかもしれません。

因みに田村さんともMVMNTのクリエイターズイベントでお会いしました。良いご縁と、それをつくってくれた方々には頭が上がりませんね。

さいごに

SNEEZEで最初のウイルスを培養してみました!僕の投稿にリアクション(いいね!リポスト)すると感染するかもしれません。よければ濃厚接触してやってください(笑)

というわけでこんな感じの実験的なプロトタイプです。実際に運用してみてどんなものになるかは分かりません。なんならイーロンマスクにBANされて終わらないとも限りません(笑)

が、今後もちょっとポジティブに世の中がバグるようなプロトタイプをつくっていきますので「またあいつ何かやってんな〜」と生暖かい目でお見守りいただければ幸いです。

くしゅん🤧

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