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漫画万歳!(30) ~燁姫~

マザーブレイン社の月報に投稿した記事を紹介していきます。2019年4月からスタートしたシリーズを多少の修正を加えて掲載します。取り上げているのは原則として完結した漫画です。気ままな個人的な感想ですので、ご意見は大歓迎ですが、あまり真剣なご批判は、泣きたくなるのでご容赦願います。

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT
(2021年9月号)

漫画家の佐伯かよのさんが8月にお亡くなりになっていました。享年69歳、3年前にステージ4の肺ガンがみつかり闘病していたそうです。合掌。

主に1980年代に女性向けの作品を書いていたので、私が訃報にショックを受けていても、知らないという方も多く、作品名をあげてもやはりピンとこない方ばかり。それでも新谷かおるさんの奥さんと言うと、「あ~」という反応が何人かおりました。晩年は、新谷かおるさんと共同で作画を担当しておりました。「QUO VADIS~クオ・ヴァディス~」は時をかける異色のヴァンパイア物語で傑作でした。とにかく女性が美しい!

ご本人の作品は、たくさん読んだわけではないですが、「緋の稜線」という昭和のどろどろ大河小説みたいな作品を買ってハマって読んだことがあります。その前に出した「口紅コンバット」は作風が違って、全世界に影響を与える大財閥の総帥17歳の美少女と従妹の2人組の物語は、さっそうとしてかっこよくあり得ない設定と思いながらも少女が憧れる要素満載で、事件をすっぱり解決してくれて気持ちのいい漫画でした。

今回追悼と思って何か読もうとしたら、KindleUnlimitedで「燁姫」(あきひ)全18巻を無料で読めるというラッキーなことがあり、いきなりハマって読んでいます。普段は地味な女子高生の燁姫は、銀座の画廊のオーナーというもう一つの顔があって、絵画の価値や真贋を見抜く能力に長け、贋作を描かせても超一流の腕を持つスーパーウーマン。亡父が描いた自分の肖像画を探すために画廊を経営して2年、年齢不詳の美女オーナーとして業界では知らない人はいない存在に。これまたスケールが大きくてピンチにはヘリコプターがすぐ出てくるし、財政会のお偉方とも顔なじみだし、仕入れのためや見たい絵があったら華麗に世界中駆けまわります。まさに漫画の世界ではあるのですが、佐伯かよのが描く美女が動くとなんでもありだなあと思わせてくれるんですよ。物語は、1話完結のほぼハッピーエンド、時々切なく涙したい話もあり、芸術についてのウンチクもあっていいバランスです。ちょっとした空き時間で気分転換できます。


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