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漫画万歳!(21) ~ハイキュー!!~

マザーブレイン社の月報に投稿した記事を紹介していきます。2019年4月からスタートしたシリーズを多少の修正を加えて掲載します。取り上げているのは原則として完結した漫画です。気ままな個人的な感想ですので、ご意見は大歓迎ですが、あまり真剣なご批判は、泣きたくなるのでご容赦願います。

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT
(2020年11月号より)

先月の「ヨリが跳ぶ」に続きバレーボール漫画の「ハイキュー!!」を紹介します。古舘春一作、「週刊少年ジャンプ」で2012年から2020年まで連載、コミック全45巻で11月に最終巻が発売されました。

身長164㎝の主人公・日向翔陽は、たまたまテレビで見かけた春高バレーで活躍する烏野高校のエース「小さな巨人」に憧れてバレーボールを始めます。念願叶って烏野高校に入学しましたが、かつての名門は「落ちた強豪、飛べないカラス」と呼ばれるほど弱くなっていました。そこへ「コート上の王様」と呼ばれる天才セッター・影山飛雄擁も入部、個性あるチームメイトたちと喧嘩をしながらも、日向と影山の奇跡の速攻を武器に全国大会をめざします。

スポーツ漫画らしく、1試合の描写が丁寧で長いのですが、ずーっと高校1年生のままで、身長の低い主人公のバレーボール人生に先があるのかないのか気にしながら最終巻まで急いで読んで、今、2度目を読み返し中です。

作者は、「超凄いセッターが、スパイカーに完璧にトスを合わせる話」としてスタートさせたそうです。ずーっとバレーボール漫画を描きたかったのを実力がつくまではと編集に諭されて、満を持して描き始めたようで、バレーボールにかかわる人々の様々なドラマが盛りだくさん。その分、主人公の日向の存在が薄くなってしまうことがあるのが個人的には残念なのですが、逆にリアルな青春ドラマにも仕上がっています。主人公コンビの速攻だけが非現実的で、それ以外は、現実の試合のプレーをもとに描いているそうで、作者のバレーボール愛を感じました。

そもそもバレーボールのルールが「アタックNO.1」のままの私には、リベロ制やらラリーポイント制を理解するまでどうにも落ち着かなかったのですが、そこもちゃんとバレーボール経験のない監督や観客が登場して、練習や試合のシーンで逐次誰かが懇切丁寧に解説してくれますので、ルールを知らない人も興味のない人も十分に楽しめるストーリーになっています。試合中は、思わず息を呑んでしまって、試合終了後にはこちらもグッタリしてしまうのですが、間髪入れずに入るギャクがまた心地よく、スポ根漫画らしくさわやかで、元気が出る漫画でした。


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