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骨折してわかった7つのこと。でんでん擬態にご用心。

骨折すると買い物に行けない。
もしムリして松葉杖ショッピングにトライしても、世のバリア(非・バリアフリー)に直面し苛立ちとメソメソ必至だ。
しばらくこの問題を棚上げしていると、近所のスーパーに「宅配やって〼」のポップがあったことを思い出した。自分の記憶力を誉めてあげたい。

ググると、地元スーパー×トヨタ提携のサービスのようだ。車社会を油まみれに推進した企業が、交通弱者に歩み寄る。実に美しい。
その品目は極端に絞られている。少ない。まあ多すぎても困るし、何よりコロナ初期に配信されたプレスリリースからサービスが継続しているのは努力を感じずにはいられなかった。

秋の夕暮れ。
スプラトゥーン3で遊んでいると、チャイムが鳴った。
まず骨折していると宅配が増える。インターホンまでの距離は骨折してない時の10倍に感じる。毎度「います!出ますから!帰らないで!」と情けなく声出しする日々はいつまで続くのだろうか。

ドアを開けると、でんでんが立っていた。
おれは震え上がった!映画「冷たい熱帯魚」のシリアルキラー・でんでんに殺されると思ったのだ。

しかし彼は、地元スーパーを名乗り、にこにこと白いビニール袋を突き出してきた。
無邪気に「トヨタの車で来ましたか?」と聞けないまま、中身を確認すると、ビール、牛乳、油揚げ、キャベツ等が入っている。死体や凶器は入ってないし血痕もない。ほっ。
「なんで頼んだんですか?」
「あのこの通り骨折しまして・・」
「え?いや、じゃなくて、このサービスどこで知りました?」とにこにこ。

なるほど。買い物に行けない理由など興味は一ミリもないのは当然。マーケティングとしての認知経路、トラフィックというやつを聞いてこいと、でんでんは上から言いつけられているのだろう。
雨が降っていたのか、キャベツの水滴がビニールを伝った。
お足元の悪い中、ありがとう、でんでん。


しかし、一瞬でも警戒した自分は正しかったと思う。
でんでんのようににこやかだからといって、人間がにこやかだとは限らない。
映画「冷たい熱帯魚」で、でんでんが殺人鬼役を仰せつかったのは、そのことが言いたかったのではないか。

例えば「家族に乾杯」の鶴瓶。リアルに見たら怖いと思う。ある番組で、共演の中島らもから「この腹黒が!!」と一矢アラートを投げられていた。
また、実際に見たのはマムちゃん、毒蝮三太夫がTBSラジオ「ミュージックプレゼント」で近所にくる!と駆け付けたのだが、ちょっと怖い感じがした。

筒井康隆は、その著書で、擬態に触れていた。
猪は臆病だからいかつい容姿。
赤ちゃんはかわいい。見たらにこにこハッピーホルモンが出て身を護る。

ちょっと見た目を疑ってみる、とうことをしないと、
中身が空っぽだから、エクストリームな言動で注目されたい。嘘が入ろうが、前後の発言が矛盾していようがはっきりいって興味がない。

そんなデタラメを野放しにするだけ・・と、骨身に染みる昨今である。


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