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プリンセス・クルセイド 用語解説 【チャーミング・フィールド】

 ごきげんよう、皆さん。私の名前はインカローズ。第2部も急展開って感じになってきたんじゃないかしら。今日は今回のエピソードでも登場したチャーミング・フィールドについて解説するわ。それじゃ、早速いってみましょう!

チャーミング・フィールド

 チャーミング・フィールドに降り立ったイキシアは、まず自分の剣を確認した。柄の部分に色とりどりの宝石が散りばめられた聖剣。はっきり言って、彼女の趣味ではない。その剣を一旦鞘に収め、今度は辺りを見回した。そこは穏やかな風が吹く草原で、空には星の海が広がっている。
「これが……あの方のチャーミング・フィールド?」

 チャーミング・フィールドとは、プリンセス・クルセイドが行われる戦場のことである。闘いの始めに聖剣を打ち合わせたプリンセス達のバイタルによって形成されるこの空間は、現実世界とは物理法則などが異なる特殊な魔法空間である。

※チャーミング・フィールドの特徴

1.チャーミング・フィールドの外観は、闘いに参加するいずれかのプリンセスの精神が反映されたものとなる。その反映はあくまで抽象的なものであるため、必ずしもそのプリンセスにとってなじみ深い情景となるとは限らない。

「でえりゃあ!」
「くっ……!」
 およそプリンセスらしからぬ叫び声を上げながら襲い来る猛攻に対処しながら、シトリンは状況の把握に務めた。
 目の前に広がるのは緑が鮮やかな草原で、所々に石柱が立ち並んでいる。遥か遠くに見える湖は穏やかに水を湛えているが、その上空には何故か数台のベッドが浮遊していた。

2.チャーミング・フィールドに降り立ったプリンセスの衣装は大きく変化し、長いマントを携えた騎士の如き出で立ちとなる。

「服が……変わってる?」
 その時初めて、アンバーは自分の服が変化していることに気づいた。白のエプロンドレスから、騎士のような出で立ちになっている。体にフィットするような白い布の服。肩からはマントが下がり、腰のベルトの脇に自分の聖剣が差されている。靴も革のブーツへと変わった。

3.チャーミング・フィールド内にはエレメントが存在せず、プリンセスは火、水、風、地のエレメントに起因する魔術を行使できない。

「そう。チャーミング・フィールドにはエレメントは存在しません。故に、己のバイタルを完全にコントロールして最大限発揮する必要があるのです」

  ただし、聖剣自体がエレメントの魔力を有している場合はその限りではない。

4.チャーミング・フィールド内では、プリンセスのバイタルが増幅され、その身体能力等に多大な影響を与える。

 気が付くと、アンバーは空中を飛んでいた。足の下にはジェダイトの姿と、先程まで壁となってアンバーの交代を妨げていた岩場。彼女は必死に体を動かそうとし、無我夢中でその上に降り立った。

5.チャーミング・フィールド内では、プリンセスは外傷による出血や骨折などのダメージを負わず、痛みも一瞬しか感じない。しかし、現実世界で重傷となりえる攻撃を受けた身体の箇所は、黒ずんで麻痺したかのように動かなくなる。

「うるさいねえ…… そんなに叫ばなくても、このフィールド内じゃ痛みは一瞬だ。血だって出やしない。見てみなよ」
「……?」
 ジェダイトに促され、アンバーは自分の左腕を見た。惨たらしく貫かれた筈の肘と肩の間とその先が、不気味に黒ずんでいる。
「ほらな? もっとも、その腕はもう使い物にならないけどね。今度は心臓を一突きさ。それで戦いは終わる」

6.致死的部位へのダメージ、あるいは聖剣の破壊によって勝者が決定した場合、チャーミング・フィールドは収束し、プリンセス達は現実世界へ戻される。

「しゃ……しゃらくさいですわ」
 その言葉に悪態を吐くのが精一杯だった。今やイキシアの視界は完全に光で覆われ、腹部の痛みは限界を通り越していた。
「……そうですね。貴女は……」
 メノウの最後の言葉を聞き取れないまま、イキシアは膝から芝生の上に倒れこんだ。同時に、チャーミング・フィールドが収束していく。こうして、マクスヤーデン国王女は敗北した。

 プリンセス達のバイタルが正面からぶつかり合う舞台。それがチャーミング・フィールドということね。闘いのダメージが残らないようになっているのは、王子の花嫁を決める儀式の中で国民を失う訳にはいかないからじゃないかしら。

 さて、今日のところはここまでね。それでは皆さん、またお会いしましょう!

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