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遅ればせながら、全日本大学駅伝に関する分析。

皆さんこんばんは。

今回は前回記事の続き+少し応用して、先日(およそ1ヶ月も前ですが)行われた第55回全日本大学駅伝の結果から、各区間の展開や各校の流れなどを分析していきたいと思います。

前回記事は↓こちらにて。

各区間に関して

導入として、第55回全日本大学駅伝の区間TOPタイム、区間平均タイム、各区間の分散(ばらつき)を以下に示しました。

第55回全日本大学駅伝の区間TOP、区間平均タイム、各区間のばらつき

1区が60秒以内、2~6区が大体80~90秒、7区と8区は180秒前後のばらつきが見られました。

出雲駅伝1区のばらつきが51秒、6区が80秒だった事から、1区は集団走の時間が多くまとまりがある反面、集団からの遅れが命取りになりかねないと推測できます。一方で、全国大会のレベルで10キロと少しの区間においては、80~90秒程度のばらつきが主流なのではないかという考えもできます。

いずれにしても、今の学生駅伝のレベルでは遅れる=(優勝争いにおいては)痛恨と言えそうです。

全日本大学駅伝の分析

話を戻して、第55回全日本大学駅伝、上位16校の

区間TOPとの差(画像1枚目左)
 区間平均との差(画像1枚目右)
・区間順位(画像2枚目左)
 偏差指数※(画像2枚目右)

を以下の表へ区間ごとにまとめました。

シード権を獲得した大学と獲得できなかった大学を分けて分析します。

1区は40秒、2~6区は80秒、7区と8区は120秒ごとに色分け。
※偏差指数=(選手の区間総合タイム-その区間の平均タイム)÷分散

シード獲得校(1位駒澤大~8位東京国際大まで)

出雲駅伝に続いて1区から駒澤大の独壇場…とは今回は行きませんでした。1区を走った赤津勇進は区間賞は取りましたが、偏差指数1.00(厳密には0.995)で、抜け出すまでとは行きませんでした。混戦の展開を断ち切ったのは今回も2区の佐藤圭汰、3区の篠原倖太朗の2人でした。その後は独壇場。箱根駅伝本戦でも襷リレーを繋ぐとなればトップクラスの脅威となりそうです。結果的に区間賞4つ。完勝でした。10000m27分40秒を切るランナーが3人揃いましたが、本番までにピーキングがきっちり合うかどうかが敵となるでしょうか。

青山学院大は出雲駅伝に続いて2区の黒田朝日が快走、5区山内健登が流れを引き寄せる走りを魅せました。そして、最終8区で田中悠登が國學院大、中央大に競り勝ち2位を掴みました。区間賞こそありませんでしたが、特に後半区間で浮上した辺りに優勝常連校の意地を見た気がします。箱根駅伝で駒澤大の最大の対抗馬となった気がします。怪我人も無く層の厚さでぶっ千切るのが青山学院大の強みなので、今季台頭した黒田朝日を中心に逆襲を果たせれば大会記録をも見据えられそうです。

序盤から流れを掴むべくエース格を並べた國學院大と中央大は、目論見通りとはいかず後れを取る形となりました。國學院大の山本歩夢、中央大の吉居大和は言い方は悪いですが今季は貢献度としては良くありません。
ただ、両大学とも4区で浮上したのと、7区でバチバチに競り合った平林清澄と湯浅仁が区間ワンツーを獲得したのは大きく、主力格が並ぶ区間でも堂々と渡り合えると伝わったと思います。現時点でこの2校が駒澤大と青山学院大を追うチームと言えるでしょう。調子の上がらない選手も状態を合わせられれば再び優勝争いに食い込むはずです。主力に続く中間層の奮起が鍵となりそうです

出雲駅伝に続き中盤に大きな見せ場を作ったのは城西大と創価大でした。
城西大は3区のV.キムタイ、4区の斉藤将也の連続区間賞を獲得したのにはビックリしました。去年からの成長度が凄まじいです。
創価大は4区まで14位と低迷していましたが、5区に入った吉田響が5人抜き、そして驚異的な区間記録を樹立しました。偏差指数1.99、上位16校の中でトップの数値を記録する程度に飛び抜けていました。箱根駅伝で狙うは5区区間記録でしょうか。

大東文化大は箱根予選会トップの勢いを維持したまま、全日本大学駅伝でも7位に入り18年ぶりにシード権を獲得しました。
1区佐竹勇樹が区間5位の好スタートを切ると、6区のP.ワンジルが区間2位の好走、7区の大谷章紘が総合6位から5位に押し上げるなど、総合7位という順位以上に充実感が伝わってきました。つい先日行われた日体大記録会でも好記録が続出し、もしかすると夜明けは間近、そんな予感が漂ってます。

シード圏あと1枠を勝ち取ったのは、箱根駅伝出場に3秒届かなかった東京国際大でした。2年ぶりのシード獲得(2年前は5位)です。1区から区間7位、7位、5位とスタートダッシュに成功し、逃げ切りに成功した形でしょうか。来期以降は間違いなく巻き返してくるはずです。

シード落ち校(9位東海大~15位国士舘大まで)

9位に終わった東海大は、エース石原翔太郎など主力を欠いた状況でしたが、シード圏まで90秒圏内で踏ん張るなど下馬評よりは粘っていた印象でした。ただ、8位の東京国際大と比べると3区までで流れに乗り切れませんでした。

逆に早稲田大は1区の間瀬田純平が区間2位、3区を終わって総合3位、7区まで8位以内を維持してきましたが、8区を担当した伊福陽太が脱水症状に陥るアクシデントもあり5年ぶりにシードを落としてしまいました。東海大と同じ主力を欠き、4~6区の3区間連続で区間2桁に終わったのも痛かったです。

順天堂大は2区三浦龍司と8区浅井皓貴以外は区間2桁に終わる惨敗に終わりました。現状はこの2人+ルーキー吉岡大翔に頼らざるを得ない状況でしょうか。復活が待たれる主力もおり、箱根駅伝に噛み合う展開が待たれます。

帝京大は2区山中博生と3区柴戸遼太の貯金を4区区間22位(こちらもアクシデントでしょうか?)で吐き出してしまいました。箱根駅伝で順位を上げてくる印象の強い大学なので、巻き返しに期待します。

東京農業大はなんといっても前田和磨の2区3位が光ります。佐藤圭汰(駒澤大)、黒田朝日(青山学院大)に次ぐ3位は価値が大きすぎます。その甲斐あって4区を終わって総合5位と健闘していましたが流石に全て上手くは行きませんでした。箱根駅伝2区を希望している前田和磨、単純に楽しみです。

東洋大と国士舘大はどこからメスを入れて立て直すか、2ヶ月で間に合うのかというチーム状態にありそうです。東洋大は区間1桁が1つ、国士舘大はゼロという惨状でした。国士舘大の5区で偏差指数-1.30(上位16校ワースト)が出てしまうなど負の流れは絶ち切れませんでした。

内部事情は分かりませんが、強者に練習強度を合わせた結果怪我人続出、は割とあり得るケースなので、惨敗に終わった大学は、状況に合った練習をひたすら繰り返しチャンスを伺うのも戦略のひとつに含みそうです。

おまけ

最後に、全日本大学駅伝の全8区間が現行距離となってから6年、この間の平均値を2枚の表にまとめましたので参考までにご覧ください。構成は以下の通りです

区間TOPとの差(画像1枚目左)
 区間平均との差(画像1枚目右)
・区間順位(画像2枚目左)
 偏差指数(画像2枚目右)

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